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01 恥辱の誕生日パーティ
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「王家の者で検討した結果、マリー、きみとの婚約は破棄することになった。
悪いが、本日かぎりで王宮を出ていってくれ」
聖女フェリシアは目と耳を疑った。
妹マリーの十六歳の誕生日パーティに招待されたはずが、いつのまにかそれが、王太子サミュエルによる婚約破棄パーティの様相を呈していたからだ。
(え、なに? 演劇でも始まったの?
ううん、違う。
あの子が……マリーが泣いているわ。
これは冗談なんかじゃない)
フェリシアは招待席から立ち上がった。
すぐに妹のそばに行かなければ。
壇上までの距離がもどかしく、パーティ会場となった王宮のテーブルとテーブルのあいだを小走りで抜けてゆく。
「サミュエル!」
そんなうちに、泣いていたマリーが叫んだ。
真っ白なドレスに身を包んだ彼女はとても美しいが、その肩は怒りと悲しみで遠目にわかるほど震えている。
「サミュエル、あなたどういうつもり!?
アタシの誕生日を祝いたいと言ってこんなに人を集めて、そこでわざわざ婚約破棄を発表するだなんて。
辱めにもほどがあるでしょう?」
「誤解だ。
おれはただ、純粋にきみの誕生日を祝いたいと――」
「そんなわけがない。
アタシは婚約してここであなたと半年暮らしたから、もう知っているのよ。
あなたが立派なのは見た目だけで、その中身は、とんでもなくプライドの高い小悪党だということを」
「な、なんだと!」
サミュエルが色をなした。
ハンサムで長身の彼は武芸にも秀でているともっぱらの評判で、細身ながらも中に筋肉が感じられるその身体は、多くの女性たちの憧れの的だった。
聖女という立場がなければ、フェリシアも妹を羨ましく思っていたかもしれない。
だがその彼を、マリーは小悪党といった。
国民から見えるいつもの彼なら、なにをいわれても鷹揚に笑って流しそうなものだが、たしかにいまの彼はマリーの言うとおり小者っぽく表情を歪めて青筋を立てている。
「おれが小悪党だと?
さっきまで結婚を心待ちにしていた小娘が、よくそんな悪口を言えたものだ。
心底おれに惚れていたくせに」
「ええ、幻滅しながらもあなたを愛していたわ。
悪いところも含めて、あなたのありのままを愛していこうと思っていたの。
それが本当の愛だと思っていたから。
でも婚約破棄するというなら、ただ外ヅラだけの、心の醜いクズ男だわ」
「き、貴様ッ!」
言いすぎだ。
これはとてもよくないとフェリシアは焦った。
このままではマリーも反撃を免れない。
もし本当にサミュエルが悪い男なら、衆人環視のなかでこんなことをいわれて黙って引き下がるわけがない。
案の定、怒り心頭となった彼は、言ってはならないことを口にしてしまった。
「マリー、おれはおまえの噂を聞いたんだ。
おれと舞踏会で出会うすこしまえまで、おまえには男がいたんだろう?
そいつがおまえを抱いたと吹聴している。
おれはキズモノを掴まされたって、男たちのあいだで笑い者になってるんだ!
なにが初めてだ、大嘘をつきやがって!」
「嘘なんかじゃない!
その男とは手も繋がないうちに別れたんだから。
きっと腹いせでありもしないことを言っているんだわ」
「はは、どうだろうな。
おれは噂を聞くまえからおかしいと思っていたんだ。
おまえ、初めてにしてはずいぶん――」
いけない。
それ以上、マリーを傷つけることは許されない。
もうすぐ壇上というところまで走ってきたフェリシアは、息も絶え絶えに、聖女にあるまじき大声をだした。
「ふたりとも、やめて!
話し合いなら裏でやってください。
妹は、マリーの人生は、たとえここで婚約破棄されてもこれからずっと続いていくのですから。
もう傷つけるのはやめて!」
「お姉ちゃん……」
マリーが涙目でフェリシアを見た。
サミュエルも、舌打ちをして発言をやめてくれた。
なんとか間に合った。
最悪の事態になるまえに、妹のそばにたどり着くことができた。
可哀想なマリー。
お姉ちゃんが一緒に帰ってあげるから、もうひとりで泣かないで。
壇上にあがって抱きしめようと近寄りながら、フェリシアはそう思った。
が、涙がとめどなく溢れるマリーの目の奥には、悲しみよりも激しい怒りの炎があった。
「お姉ちゃんごめんなさい、恥をかかせて。
せっかく、お役目を休んでまで来てくれたのにね。
封魔の塔のほうは、大丈夫?
お姉ちゃんがいないうちに、魔王が復活したりしない?」
「え? ええ、大丈夫よ」
フェリシアは聖女として、森の奥にある封魔の塔の監視を任されていた。
そこには、かつて王都を滅ぼそうとした、恐ろしい魔王が封じられている。
でもその話は、いまは関係ない。
こんなに怒っているマリーは、なぜ塔のことなど話題にしたのだろう。
ふしぎに思いながらも、彼女をすこしでも安心させようとして、フェリシアは懐から魔石を取り出した。
「ほら、これが塔の鍵よ。
お姉ちゃんがこれを持っているかぎり、あそこにはだれも立ち入ることができない。
心配しなくていいから、いまはわたしと家に――えっ?」
「ごめん、お姉ちゃん!」
マリーが魔石を奪った。
そして、間髪置かずに走りだす。
壇上から扉を出て、ドレスの裾をひるがえしながら王宮の廊下を駆けてゆく。
「ま、待ちなさい!」
唖然とするサミュエルや招待客を残して、フェリシアも妹を追いかける。
聖女としてのいつもの衣装で参加していた彼女は、ドレスを着たマリーよりは動きやすい。
でも、またしてもかけっこだ。
さっき走った疲れが癒えていないことと、不意を突かれて出遅れたこともあり、追いつけないまま王宮の正門を出てしまった。
「待って! 待ってったらマリー!
それはおもちゃじゃないのよ?
魔王の封印が解かれると、耐性のないあなたなんて一瞬で身体を奪われてしまうんだから」
「アタシもう、子どもじゃないよ。
そんなことはわかってる。
わかっててこうするんだから、放っといて」
魔王に身体を奪われるのをわかっている?
あの子はなにを言っているのだろう?
フェリシアは、わけがわからないと思いながらも、必死で彼女を追いかけた。
だが、聖女は普段、ほとんど走ることがない。
つい一年前まで学生だった妹には、体力で負けている。
「ちょ……っと、待って……マリー」
しだいに妹の背中は遠くなり、彼女の姿が森へと消えてゆく。
最後に遠くから、憎しみに燃えた声が聞こえてきた。
「アタシ、あいつのことを絶対に許せない。
アタシだけじゃなくて、お姉ちゃんにまで恥をかかせたあの男のことを絶対に許せない。
魔王になって、アタシがあいつをむごたらしく殺してやる!」
フェリシアは膝をつき、ついには倒れた。
「ダメ……ダメよ……。
マリー、帰ってきて……!」
妹が消えていった方角は、魔王が封印されている封魔の塔のある方角だった。
悪いが、本日かぎりで王宮を出ていってくれ」
聖女フェリシアは目と耳を疑った。
妹マリーの十六歳の誕生日パーティに招待されたはずが、いつのまにかそれが、王太子サミュエルによる婚約破棄パーティの様相を呈していたからだ。
(え、なに? 演劇でも始まったの?
ううん、違う。
あの子が……マリーが泣いているわ。
これは冗談なんかじゃない)
フェリシアは招待席から立ち上がった。
すぐに妹のそばに行かなければ。
壇上までの距離がもどかしく、パーティ会場となった王宮のテーブルとテーブルのあいだを小走りで抜けてゆく。
「サミュエル!」
そんなうちに、泣いていたマリーが叫んだ。
真っ白なドレスに身を包んだ彼女はとても美しいが、その肩は怒りと悲しみで遠目にわかるほど震えている。
「サミュエル、あなたどういうつもり!?
アタシの誕生日を祝いたいと言ってこんなに人を集めて、そこでわざわざ婚約破棄を発表するだなんて。
辱めにもほどがあるでしょう?」
「誤解だ。
おれはただ、純粋にきみの誕生日を祝いたいと――」
「そんなわけがない。
アタシは婚約してここであなたと半年暮らしたから、もう知っているのよ。
あなたが立派なのは見た目だけで、その中身は、とんでもなくプライドの高い小悪党だということを」
「な、なんだと!」
サミュエルが色をなした。
ハンサムで長身の彼は武芸にも秀でているともっぱらの評判で、細身ながらも中に筋肉が感じられるその身体は、多くの女性たちの憧れの的だった。
聖女という立場がなければ、フェリシアも妹を羨ましく思っていたかもしれない。
だがその彼を、マリーは小悪党といった。
国民から見えるいつもの彼なら、なにをいわれても鷹揚に笑って流しそうなものだが、たしかにいまの彼はマリーの言うとおり小者っぽく表情を歪めて青筋を立てている。
「おれが小悪党だと?
さっきまで結婚を心待ちにしていた小娘が、よくそんな悪口を言えたものだ。
心底おれに惚れていたくせに」
「ええ、幻滅しながらもあなたを愛していたわ。
悪いところも含めて、あなたのありのままを愛していこうと思っていたの。
それが本当の愛だと思っていたから。
でも婚約破棄するというなら、ただ外ヅラだけの、心の醜いクズ男だわ」
「き、貴様ッ!」
言いすぎだ。
これはとてもよくないとフェリシアは焦った。
このままではマリーも反撃を免れない。
もし本当にサミュエルが悪い男なら、衆人環視のなかでこんなことをいわれて黙って引き下がるわけがない。
案の定、怒り心頭となった彼は、言ってはならないことを口にしてしまった。
「マリー、おれはおまえの噂を聞いたんだ。
おれと舞踏会で出会うすこしまえまで、おまえには男がいたんだろう?
そいつがおまえを抱いたと吹聴している。
おれはキズモノを掴まされたって、男たちのあいだで笑い者になってるんだ!
なにが初めてだ、大嘘をつきやがって!」
「嘘なんかじゃない!
その男とは手も繋がないうちに別れたんだから。
きっと腹いせでありもしないことを言っているんだわ」
「はは、どうだろうな。
おれは噂を聞くまえからおかしいと思っていたんだ。
おまえ、初めてにしてはずいぶん――」
いけない。
それ以上、マリーを傷つけることは許されない。
もうすぐ壇上というところまで走ってきたフェリシアは、息も絶え絶えに、聖女にあるまじき大声をだした。
「ふたりとも、やめて!
話し合いなら裏でやってください。
妹は、マリーの人生は、たとえここで婚約破棄されてもこれからずっと続いていくのですから。
もう傷つけるのはやめて!」
「お姉ちゃん……」
マリーが涙目でフェリシアを見た。
サミュエルも、舌打ちをして発言をやめてくれた。
なんとか間に合った。
最悪の事態になるまえに、妹のそばにたどり着くことができた。
可哀想なマリー。
お姉ちゃんが一緒に帰ってあげるから、もうひとりで泣かないで。
壇上にあがって抱きしめようと近寄りながら、フェリシアはそう思った。
が、涙がとめどなく溢れるマリーの目の奥には、悲しみよりも激しい怒りの炎があった。
「お姉ちゃんごめんなさい、恥をかかせて。
せっかく、お役目を休んでまで来てくれたのにね。
封魔の塔のほうは、大丈夫?
お姉ちゃんがいないうちに、魔王が復活したりしない?」
「え? ええ、大丈夫よ」
フェリシアは聖女として、森の奥にある封魔の塔の監視を任されていた。
そこには、かつて王都を滅ぼそうとした、恐ろしい魔王が封じられている。
でもその話は、いまは関係ない。
こんなに怒っているマリーは、なぜ塔のことなど話題にしたのだろう。
ふしぎに思いながらも、彼女をすこしでも安心させようとして、フェリシアは懐から魔石を取り出した。
「ほら、これが塔の鍵よ。
お姉ちゃんがこれを持っているかぎり、あそこにはだれも立ち入ることができない。
心配しなくていいから、いまはわたしと家に――えっ?」
「ごめん、お姉ちゃん!」
マリーが魔石を奪った。
そして、間髪置かずに走りだす。
壇上から扉を出て、ドレスの裾をひるがえしながら王宮の廊下を駆けてゆく。
「ま、待ちなさい!」
唖然とするサミュエルや招待客を残して、フェリシアも妹を追いかける。
聖女としてのいつもの衣装で参加していた彼女は、ドレスを着たマリーよりは動きやすい。
でも、またしてもかけっこだ。
さっき走った疲れが癒えていないことと、不意を突かれて出遅れたこともあり、追いつけないまま王宮の正門を出てしまった。
「待って! 待ってったらマリー!
それはおもちゃじゃないのよ?
魔王の封印が解かれると、耐性のないあなたなんて一瞬で身体を奪われてしまうんだから」
「アタシもう、子どもじゃないよ。
そんなことはわかってる。
わかっててこうするんだから、放っといて」
魔王に身体を奪われるのをわかっている?
あの子はなにを言っているのだろう?
フェリシアは、わけがわからないと思いながらも、必死で彼女を追いかけた。
だが、聖女は普段、ほとんど走ることがない。
つい一年前まで学生だった妹には、体力で負けている。
「ちょ……っと、待って……マリー」
しだいに妹の背中は遠くなり、彼女の姿が森へと消えてゆく。
最後に遠くから、憎しみに燃えた声が聞こえてきた。
「アタシ、あいつのことを絶対に許せない。
アタシだけじゃなくて、お姉ちゃんにまで恥をかかせたあの男のことを絶対に許せない。
魔王になって、アタシがあいつをむごたらしく殺してやる!」
フェリシアは膝をつき、ついには倒れた。
「ダメ……ダメよ……。
マリー、帰ってきて……!」
妹が消えていった方角は、魔王が封印されている封魔の塔のある方角だった。
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