悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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31 領民と話し合う

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私は早朝毎日子爵の眠る丘に来ている。

全く領民達との話し合いは進まない。というよりは話し合いすらさせてもらえない。命令する事も出来る。でも、それでは駄目だと思う。

根気よく、その根気はいつまで続ければいいのだろう…。


私は地面に座り両膝をたて両腕でかかえ両膝に額をつけて顔を隠す。


「妃殿下、あちらを」


ローレン隊長の声に顔をあげ目を向ける。

ルシーと手を繋いでこっちへ向かって来ているのはルシーの父親。

私は立ち上がった。目の前まで来た親子。


「あんたの話をまずは俺が聞く」

「ええ、まずは話を聞いてほしいだけだから」

「あんたの事を許してはいない。信用もしていない。俺が信じるのはルシーだけだ。ルシーがお姉ちゃんの話を聞けと言うから仕方がなくだ」

「ええ、それでも嬉しいわ」

「ルシーがお姉ちゃんはここに必ず居るって言うからな、二週間毎朝見ていた。それくらいは認めてやっても良い、ただそれだけだ」

「ええ、それで今は構わないわ」

「それで?」

「貴方達領民には帝国へ行ってもらうつもりなの。帝国で陶器職人として働いてほしいの。それに、違う領地へ行っても居場所はないし迫害を受けるかもしれない。

ただ、帝国へ行ったらこの国には帰って来れない。申し訳ないんだけどお墓参りの入国も出来ないわ。出来ないと言うよりもさせないと言うのが正しいわね。

もしこの国を出たくないならこの国に残るのも選択よ。その時は違う領地を探すわ」

「色々聞きたい事があるが、帝国へ行って迫害を受けないという保証はないだろ」

「この国に残るよりも迫害は受けないわ。それに貴方達に行ってもらう領地の当主はとても心優しい方よ。領民思いなの。それに元々住んでる領民も貴方達に何かするとは思えない」

「どうしてそう言い切れる」

「元々迫害を受けていた者達だからよ。違う国とか気にしない者達だからよ。彼等は粘土を、貴方達は陶器を、役割りも違う。彼等の仕事を奪う訳ではないの。そして彼等も貴方達の仕事を奪う訳ではないわ。

帝国は銀食器が主流なの。でも陶器には陶器の良さがあるわ。貴方達が生み出す陶器には魅了されるものがある。誇れる技術だと私は思っているの」

「窯はどうする」

「帝国にはないから一から作るしかないわ。初めの内は生産よりも窯作りをしてもらうつもりよ」

「帝国へ行ったらこの国には本当にもう戻って来れないのか?」

「ええ。いつか戻れるという選択は無いわ。帝国で骨を埋めると思ってほしい」

「理由はあるのか」

「理由は色々あるけど、帝国の情報を隠さないといけないから、が一番の理由ね」

「あんたは俺達厄介者を追い払いたいだけか?」

「貴方達を厄介者とは思っていないわ。私は貴方達に命令する事も歯向かえば拘束する事も出来る立場なの。それでも私は対話を望んでいるし、貴方達の行先を見つけるのが私が今するべき事よ」

「一度考える時間がほしい」

「勿論そのつもりよ」


ルシーと父親は帰って行った。


それから一週間後、


「妃殿下」

「ハミルどうしたの?」

「領民達が妃殿下と話し合いたいと」

「そう、ありがとう」


邸を出れば外に領民達が居た。その先頭にはルシーの父親の姿。


「一つ聞いて良いか」

「どうぞ」

「領主様が当主様にはなれないのか」

「ええ、残念だけどなれないわ」

「そうか。俺達はあんたを許してはいない。だが俺達を思って言ってくれているのは理解した。

それで俺達はどうすれば良い」

「貴方には説明したけどもう一度説明するわ。その後でどうするか決めてくれれば良い」


私はルシーの父親に説明した事を領民に説明した。領民達は真剣に話を聞いてくれた。


「それで貴方達はどうしたい?」

「俺達家族は帝国へ行く。ルシーが帝国へ行った方が幸せになれると言ってるしな」

「分かったわ」

「他の方は?」

「俺達家族も帝国へ行く」


他の領民達も帝国へ行く事を決めた。


「俺は残る。隣の領地に恋人が居るんだ。連れて行く事は出来ない。彼女を両親と会えなくさせるのは嫌だ」

「分かったわ」

「あの、私も…この国に残りたいです。隣の領地で働いているんですが、私はその仕事を辞めたくないんです」

「分かったわ」


若い子達は残りたいと言う者が多かった。主な理由は恋人がいる、他の領地で働いている、それだった。


「ご家族は納得しているの?もうご家族とは会えないわ。もしご家族に会う為にたまに帝国へ行けば良いと思っているならそれは無理よ。帝国へ行ったならこの国には帰って来れない。それを覚悟してほしいの」

「もう絶対に会えないんですか?」

「帝国へ移住すると言う事はそういう事なの」

「でもたまに顔を見るくらい…」

「そうさせてあげたいのはやまやまだけど、それでも駄目なの。そのたまにを許してしまうとこの国に残る領民達の命の危険になるの。それを理解してほしい。

それに帝国に移住する領民達も何もない訳ではないわ。

それを含めてもう一度よくご家族と話し合って決めてほしいの」



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