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愛してます旦那様
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10年後…
ハルク様と結婚し直ぐに子を授かりました。それから二年後にも子が授かりました。家族四人で毎日幸せに仲良く暮らしております。
「ガネット、今から街へ行くぞ」
「ハルクおかえりなさい、今から?」
ハルク様は私を抱きしめ何度も口付けを落とします。結婚してから毎日騎士団に行く時と帰って来た時に私を抱きしめ何度も口付けを致します。それ以外の時も口付けは致しますが…。
ハルク様は「いつかじゃなく出来る時にしかやらない」と言ったように、いつも「今から行くぞ」と言うと本当に出掛けるのです。恋人の時のデートもそうでした。新婚旅行でさえ「ようやく休みをぶん取ってきた。今から新婚旅行に行くぞ」と結婚して一ヶ月後に新婚旅行へ出掛けました。それからも度々「今から旅行に行くぞ」と、旅行に出掛けるのですが楽しみに計画するとかではなく、いつも行き当りばったりですがそれはそれで楽しい思い出として残っています。
今日は子供達も一緒に連れて来た為に馬ではなく馬車で街に来ました。
街につき私はハルク様のエスコートで馬車から下ります。子供達は勝手に下りて街へ走って行きました。
「ハンスもローゼも勝手に行って」
「いいじゃないか。俺はガネットを独り占め出来るしな」
「まあ」
「愛しい妻よ。俺とデートして貰えますか?」
「喜んで」
ハルク様は私の手を繋ぎ私の歩幅に合わせゆっくり歩いてくださります。時折お互い見つめ合います。
ハルク様と手を繋ぎ街を進みます。
「今日は急にどうしたの?」
「ガネットに指輪を買いたくてな」
私達は婚約を飛ばし結婚を致しましたので婚約指輪は頂いておりません。ハルク様は贈りたかったようですが、侍女として勤めてる以上、指輪を頂いてもはめる事が出来ない為にお断り致しました。
結婚式での指輪の交換も辺境では致しません。その代わり認識証と言うネックレスを贈り合います。それが指輪の代わりです。その認識証は戦地で亡くなっても仲間が必ず持って帰ります。敵国に連れられたとしても必ず返される物です。亡骸が無くとも妻の元に必ず返される物です。
それからお互いの瞳の色の宝石をはめ込みます。貴女をずっと見つめている、貴女に見つめられながら死にたいと言う意味があるそうです。
ハルク様には私の瞳の色のエメラルドが、私のにはハルク様の瞳の色のルビーがはめ込まれています。
「指輪?」
「結婚して10年だ。婚約を飛ばした俺が言えた義理じゃないが、普通なら婚約の時に渡す。侍女も辞めたしずっとはめる事が出来るだろ?」
「そうだけど、私はこれで充分よ?」
私は首にかかる認識証に手をやりました。
「俺ははめたり外したりしてほしくない。ガネットはいらないと言ったがそれでも贈る事は出来た。言い訳に聞こえるかもしれないが外されるのが嫌だったんだ。でも、もう外す事はないだろ?ずっとはめ続けてほしい」
「そうね、私も外したくないわ」
「結婚して10年だ、ガネットは幸せを得られたか?」
「はい、ハルク様のお陰で」
「俺はガネットが信じても良いと思える夫になれたか?」
「はい、私はハルク様を信じています。そしてハルク様の愛を信じています。疑った事などありません」
「俺はガネットにとっての特別な何かを穢していないか?」
「はい、ハルク様は私の特別な何かをとても大事にしてくださっております。今迄穢された事はございません」
「そうか、良かった。ならガネットが叶えたかった望みは叶えられたか?」
「はい。愛しております、ハルク様」
「俺も愛してるガネット」
ハルク様はギュッと私を抱きしめました。ずっと変わらないこの少し痛い抱きしめ方が私の安らぎです。
「俺は10年目の記念日に指輪を贈りたいと思った。受け取ってくれるか?」
「はい、嬉しいです」
辺境で侍女として働いていた時、休憩時間にメイド達と話をしていました。皆さんは恋人や旦那様に指輪を贈ってほしいと言っていました。その時私はボソッと言いました。「縛りつけるだけの指輪なんていらない」と。ハルク様もそれを聞いていました。
「もっと早く贈ってくだされば良かったのに」
「ん?」
私は首を横に振りました。
「父様、今日は俺の剣も買って下さい。俺は父様みたいな騎士になりたいんだ。父様みたいに強くなりたい」
「ハンス、よし分かった。その代わり鍛錬を怠るなよ」
「分かってます。日々の努力なしで身は結ばない、ですよね?」
「ああそうだ」
「あ~、兄様ばっかりずるい!父様、私もぬいぐるみ買って~」
「う~ん、それは母様に聞いてからだな」
「母様、いい?」
「ふふっ、そうね。今日は特別よ?」
「特別?何?母様、何?」
「母様が父様に愛されて幸せだからよ」
「父様なんて母様以外愛してないじゃない!」
「俺はハンスもローゼも愛してるぞ」
「父様は母様だけじゃない!毎日母様にベタベタして、隙あればキスして!父様と母様は毎日イチャイチャラブラブしてるじゃない。今だって抱き合ってるじゃない!」
「母様は父様を愛してるもの」
「ガネット、俺も愛してる」
「もう!子供の前で止めてよ!兄様、先に行きましょ!」
ハルク様と私はローゼに手を引かれるハンスの姿を眺め、互いに見つめ、笑い、二人の後を手を繋いで付いていきました。
後日、私の薬指にはハルク様から贈られた生涯外す事のない指輪がはめられました。
ハルク様と結婚し直ぐに子を授かりました。それから二年後にも子が授かりました。家族四人で毎日幸せに仲良く暮らしております。
「ガネット、今から街へ行くぞ」
「ハルクおかえりなさい、今から?」
ハルク様は私を抱きしめ何度も口付けを落とします。結婚してから毎日騎士団に行く時と帰って来た時に私を抱きしめ何度も口付けを致します。それ以外の時も口付けは致しますが…。
ハルク様は「いつかじゃなく出来る時にしかやらない」と言ったように、いつも「今から行くぞ」と言うと本当に出掛けるのです。恋人の時のデートもそうでした。新婚旅行でさえ「ようやく休みをぶん取ってきた。今から新婚旅行に行くぞ」と結婚して一ヶ月後に新婚旅行へ出掛けました。それからも度々「今から旅行に行くぞ」と、旅行に出掛けるのですが楽しみに計画するとかではなく、いつも行き当りばったりですがそれはそれで楽しい思い出として残っています。
今日は子供達も一緒に連れて来た為に馬ではなく馬車で街に来ました。
街につき私はハルク様のエスコートで馬車から下ります。子供達は勝手に下りて街へ走って行きました。
「ハンスもローゼも勝手に行って」
「いいじゃないか。俺はガネットを独り占め出来るしな」
「まあ」
「愛しい妻よ。俺とデートして貰えますか?」
「喜んで」
ハルク様は私の手を繋ぎ私の歩幅に合わせゆっくり歩いてくださります。時折お互い見つめ合います。
ハルク様と手を繋ぎ街を進みます。
「今日は急にどうしたの?」
「ガネットに指輪を買いたくてな」
私達は婚約を飛ばし結婚を致しましたので婚約指輪は頂いておりません。ハルク様は贈りたかったようですが、侍女として勤めてる以上、指輪を頂いてもはめる事が出来ない為にお断り致しました。
結婚式での指輪の交換も辺境では致しません。その代わり認識証と言うネックレスを贈り合います。それが指輪の代わりです。その認識証は戦地で亡くなっても仲間が必ず持って帰ります。敵国に連れられたとしても必ず返される物です。亡骸が無くとも妻の元に必ず返される物です。
それからお互いの瞳の色の宝石をはめ込みます。貴女をずっと見つめている、貴女に見つめられながら死にたいと言う意味があるそうです。
ハルク様には私の瞳の色のエメラルドが、私のにはハルク様の瞳の色のルビーがはめ込まれています。
「指輪?」
「結婚して10年だ。婚約を飛ばした俺が言えた義理じゃないが、普通なら婚約の時に渡す。侍女も辞めたしずっとはめる事が出来るだろ?」
「そうだけど、私はこれで充分よ?」
私は首にかかる認識証に手をやりました。
「俺ははめたり外したりしてほしくない。ガネットはいらないと言ったがそれでも贈る事は出来た。言い訳に聞こえるかもしれないが外されるのが嫌だったんだ。でも、もう外す事はないだろ?ずっとはめ続けてほしい」
「そうね、私も外したくないわ」
「結婚して10年だ、ガネットは幸せを得られたか?」
「はい、ハルク様のお陰で」
「俺はガネットが信じても良いと思える夫になれたか?」
「はい、私はハルク様を信じています。そしてハルク様の愛を信じています。疑った事などありません」
「俺はガネットにとっての特別な何かを穢していないか?」
「はい、ハルク様は私の特別な何かをとても大事にしてくださっております。今迄穢された事はございません」
「そうか、良かった。ならガネットが叶えたかった望みは叶えられたか?」
「はい。愛しております、ハルク様」
「俺も愛してるガネット」
ハルク様はギュッと私を抱きしめました。ずっと変わらないこの少し痛い抱きしめ方が私の安らぎです。
「俺は10年目の記念日に指輪を贈りたいと思った。受け取ってくれるか?」
「はい、嬉しいです」
辺境で侍女として働いていた時、休憩時間にメイド達と話をしていました。皆さんは恋人や旦那様に指輪を贈ってほしいと言っていました。その時私はボソッと言いました。「縛りつけるだけの指輪なんていらない」と。ハルク様もそれを聞いていました。
「もっと早く贈ってくだされば良かったのに」
「ん?」
私は首を横に振りました。
「父様、今日は俺の剣も買って下さい。俺は父様みたいな騎士になりたいんだ。父様みたいに強くなりたい」
「ハンス、よし分かった。その代わり鍛錬を怠るなよ」
「分かってます。日々の努力なしで身は結ばない、ですよね?」
「ああそうだ」
「あ~、兄様ばっかりずるい!父様、私もぬいぐるみ買って~」
「う~ん、それは母様に聞いてからだな」
「母様、いい?」
「ふふっ、そうね。今日は特別よ?」
「特別?何?母様、何?」
「母様が父様に愛されて幸せだからよ」
「父様なんて母様以外愛してないじゃない!」
「俺はハンスもローゼも愛してるぞ」
「父様は母様だけじゃない!毎日母様にベタベタして、隙あればキスして!父様と母様は毎日イチャイチャラブラブしてるじゃない。今だって抱き合ってるじゃない!」
「母様は父様を愛してるもの」
「ガネット、俺も愛してる」
「もう!子供の前で止めてよ!兄様、先に行きましょ!」
ハルク様と私はローゼに手を引かれるハンスの姿を眺め、互いに見つめ、笑い、二人の後を手を繋いで付いていきました。
後日、私の薬指にはハルク様から贈られた生涯外す事のない指輪がはめられました。
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