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ジェームズトンプソンと深紅の男
面倒な連絡
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僕はいつもの喫茶店で、息を整え椅子についていた。今、弟の面倒は兄が見てくれている。兄は典型的な不良だが、いまは猫の手も借りたい状況だ。
「よし、そろそろお前の出番だぜ」
バイト仲間のオースティンに声を掛けられた。今日もまた喫茶店のくだらない仕事が始まるのだ──少々憂鬱な気分でありながらも、立ち上がって軽く伸びをした。
ふいにカウンターの上にポツンと置かれた受話器が激しく鳴った。すぐさまオースティンが作り笑いを浮かべ、取りにいった。
「はい。ミラー喫茶です……は、レオンか? ここは商業用の電話だって分かってるだろ。ミラーさんに小言を食らっちまうぞ」
レジに着こうとすると、そんな会話が聞こえてきた。何の用かは知らないが、この仕事には家族の生活がかかっている。友達の電話にいちいち反応するような、中途半端な心意気ではやっていけない。
「おい、お前にだってよ」
しかし、オースティンに電話を手渡されたので、しぶしぶ苛立ちを込めて挨拶した。
「もしもし。何の用だ?」
返事はものすごい音量のわめき散らす声だった。
「おい、緊急事態なんだ! 教授とジェームズが誘拐された。俺の捜査を手伝ってくれ!」
一旦間を置き、冷静になって応答しようとする。
「何バカなことを……その話が本当だとして、僕たちに何ができるっていうんだ?」
「犯罪者を相手にするのはこれが初めてじゃない! 俺は、二人を救いたいんだ。君と同じく、大事な友達になったから」
不覚にもそのセリフに心を動かされそうになった。
〈君が、二人と仲良くなったから助けに行きたい?──そんなの、知るかよ〉
そう心で思ったものの、口には出さなかった。代わりに出てきた言葉は──
「……で、僕は何をすればいいんだ?」
僕は大して考えもしないまま、そう言っていた。トンプソンと教授、そして二人を救おうと躍起になるレオンを見捨てることは──難しい。
「ありがとうな。ジェームズの事務所で集合だ。あそこなら役に立つものがあるはず」
そう言って電話を切られた。僕はため息をつき、オースティンに仕事の予定変更を伝えた。
「おいおい冗談だろ……」
と疲れた顔で言い、悪態をつかれた。許可自体はすぐくれたものの、意外にも彼は僕に対して疑念を抱いているようだった。面倒になると予感し、金庫代わりの戸棚から自分のかばんをもぎとって、早歩きでドアに向かった。
「待ってくれ。お前たちいったい、何に首を突っ込んだんだよ?」
去り際に声を掛けられた。好奇心と共に、心配が滲んだ声だ。僕は一瞬立ち止まり、唇を噛みしめた。
「俺は助けになれるぞ」
「間に合ってるよ」
できるだけ優しさを込めているつもりで言い、僕は喫茶店を後にした。
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます!少々「友情」に偏り過ぎてないとよいのですが・・・・ご意見いただけると嬉しいです!いいね・お気に入り登録もお願いします!
「よし、そろそろお前の出番だぜ」
バイト仲間のオースティンに声を掛けられた。今日もまた喫茶店のくだらない仕事が始まるのだ──少々憂鬱な気分でありながらも、立ち上がって軽く伸びをした。
ふいにカウンターの上にポツンと置かれた受話器が激しく鳴った。すぐさまオースティンが作り笑いを浮かべ、取りにいった。
「はい。ミラー喫茶です……は、レオンか? ここは商業用の電話だって分かってるだろ。ミラーさんに小言を食らっちまうぞ」
レジに着こうとすると、そんな会話が聞こえてきた。何の用かは知らないが、この仕事には家族の生活がかかっている。友達の電話にいちいち反応するような、中途半端な心意気ではやっていけない。
「おい、お前にだってよ」
しかし、オースティンに電話を手渡されたので、しぶしぶ苛立ちを込めて挨拶した。
「もしもし。何の用だ?」
返事はものすごい音量のわめき散らす声だった。
「おい、緊急事態なんだ! 教授とジェームズが誘拐された。俺の捜査を手伝ってくれ!」
一旦間を置き、冷静になって応答しようとする。
「何バカなことを……その話が本当だとして、僕たちに何ができるっていうんだ?」
「犯罪者を相手にするのはこれが初めてじゃない! 俺は、二人を救いたいんだ。君と同じく、大事な友達になったから」
不覚にもそのセリフに心を動かされそうになった。
〈君が、二人と仲良くなったから助けに行きたい?──そんなの、知るかよ〉
そう心で思ったものの、口には出さなかった。代わりに出てきた言葉は──
「……で、僕は何をすればいいんだ?」
僕は大して考えもしないまま、そう言っていた。トンプソンと教授、そして二人を救おうと躍起になるレオンを見捨てることは──難しい。
「ありがとうな。ジェームズの事務所で集合だ。あそこなら役に立つものがあるはず」
そう言って電話を切られた。僕はため息をつき、オースティンに仕事の予定変更を伝えた。
「おいおい冗談だろ……」
と疲れた顔で言い、悪態をつかれた。許可自体はすぐくれたものの、意外にも彼は僕に対して疑念を抱いているようだった。面倒になると予感し、金庫代わりの戸棚から自分のかばんをもぎとって、早歩きでドアに向かった。
「待ってくれ。お前たちいったい、何に首を突っ込んだんだよ?」
去り際に声を掛けられた。好奇心と共に、心配が滲んだ声だ。僕は一瞬立ち止まり、唇を噛みしめた。
「俺は助けになれるぞ」
「間に合ってるよ」
できるだけ優しさを込めているつもりで言い、僕は喫茶店を後にした。
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます!少々「友情」に偏り過ぎてないとよいのですが・・・・ご意見いただけると嬉しいです!いいね・お気に入り登録もお願いします!
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