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第二章
第34話 死霊術士と美人受付嬢、二日酔いの薬を買いに行く
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「う……」
鈍い頭痛と胃の不快感で目が覚めた。
窓から射しこむ光の感じから察するに、今は午前十一時くらいか。
ぼうっと天井の染みを眺めていても仕方がないので、俺は頭を抑えながらベッドから出た。
ベット脇に設えてあるサイドテーブルからネックレスを取り、首にかける。
「頭痛ぇ……」
床を踏むたびに頭に痛みが走る。
下に頭痛に効く薬草とか置いていないかな……。
回復魔法で治せるのは外傷だけだから、さすがにリリスにも二日酔いは治せないだろうし。
そもそもリリスも昨日はだいぶ飲んでたからな。まだ寝ているかもしれない。
一階に行ってオデットに二日酔いの薬を融通してもらえないか訊いてみるか。
壁にかけておいたコートを羽織り、俺は部屋を出た。
一階に下りると、やはりホールはガラガラで、酒場で酔いつぶれたおっさんやクエストを物色している者が数人いるくらいだった。
冒険者の朝は早いのだ。
何せ、新しいクエスト募集票が張り出されるのが朝の六時だからな。
俺もジョーキットのパーティーに入る前はよく早起きして楽で割りの良いクエストを漁っていたものだ。
それが今は魔王討伐をしようとしているとは、未だに信じられない。
とはいえあと一時間もすれば、昼飯目当ての冒険者たちが酒場に押し寄せるだろう。
用事は早めに済ませねば。
しかし、どこを見てもオデットがいない。
いつもの受付カウンターには見たことのない中年男性の職員が詰めている。
面識のない彼に声をかけて二日酔いの薬を都合してくれと言うのは少し躊躇われるな。
オデットは今日は休みなのかな。
「おいっ! なーにキョロキョロしてんのよ」
突然、後頭部をこつんと叩かれて――。
振り返ると、気分の悪そうなオデットが立っていた。
「あ、オデット。おはよう」
「おはようクラウス。あんたも今起きたとこ?」
「そうだけど。何でわかった?」
「みっともない寝ぐせつけてるから」
後頭部に手を当ててみると、一部の髪が逆立っていた。
確かに、こりゃみっともない。
「あんたもってことは、オデットもか?」
「ええ。今日は休みだからね。じゃなきゃあんなに飲まないわよ」
よく見ると今日のオデットはいつもの赤チェックのベストは着ていない。
第二ボタンまで開けて着崩された黒ブラウスに、下は茶色いフレアスカートとブーツというラフな格好だ。いつもつけている上品なシルクの白い手袋も、今日は黒っぽい麻のカジュアルなものに変わっている。
こうして見ると、オデットはなかなか胸がでかいんだなぁ。
ちょっと角度を変えたらブラウスの隙間から谷間が見えそうだ。
おっといかんいかん。二日酔いで理性がやられているかもしれない。
「いや、お前昨日仕事だったのに一昨日も飲みまくってたろ……」
「そうね……いくら盛り上がったからとはいえ、二日連続は身体が悲鳴上げてるわ……」
オデットは右手を頭に当てて首を横に振った。
俺と同様オデットも酷い二日酔いに襲われているようだ。
「なあ、二日酔いの薬草とかギルドに置いてないか?」
「それが今日に限ってないのよ。普段は酒場かギルドのカウンターに常備してあるんだけどね」
「そうなのか、参ったな……」
「あたし今から行きつけの薬屋に向かうところなんだけど、あんたも来る? どうせその様子じゃあんたも今日は仕事にならないでしょ?」
「ああ、そうするよ……」
「良く効く薬を置いてるから、道を覚えておくと良いわ」
そういえば俺はまだこの町には三日前に来たばかりだ。
この町の店や施設の場所などをほとんど知らない。
良い機会だからオデットに案内してもらうか。
◇◇◇◇◇
ギルドのある中央広場を東方面へ出て、小道を真っすぐ進むと大きな通りにぶつかった。
「ここが商業通りね。まぁ見てもらえればわかるけど、色んな物が揃うわ」
通りにはたくさんの店舗や露店が軒を連ねている。
オデットの雑な解説でも十分なくらい、この光景からはこの場所の性質が伝わってきた。
たくさんの人々が通りを行き来し、店を出ては別の店へと入っており、店によっては行列までできている。
とても活気のある通りだ。
この町に来て三日も経つというのに、こんなところがあったとは知らなかったな。
「薬屋はこっちよ。あ~もう、頭痛い……」
通りを少し北へ歩いたところに薬屋はあった。
年季の入った小ぢんまりした建物だ。
オデットが引き戸を開けると、俺もそれに続く。
中に入ると、薬屋独特の何とも言えない匂いが鼻を掠めた。
殺風景な薬屋だ。
まぁ薬屋なんてそんなもんだろうけど。
内装は至ってシンプルで、長い棚が等間隔に四つ並んでおり薬草や飲み薬が並べられているのみだ。
奥にカウンターがあり、女性が突っ伏している。どうやら居眠りしているようだ。
ざっと店内を見回すと、客は俺たちの他には一人しかいない。
大丈夫か、この店。
「この店の薬師は腕は確かだから心配しないで」
俺の気持ちを見透かしたかのようにオデットが言った。
「あ、クラウス様!」
「ん?」
俺を呼ぶ声だ。
声のする方――店内左奥を見ると、空色の髪の少女がこちらに手を振っていた。
なんだ、もう一人の客はエレナだったのか。
エレナは満面の笑みを浮かべてこちらにやって来た。
「あ……オデット様もご一緒なのですね」
近くに来て初めてオデットの存在に気がついたようだ。
「ん、ちょっと二日酔いの薬を買いに来たのよ」
「ふーん……お二人きりで来られたのですね……」
どこか含みのある口調でエレナが言う。
何故かエレナは目を細めてオデットを凝視している。
すると。
「あー、ないない。エレナちゃんが心配してるようなことはないから、安心しなさい」
「な、なななっ!?」
「どうした、エレナ。顔を真っ赤にして……あ、風邪薬でも買いに来たのか。昨日は冷えたからなぁ」
ジョーキットのヘルブリザードは寒かった。
「いやいやあんた、それはないでしょ……」
オデットが顔の前でこれ見よがしに手を振って言った。
「え?」
「そ、そうですわ! 昨日からちょっぴり熱っぽくて、それで!!」
「昨日は色々あったからなぁ」
エレナにとっては昨日は激動の一日だったろう。
何せ父親が王都へ連行されたのだ。
あんなことがあった翌日に、こうして普通に買い物に来れているだけでもエレナは心の強い子だと思う。
いや、あんなことがあったからこそ外に出て人々と同じ空気を吸いたいのかもしれないけど。
「あー、わかったわかった。もう良いわ。二日酔いの頭に響くから静かにして……」
「だ、だから、違いますのに……」
顔を真っ赤にして俯くエレナを無視して、オデットはスタスタとカウンターの方へ向かい、近くの棚から慣れた手つきで小瓶を取った。
そしてオデットは片手で持った瓶をこちらにぶらぶらと揺らして見せた。
俺に早く来いと言っているのだろう。
「エレナ、体調は大丈夫か? 一人で歩けるか?」
「あ……大丈夫ですわ」
「そうか。じゃあ俺は薬を買ってくるよ。あまり無理するなよ」
「は、はい……」
そばに行くと、オデットは棚の一点を指さした。
頭痛が酷くて声を出すのも億劫なのだろう。
オデットが示した小瓶を手に取って見てみると、確かにラベルには『二日酔い用・一ヶ月分』と汚い字で書かれていた。
「おーっす、ナディア。起きろー」
俺が小瓶を取ったのを確認すると、オデットはカウンターに突っ伏している女性に声をかけた。
その口調から察するに、オデットとこの店員の女性は気安い仲らしいな。
「んー……」
オデットに肩を小突かれ、ナディアと呼ばれた女性は気怠げに顔を上げた。
若葉色の長く真っ直ぐな艶々した髪と、くっきりした目鼻立ちが特徴的な美人だ。年は二十歳くらいだろうか。
身体にフィットした詰め襟の白いローブを身につけており、悩ましい身体のラインが窺える。
カウンターに乗ったたゆんだ胸が、上体を起こす動きで揺れた。
「何だ、オデットか……」
無骨な黒い手袋をつけた手で眠そうな目をこすり、消え入りそうな声でナディアさんが呟いた。
「何だとは随分なご挨拶ね。わざわざこんなシケた薬屋に来てやったっていうのに」
「シケた薬屋とは……店の主人を前に言ってくれるな」
どうやら彼女がこの店の主人らしい。
この若さで大したものだな。
「まぁ良いわ。これ勘定頼んで良いかしら?」
そう言ってオデットは持っていた薬の小瓶をカウンターに置いた。
「ったく、勝手に金置いて釣り銭取って持ってけば良いだろ……わざわざ起こすなよ……」
寝ているところを起こされたのがひどく不満なのか、苛立たしげに言うナディアさん。
彼女が椅子から立ち上がると、すらりとした長身がカウンターの向こうに伸びた。背は俺やオデットより頭一つ高いな。
大きく口を開けて豪快な欠伸をしている。
「そんな態度だから客が来ないのよ。この店、店主の態度が悪いって評判よ?」
「うるせえな……。私は最低限食っていければ良いんだよ」
「こんなんじゃ食べていけるかも怪しいけどね」
「……チッ。口の減らねえ女だ」
ナディアさんは受け取った小瓶を一度カウンター台の内側に置いてから、紙袋を取り出した。
そして乱暴な手つきで台の内側から手に取った小瓶を紙袋にしまい、紙袋と釣り銭をわざとがましい音を立ててカウンターに置いた。
「ほら、持ってけよ!」
こ、怖い……。
「あのー、こっちも会計お願いして良いですか?」
「あぁ?」
恐る恐る俺が小瓶を差し出すと、ナディアさんはドスの利いた眼で俺を睨めつけた。
「誰だ、コイツ?」
どうやらナディアさんはたった今俺の存在に気がついたようだ。
「あたしの友人。三日前にこの町に来た冒険者よ」
「ど、どうも……クラウス・アイゼンシュタインです……」
俺は戦々恐々と頭を下げた。
「このシケた店に新しい客を連れて来てやったのよ。あんたにもついでに紹介しておこうと思ってね。じゃなきゃあんたみたいなアバズレ、わざわざ起こしたりしないわよ」
「あ? 誰がアバズレだって?」
ナディアさんは今にもオデットの胸ぐらに掴みかかろうという勢いだ。
それを涼しい顔で眺めるオデット。俺だったらチビっているかもしれない。
「ま、まぁまぁ、オデット……。寝ているところを起こしてしまってすみません、ナディアさん」
宥めるように俺が言うと、ナディアさんは鋭い目を俺に向けた。
す、凄い威圧感だ。
荒くれ者が多い冒険者でさえここまでの人はなかなかいないぞ。
だがここで引いてはいけない。
「誰だって寝ているところを起こされたら苛々しますからね。本当にすみません。オデットから、こちらの薬が良く効くと言われたものですから、俺も是非こちらの薬のご相伴にあずかりたく思いまして……」
と言ってはみたものの、ナディアさんは鋭い目つきはそのままで何も言葉を返してはくれない。
それどころか彼女の眼力はより凄みを増すばかりで、俺のひ弱な精神はそろそろ限界を迎えようとしていた。
しかし、そんな永遠にも思える数秒の後、ナディアさんは破顔して豪快に笑った。
「あっはっはっは! へぇ、そっちの男はわかってるじゃねえか。気に入ったぞ」
ナディアさんはカウンターから身を乗り出し、俺の肩を二回ほど力強く叩いた。
「ハハハ……」
苦笑いで返す俺。
よくわからないが、怒りを収めてくれたようだ。
「私はナディア・フォルナンドだ。よろしくな、クラウス」
「よ、よろしくお願いします」
握手をしようと右手を差し出す俺。
ところがナディアさんは俺の手を握らず、黒い手袋をつけた右手をグーの形にして俺の手の近くに寄せてきた。
それに合わせて俺が握り拳を作ると、そこにナディアさんの拳がぐいっと押し当てられた。
男性のような気性の人だなとは思ったが、こういう挨拶まで男っぽいとは。
まるで気の強い男友達ができたような気分だな。だけど見た目は綺麗な女性というギャップもあり、何だか不思議な感覚である。
「ほら、それ寄こせよ」
「あ、はい」
俺が小瓶を差し出すと、ナディアさんはオデットの時よりも些か丁寧に包んでくれた。
「ほらよ」
「ありがとうございます。これ代金です」
「いや、いらねえ」
銀貨を手渡そうとする俺を、ナディアさんは制した。
「え?」
「そいつは私らが知り合った記念にやるよ。その代わりまた来てくれればいいさ」
「そ、そうですか? ありがとうございます」
「おう」
ついさっきまでの緊迫した様子からは想像もつかない笑顔を浮かべるナディアさん。
それを見ていると、緊張していた俺の心もほぐれてしまった。
思っていたほど怖い人ではないのかもしれない。
「な、何よそれ? あたしのもタダにしなさいよ! 数少ない常連様よ?」
オデットが口を尖らせた。
「やなこった。嫌ならもう来なくていいぞ。お前みたいな常連いらねえからな」
「なっ……あたしがいくらこの店に貢献してやってると思ってるの……」
食い下がるオデットだが、ナディアさんは戯言を軽くあしらうように腕を振った。
「はっはっは。私の調合する薬は大陸一だからな。私の二日酔い薬が買えなくて一番困るのはお前だろ、酒食らいオデット。何ならお前だけ倍の値段で売ってやっても良いんだぞ?」
「ぐぅぅ……」
ブツブツと文句を言うオデットだが、ナディアさんはまったく意に介していない様子である。
「オデット、そろそろギルドに戻って薬を飲もう」
早く薬を飲んでこの忌々しい頭痛と吐き気とはおさらばしたいのだ。
「うぅ……悔しいわ……」
そうこうしていると、エレナが両手いっぱいに商品を抱えてやってきた。
「ナディア様。これをくださいな」
どん、と大量の薬瓶や薬草の入った小袋が置かれた。
「おぉ、エレナ。いらっしゃい」
ナディアさんはエレナに愛想良く笑いかけ、商品を袋に詰めていった。
明らかに個人が通常の用途で買う量の薬ではない。
「そんなに薬を買うのか?」
「はい。わたくしの専攻は回復魔法だということは申し上げましたわよね? その延長で、こういった薬品の調合のお勉強もしているのですわ。ここのお薬は一流ですからね、参考にするのにはうってつけなのです。勉強が終われば薬としてクエストで消費できますし、一石二鳥なのですわ」
「へぇ、勉強家なんだな、エレナは――」
ん?
「あれ。さっきは熱が出たから風邪薬を買いに来たって」
「熱? とてもそうは見えねえけどな。この中に解熱剤もないじゃねえか」
ナディアさんが言うとおり、エレナは至って元気そうに見える。
さっきはあんなに顔を赤くしていたんだが。
「えっ! あぁ、えっと……そのですね……」
と思いきや、エレナの頬は再び赤みを帯びてきた。
「どうした? 大丈夫か?」
「何だ、額が凄く熱いじゃねえか。今から特製の薬でも調合してやろうか?」
「い、いえ、けけけ、結構ですわ! ナディア様、申し訳ありませんがわたくし急いでおりますので――」
「ん、そうか? じゃあこれ、商品だ。お代はいつも通りギルドにツケておけばいいか?」
「はい! ありがとうございます。それでは、ナディア様、オデット様、クラウス様、ごきげんよう!」
商品の入った袋を受け取ると、エレナはそそくさと店を出て行ってしまった。
「何だったんだ? あんな落ち着きのないエレナは見たことねえぞ」
「さあ……?」
俺とナディアさんが首を傾げていると、オデットが大きくため息をついた。
「はぁぁぁ……。お二人さん、エレナちゃんに効く薬はここにはないのよ」
「え、そうなのか?」
「あぁ? オデット、私に作れねえ薬があるって言いたいのか?」
ナディアさんに再び怒気が宿る。
オデット、また火に油を注ぐようなことを――。
「まったく、馬鹿につける薬がないってのは良く言ったもんね……」
「何だと? それは薬師の私に対する挑戦か?」
「行くわよ、クラウス。さっきより頭痛が酷くなってきたわ……」
オデットは薬の入った小袋を懐にしまうと、ナディアさんを無視して出口へと歩き出してしまった。
「で、では、ナディアさん。お薬、ありがとうございました。また来ます!」
「おう、クラウス。また来いよ!」
俺の挨拶に、ナディアさんは顔をほころばせてにっこり笑うと、すぐにまた視線をオデットに向けて険しい表情になった。
表情豊かな人だな。
「おいオデットォォォォッ!! まだ話は終わってねえぞおぉぉぉ!! おぉぉぉい!!」
店を後にして賑やかな通りに出てもなお響き渡るナディアさんの怒声を、オデットは何故だかとても愉快そうな顔で聞き流すのだった。
鈍い頭痛と胃の不快感で目が覚めた。
窓から射しこむ光の感じから察するに、今は午前十一時くらいか。
ぼうっと天井の染みを眺めていても仕方がないので、俺は頭を抑えながらベッドから出た。
ベット脇に設えてあるサイドテーブルからネックレスを取り、首にかける。
「頭痛ぇ……」
床を踏むたびに頭に痛みが走る。
下に頭痛に効く薬草とか置いていないかな……。
回復魔法で治せるのは外傷だけだから、さすがにリリスにも二日酔いは治せないだろうし。
そもそもリリスも昨日はだいぶ飲んでたからな。まだ寝ているかもしれない。
一階に行ってオデットに二日酔いの薬を融通してもらえないか訊いてみるか。
壁にかけておいたコートを羽織り、俺は部屋を出た。
一階に下りると、やはりホールはガラガラで、酒場で酔いつぶれたおっさんやクエストを物色している者が数人いるくらいだった。
冒険者の朝は早いのだ。
何せ、新しいクエスト募集票が張り出されるのが朝の六時だからな。
俺もジョーキットのパーティーに入る前はよく早起きして楽で割りの良いクエストを漁っていたものだ。
それが今は魔王討伐をしようとしているとは、未だに信じられない。
とはいえあと一時間もすれば、昼飯目当ての冒険者たちが酒場に押し寄せるだろう。
用事は早めに済ませねば。
しかし、どこを見てもオデットがいない。
いつもの受付カウンターには見たことのない中年男性の職員が詰めている。
面識のない彼に声をかけて二日酔いの薬を都合してくれと言うのは少し躊躇われるな。
オデットは今日は休みなのかな。
「おいっ! なーにキョロキョロしてんのよ」
突然、後頭部をこつんと叩かれて――。
振り返ると、気分の悪そうなオデットが立っていた。
「あ、オデット。おはよう」
「おはようクラウス。あんたも今起きたとこ?」
「そうだけど。何でわかった?」
「みっともない寝ぐせつけてるから」
後頭部に手を当ててみると、一部の髪が逆立っていた。
確かに、こりゃみっともない。
「あんたもってことは、オデットもか?」
「ええ。今日は休みだからね。じゃなきゃあんなに飲まないわよ」
よく見ると今日のオデットはいつもの赤チェックのベストは着ていない。
第二ボタンまで開けて着崩された黒ブラウスに、下は茶色いフレアスカートとブーツというラフな格好だ。いつもつけている上品なシルクの白い手袋も、今日は黒っぽい麻のカジュアルなものに変わっている。
こうして見ると、オデットはなかなか胸がでかいんだなぁ。
ちょっと角度を変えたらブラウスの隙間から谷間が見えそうだ。
おっといかんいかん。二日酔いで理性がやられているかもしれない。
「いや、お前昨日仕事だったのに一昨日も飲みまくってたろ……」
「そうね……いくら盛り上がったからとはいえ、二日連続は身体が悲鳴上げてるわ……」
オデットは右手を頭に当てて首を横に振った。
俺と同様オデットも酷い二日酔いに襲われているようだ。
「なあ、二日酔いの薬草とかギルドに置いてないか?」
「それが今日に限ってないのよ。普段は酒場かギルドのカウンターに常備してあるんだけどね」
「そうなのか、参ったな……」
「あたし今から行きつけの薬屋に向かうところなんだけど、あんたも来る? どうせその様子じゃあんたも今日は仕事にならないでしょ?」
「ああ、そうするよ……」
「良く効く薬を置いてるから、道を覚えておくと良いわ」
そういえば俺はまだこの町には三日前に来たばかりだ。
この町の店や施設の場所などをほとんど知らない。
良い機会だからオデットに案内してもらうか。
◇◇◇◇◇
ギルドのある中央広場を東方面へ出て、小道を真っすぐ進むと大きな通りにぶつかった。
「ここが商業通りね。まぁ見てもらえればわかるけど、色んな物が揃うわ」
通りにはたくさんの店舗や露店が軒を連ねている。
オデットの雑な解説でも十分なくらい、この光景からはこの場所の性質が伝わってきた。
たくさんの人々が通りを行き来し、店を出ては別の店へと入っており、店によっては行列までできている。
とても活気のある通りだ。
この町に来て三日も経つというのに、こんなところがあったとは知らなかったな。
「薬屋はこっちよ。あ~もう、頭痛い……」
通りを少し北へ歩いたところに薬屋はあった。
年季の入った小ぢんまりした建物だ。
オデットが引き戸を開けると、俺もそれに続く。
中に入ると、薬屋独特の何とも言えない匂いが鼻を掠めた。
殺風景な薬屋だ。
まぁ薬屋なんてそんなもんだろうけど。
内装は至ってシンプルで、長い棚が等間隔に四つ並んでおり薬草や飲み薬が並べられているのみだ。
奥にカウンターがあり、女性が突っ伏している。どうやら居眠りしているようだ。
ざっと店内を見回すと、客は俺たちの他には一人しかいない。
大丈夫か、この店。
「この店の薬師は腕は確かだから心配しないで」
俺の気持ちを見透かしたかのようにオデットが言った。
「あ、クラウス様!」
「ん?」
俺を呼ぶ声だ。
声のする方――店内左奥を見ると、空色の髪の少女がこちらに手を振っていた。
なんだ、もう一人の客はエレナだったのか。
エレナは満面の笑みを浮かべてこちらにやって来た。
「あ……オデット様もご一緒なのですね」
近くに来て初めてオデットの存在に気がついたようだ。
「ん、ちょっと二日酔いの薬を買いに来たのよ」
「ふーん……お二人きりで来られたのですね……」
どこか含みのある口調でエレナが言う。
何故かエレナは目を細めてオデットを凝視している。
すると。
「あー、ないない。エレナちゃんが心配してるようなことはないから、安心しなさい」
「な、なななっ!?」
「どうした、エレナ。顔を真っ赤にして……あ、風邪薬でも買いに来たのか。昨日は冷えたからなぁ」
ジョーキットのヘルブリザードは寒かった。
「いやいやあんた、それはないでしょ……」
オデットが顔の前でこれ見よがしに手を振って言った。
「え?」
「そ、そうですわ! 昨日からちょっぴり熱っぽくて、それで!!」
「昨日は色々あったからなぁ」
エレナにとっては昨日は激動の一日だったろう。
何せ父親が王都へ連行されたのだ。
あんなことがあった翌日に、こうして普通に買い物に来れているだけでもエレナは心の強い子だと思う。
いや、あんなことがあったからこそ外に出て人々と同じ空気を吸いたいのかもしれないけど。
「あー、わかったわかった。もう良いわ。二日酔いの頭に響くから静かにして……」
「だ、だから、違いますのに……」
顔を真っ赤にして俯くエレナを無視して、オデットはスタスタとカウンターの方へ向かい、近くの棚から慣れた手つきで小瓶を取った。
そしてオデットは片手で持った瓶をこちらにぶらぶらと揺らして見せた。
俺に早く来いと言っているのだろう。
「エレナ、体調は大丈夫か? 一人で歩けるか?」
「あ……大丈夫ですわ」
「そうか。じゃあ俺は薬を買ってくるよ。あまり無理するなよ」
「は、はい……」
そばに行くと、オデットは棚の一点を指さした。
頭痛が酷くて声を出すのも億劫なのだろう。
オデットが示した小瓶を手に取って見てみると、確かにラベルには『二日酔い用・一ヶ月分』と汚い字で書かれていた。
「おーっす、ナディア。起きろー」
俺が小瓶を取ったのを確認すると、オデットはカウンターに突っ伏している女性に声をかけた。
その口調から察するに、オデットとこの店員の女性は気安い仲らしいな。
「んー……」
オデットに肩を小突かれ、ナディアと呼ばれた女性は気怠げに顔を上げた。
若葉色の長く真っ直ぐな艶々した髪と、くっきりした目鼻立ちが特徴的な美人だ。年は二十歳くらいだろうか。
身体にフィットした詰め襟の白いローブを身につけており、悩ましい身体のラインが窺える。
カウンターに乗ったたゆんだ胸が、上体を起こす動きで揺れた。
「何だ、オデットか……」
無骨な黒い手袋をつけた手で眠そうな目をこすり、消え入りそうな声でナディアさんが呟いた。
「何だとは随分なご挨拶ね。わざわざこんなシケた薬屋に来てやったっていうのに」
「シケた薬屋とは……店の主人を前に言ってくれるな」
どうやら彼女がこの店の主人らしい。
この若さで大したものだな。
「まぁ良いわ。これ勘定頼んで良いかしら?」
そう言ってオデットは持っていた薬の小瓶をカウンターに置いた。
「ったく、勝手に金置いて釣り銭取って持ってけば良いだろ……わざわざ起こすなよ……」
寝ているところを起こされたのがひどく不満なのか、苛立たしげに言うナディアさん。
彼女が椅子から立ち上がると、すらりとした長身がカウンターの向こうに伸びた。背は俺やオデットより頭一つ高いな。
大きく口を開けて豪快な欠伸をしている。
「そんな態度だから客が来ないのよ。この店、店主の態度が悪いって評判よ?」
「うるせえな……。私は最低限食っていければ良いんだよ」
「こんなんじゃ食べていけるかも怪しいけどね」
「……チッ。口の減らねえ女だ」
ナディアさんは受け取った小瓶を一度カウンター台の内側に置いてから、紙袋を取り出した。
そして乱暴な手つきで台の内側から手に取った小瓶を紙袋にしまい、紙袋と釣り銭をわざとがましい音を立ててカウンターに置いた。
「ほら、持ってけよ!」
こ、怖い……。
「あのー、こっちも会計お願いして良いですか?」
「あぁ?」
恐る恐る俺が小瓶を差し出すと、ナディアさんはドスの利いた眼で俺を睨めつけた。
「誰だ、コイツ?」
どうやらナディアさんはたった今俺の存在に気がついたようだ。
「あたしの友人。三日前にこの町に来た冒険者よ」
「ど、どうも……クラウス・アイゼンシュタインです……」
俺は戦々恐々と頭を下げた。
「このシケた店に新しい客を連れて来てやったのよ。あんたにもついでに紹介しておこうと思ってね。じゃなきゃあんたみたいなアバズレ、わざわざ起こしたりしないわよ」
「あ? 誰がアバズレだって?」
ナディアさんは今にもオデットの胸ぐらに掴みかかろうという勢いだ。
それを涼しい顔で眺めるオデット。俺だったらチビっているかもしれない。
「ま、まぁまぁ、オデット……。寝ているところを起こしてしまってすみません、ナディアさん」
宥めるように俺が言うと、ナディアさんは鋭い目を俺に向けた。
す、凄い威圧感だ。
荒くれ者が多い冒険者でさえここまでの人はなかなかいないぞ。
だがここで引いてはいけない。
「誰だって寝ているところを起こされたら苛々しますからね。本当にすみません。オデットから、こちらの薬が良く効くと言われたものですから、俺も是非こちらの薬のご相伴にあずかりたく思いまして……」
と言ってはみたものの、ナディアさんは鋭い目つきはそのままで何も言葉を返してはくれない。
それどころか彼女の眼力はより凄みを増すばかりで、俺のひ弱な精神はそろそろ限界を迎えようとしていた。
しかし、そんな永遠にも思える数秒の後、ナディアさんは破顔して豪快に笑った。
「あっはっはっは! へぇ、そっちの男はわかってるじゃねえか。気に入ったぞ」
ナディアさんはカウンターから身を乗り出し、俺の肩を二回ほど力強く叩いた。
「ハハハ……」
苦笑いで返す俺。
よくわからないが、怒りを収めてくれたようだ。
「私はナディア・フォルナンドだ。よろしくな、クラウス」
「よ、よろしくお願いします」
握手をしようと右手を差し出す俺。
ところがナディアさんは俺の手を握らず、黒い手袋をつけた右手をグーの形にして俺の手の近くに寄せてきた。
それに合わせて俺が握り拳を作ると、そこにナディアさんの拳がぐいっと押し当てられた。
男性のような気性の人だなとは思ったが、こういう挨拶まで男っぽいとは。
まるで気の強い男友達ができたような気分だな。だけど見た目は綺麗な女性というギャップもあり、何だか不思議な感覚である。
「ほら、それ寄こせよ」
「あ、はい」
俺が小瓶を差し出すと、ナディアさんはオデットの時よりも些か丁寧に包んでくれた。
「ほらよ」
「ありがとうございます。これ代金です」
「いや、いらねえ」
銀貨を手渡そうとする俺を、ナディアさんは制した。
「え?」
「そいつは私らが知り合った記念にやるよ。その代わりまた来てくれればいいさ」
「そ、そうですか? ありがとうございます」
「おう」
ついさっきまでの緊迫した様子からは想像もつかない笑顔を浮かべるナディアさん。
それを見ていると、緊張していた俺の心もほぐれてしまった。
思っていたほど怖い人ではないのかもしれない。
「な、何よそれ? あたしのもタダにしなさいよ! 数少ない常連様よ?」
オデットが口を尖らせた。
「やなこった。嫌ならもう来なくていいぞ。お前みたいな常連いらねえからな」
「なっ……あたしがいくらこの店に貢献してやってると思ってるの……」
食い下がるオデットだが、ナディアさんは戯言を軽くあしらうように腕を振った。
「はっはっは。私の調合する薬は大陸一だからな。私の二日酔い薬が買えなくて一番困るのはお前だろ、酒食らいオデット。何ならお前だけ倍の値段で売ってやっても良いんだぞ?」
「ぐぅぅ……」
ブツブツと文句を言うオデットだが、ナディアさんはまったく意に介していない様子である。
「オデット、そろそろギルドに戻って薬を飲もう」
早く薬を飲んでこの忌々しい頭痛と吐き気とはおさらばしたいのだ。
「うぅ……悔しいわ……」
そうこうしていると、エレナが両手いっぱいに商品を抱えてやってきた。
「ナディア様。これをくださいな」
どん、と大量の薬瓶や薬草の入った小袋が置かれた。
「おぉ、エレナ。いらっしゃい」
ナディアさんはエレナに愛想良く笑いかけ、商品を袋に詰めていった。
明らかに個人が通常の用途で買う量の薬ではない。
「そんなに薬を買うのか?」
「はい。わたくしの専攻は回復魔法だということは申し上げましたわよね? その延長で、こういった薬品の調合のお勉強もしているのですわ。ここのお薬は一流ですからね、参考にするのにはうってつけなのです。勉強が終われば薬としてクエストで消費できますし、一石二鳥なのですわ」
「へぇ、勉強家なんだな、エレナは――」
ん?
「あれ。さっきは熱が出たから風邪薬を買いに来たって」
「熱? とてもそうは見えねえけどな。この中に解熱剤もないじゃねえか」
ナディアさんが言うとおり、エレナは至って元気そうに見える。
さっきはあんなに顔を赤くしていたんだが。
「えっ! あぁ、えっと……そのですね……」
と思いきや、エレナの頬は再び赤みを帯びてきた。
「どうした? 大丈夫か?」
「何だ、額が凄く熱いじゃねえか。今から特製の薬でも調合してやろうか?」
「い、いえ、けけけ、結構ですわ! ナディア様、申し訳ありませんがわたくし急いでおりますので――」
「ん、そうか? じゃあこれ、商品だ。お代はいつも通りギルドにツケておけばいいか?」
「はい! ありがとうございます。それでは、ナディア様、オデット様、クラウス様、ごきげんよう!」
商品の入った袋を受け取ると、エレナはそそくさと店を出て行ってしまった。
「何だったんだ? あんな落ち着きのないエレナは見たことねえぞ」
「さあ……?」
俺とナディアさんが首を傾げていると、オデットが大きくため息をついた。
「はぁぁぁ……。お二人さん、エレナちゃんに効く薬はここにはないのよ」
「え、そうなのか?」
「あぁ? オデット、私に作れねえ薬があるって言いたいのか?」
ナディアさんに再び怒気が宿る。
オデット、また火に油を注ぐようなことを――。
「まったく、馬鹿につける薬がないってのは良く言ったもんね……」
「何だと? それは薬師の私に対する挑戦か?」
「行くわよ、クラウス。さっきより頭痛が酷くなってきたわ……」
オデットは薬の入った小袋を懐にしまうと、ナディアさんを無視して出口へと歩き出してしまった。
「で、では、ナディアさん。お薬、ありがとうございました。また来ます!」
「おう、クラウス。また来いよ!」
俺の挨拶に、ナディアさんは顔をほころばせてにっこり笑うと、すぐにまた視線をオデットに向けて険しい表情になった。
表情豊かな人だな。
「おいオデットォォォォッ!! まだ話は終わってねえぞおぉぉぉ!! おぉぉぉい!!」
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