悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

文字の大きさ
43 / 107

38 影

しおりを挟む

ミーナとマイラは片付けをし私室から出て行ってもらった。

少し一人になりたい

そう言うと、また後ほどと言い私を一人にしてくれた。

カーテンを開けると大きな木が目の前に立っていた。そのため昼間でも薄暗い部屋に明かりを灯す。

窓を少し開け私はソファーに座った。

キー

背中側の窓を開ける音に私は耳を澄ました。


「お嬢」


私は振り返り、


「コナー、よく入って来れたわね」

「これだけ大きな木があれば隠れ蓑には持ってこいだろ?」

「確かにそうね」

「お嬢どうした」

「コナー、少しの間だけ隣に座って肩を貸してくれない?」


コナーは私の隣に座った。私はコナーの肩に顔を傾け、目を瞑る。

自然と流れる涙

私は王妃と言う肩書だけもらい王妃の仕事だけをさせる存在。アルバートは愛してると言った。それでもこの待遇は愛してる人に与えるものじゃない。

アルバートは第二夫人のナーシャ様を王妃だと思っている。それでも実力がない。だから私とは離縁しない。

私は籠の中の鳥と同じ。自由に飛ぶ事も逃げ出す事も出来ない。自分が可愛がりたい時だけ可愛がる。


「ふっ、ふふっ、ふふっ、ふっ、ははは、ははは、ははは、は……」


私は声を殺して泣いた。

暫くしてコナーが私を退け、


「お嬢、ちょっと待ってな」


立ち上がり天井を動かした。物音がして天井からコナーともう一人、

コナーが羽交い締めしている男に私はコナーの腰にある剣を抜いた。

その剣を男の首筋にあてる。


「誰の指示」


何も言わない男の首筋に血が流れた。


「アルバート?それともイーサン?なら、公爵?」


公爵と言った時だけ微かに眉が動いた。


「貴方の主は公爵なのね。それで?私を監視して何がしたいのかしら。貴方の亡骸を公爵へ贈れば公爵も私が馬鹿じゃないのが分かるのかしら。

コナー、この男を殺して」


コナーが男の腕を締め上げ私から剣を受け取る。


「ま、待ってくれ」

「コナーちょっと待って。で?なあに?」

「妃殿下がこのような事をして良いのですか?」

「あら、不審者を殺して誰に咎められると言うのかしら。貴方が公爵の指示で私を監視する影だとしても、私には私の私室を覗く不審者だわ、違う?

貴方達影も私を見くびり過ぎよ?私、剣を扱う事にはなれているの。それに私の敵に容赦はしないわ」

「許してほしい」

「許す?貴方馬鹿なの?敵を前にして誰が許すの?今貴方を許して逃がせば貴方は有る事無い事公爵に言うでしょ?なら口を塞ぐのが一番。死んだらものは言えないもの。それに公爵だって死んだ貴方に価値はない。そこらへんに捨てられて終わり。

もう最後の無駄口は終わったかしら。何か言い残す事があれば言っていいわよ?そのくらいの慈悲は持ってるわ」

「俺には産まれたばかりの息子がいるんだ」

「だから?私には関係ないわね。貴方の奥さんが、貴方の息子が、路頭に迷おうが私には関係ない。

あ、公爵が面倒を見てくれるわよ、きっとね。

じゃあ、さよなら」


コナーが剣を上げた。


「頼む、助けてくれ。何でもいう事と聞く」

「あら、命乞い?」

「そうだ、頼む。公爵が面倒を見てくれる訳がない」

「そうかしら」

「あの公爵だ、妻は娼館に入れられて息子は売られる」

「まあ、そこまでする?あの人あれでも公爵よ?」

「本当だ。第三王子を暗殺しようとして失敗した奴は次の日には川に浮かんでいた。その奥さんは娼館へ売られ子供達は売られた」

「あの公爵、グレイソンにまで手をかけたの?」

「ああ」

「馬鹿ね、グレイソンに付いてる影はお父様が直々に付けた影よ?それこそ先鋭揃い。影の訓練を受けて鍛えた人達よ?」


前まではアルバートにも付けていた。お父様はアルバートから影を外した。

私には影を察知する能力がある。それは幼い頃から鍛えられたから。それに剣の腕も。だからお父様は私には付ける必要がないと判断した。

それに今はコナーも側にいる。

アルバートに付けていた影達は今はライアンに付いている。帝国にいるライアンに何も手出しはできない。それでも念の為に。


「貴方を助ける変わりに条件があるわ」

「何でも聞く」

「なら貴方は今までのように公爵の元で影をして私を監視しなさい。

ただ、

公爵には何も言わないと約束して。公爵へ報告する内容は私が予め決めるわ。それが出来るなら助けてあげる。どうする?」

「分かった、約束する」

「もし裏切ったら貴方の奥さんと息子の命はないと思いなさい。貴方の奥さんと息子を探すのなんて私には簡単なの。

嘘だと思う?街には私の隠密もいるし、私に協力してくれる人は多いのよ?それこそ毎日買い物に行く商店、にいるかもしれないわ。貴方の隣の家、かもしれない」

「分かった」

「コナー離してあげて」


コナーは男を離し、


「約束よ?」


男は天井裏へ戻った。


「あぁ、私、今日は疲れて寝ていたわ」


コン

返事があった。


「お嬢良いのか?」

「ええ、これで良いのよ。それと奥さんと息子の保護をお願い。一応念の為に」

「分かった。探せば良いんだな」

「ええ、お願いね」



しおりを挟む
感想 82

あなたにおすすめの小説

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

処理中です...