悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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閑話 アルバート視点 ②

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俺はフォスター公爵に相談する事が多くなった。それはただ単に公爵が毎日執務室に顔を出すからだが。


「陛下、一度娘とお会いして見ませんか?」

「公爵、第二夫人は考えさせてくれと言ったはずだ」

「勿論です。ですが相性もお有りでしょう。第二夫人に迎えてから相性が悪かった、では何の為に娶るのか分かりません」

「確かにそれも一理あるか」

「はい。臣下とお茶をする、別に何もやましい事ではありません」

「それもそうか」


俺は公爵の娘のナーシャ嬢と王宮の庭園でお茶をする。


「アルバート陛下、本日はありがとうございます。私、憧れの陛下とお会い出来てとても嬉しく思います」

「そうか」

「お父様から陛下がいかに素晴らしい御方で責任感が強く、政務にも力を注いでおられるか、毎日聞いております。陛下が護るこの国はこの国の民は本当に幸せ者です」

「そう思うか?」

「はい。現に今私は幸せ者ですもの」


頬を染めて顔を俯ける姿が可愛らしいと思った。


「陛下」


ナーシャ嬢は私を見つめ、私の手の上に手を重ねた。


「陛下も人です。いかに陛下が素晴らしい御方でも時には息を吐き、気を休める必要があると思います。そのお力に私がなれたなら、私はとても嬉しく思います」

「ありがとう」

「私はずっと陛下をお慕いしておりました。これからも私がお慕いする御方は陛下だけです。

陛下、」


ナーシャ嬢は俺と重ねた手を握り、俺の手を自分の頬に付け、恥じらいながらスリスリとさせた。

その姿に俺は心を奪われた。いや、もしかしたら俺の初恋かもしれない。リリーアンヌと一緒にいてもこんなに胸がドキドキと煩くなった事はない。

それからも毎日ナーシャ嬢とお茶をし、庭園を散歩する。


ナーシャを第二夫人に、

その気持ちが大きくなった。


コンコン

「陛下」

「入ってくれ」


執務室に入って来たのはフォスター公爵。


「公爵、第二夫人の件、進めようと思う」

「はい、それがよろしいかと」

「色々面倒をかけるが私を助けてくれるか」

「はい、陛下を崇敬する臣下として、相談役として、この国の公爵として、陛下のお力になりたいと存じます」


だが、ルヴェンド公爵とシャドネー公爵は断固として認めてはくれない。

『側室を娶らないというのは妃以外の女性を娶らないという事。第二夫人だから良いという訳ではない。もしフォスター公爵令嬢を娶りたいのなら、王妃と離縁しなさい』

リリーアンヌと離縁したい訳ではない。リリーアンヌほど王妃に相応しい者はいない。

ナーシャでは王妃は無理だ。それは話をしていても分かる。考えが幼い。それに母上と同様な気がする。それは自分の首を絞める事になる。父上が良い例だ。

王と王妃、助け合わなければこの国も民も護りきれない。実際リリーアンヌの采配は的確だ。俺の補填をしてくれているのも分かっている。

リリーアンヌを愛していない訳ではない。俺にとって無くてはならない存在。幼い頃から共に過ごし俺を一番理解してくれるのもリリーアンヌだ。離縁?そんな事は考えた事もない。


タイラー、俺はタイラーに聞いてほしい。俺はどうしたら良い?

なあ、タイラー



俺はその日、お酒を浴びるように飲んだ。途中から記憶もない。


朝、目が覚めると頭がズキズキと痛む。


「どれだけ飲んだんだ…」


隣の温もりに、


「リリーアンヌ帰っていたのか」


俺は後ろから抱き寄せた。

リリーアンヌとタイラーとは幼い頃からよく昼寝を一緒にした。そりゃそうだ、2歳頃から一緒に過ごしていれば昼寝も一緒にする機会は多い。リリーアンヌを真ん中にし、俺は左、タイラーは右。ジェイデンが入る事もあったが、タイラーは一人布団に包まって眠る癖がある。そして俺はリリーアンヌを後ろから抱きしめる癖があった。

1歳になる前に母上から離された俺は寝る時は人肌が恋しい。それでもリリーアンヌは嫌がらず俺を受け入れてくれた。

幼い頃からリリーアンヌの温もりに心が休まり休息が出来た。俺の唯一無二の場所。それは今でも変わらない。


少し寝ぼけながらにも何か違和感があった。


「アルバートさまぁ?」


俺は慌てて起き上がった。


「どうして、どうしてナーシャがここにいる」

「忘れちゃったの?昨日お兄様に用があって王宮に来たらアルバート様が私の手を引っ張ってこの部屋に」


俺もナーシャも裸。ベッドの周りには脱ぎ散らかした服が散乱していた。


「もしかして、」

「アルバート様、私、アルバート様の子が出来ました」

「な、なん、なんで分かる」

「母親の感?昨日の夜でアルバート様の子が宿った、そう感じました」


俺はベッドの布団をめくる。


「キャッ」


シーツにはナーシャの破瓜の印が残されていた。よく見るとナーシャの体にも情事の跡が残されていた。


俺はルヴェンド公爵とシャドネー公爵、その他の側室を反対する貴族を無視し、第二夫人にフォスター公爵令嬢を娶ると王命を出した。

2週間後、側室を賛成する貴族だけを招いてナーシャと婚姻式挙げた。



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