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しおりを挟むキース様が敷物を敷いてくれて居たので、私は敷物の上に降ろされ、ジル様も座り、色々な話をしました。王城で暮らして居た時の話や、ジル様の話や、勿論、私以外恋愛結婚だったと言う話も。後、ジル様のご両親の話も。
それから手を繋いで湖の周りを歩いて回り、同じ景色を見ていました。
敷物の敷いてある所に戻り、簡単に食べれる、具がサンドされたパンを食べました。
昼食を食べてから、ジル様は横になり、話をしました。
「ジル様、一つ気になったのですが」
「何だ?」
「先程キース様が帰られる時、何かあったら知らせてくれとおっしゃっていましたが、どうやって知らせるのですか?」
「鷹だ」
「鷹ですか?」
「ああ。早馬よりも早いからな。騎士隊の連絡用で使っている。緊急な時には鷹を飛ばして知らせが来る。国境は特にだが、巡回の時や部隊を動かす時に必ず飛ばせる」
「ですが今日は仕事ではありません」
「そうだが、シアが狙われてる以上、用心に越した事はない」
「そうですが」
「危険だからと邸の中に閉じ込めたい訳でもない。俺もシアと出掛けて息抜きが出来る」
「はい。私もジル様と出掛けるの楽しみです」
「俺もシアと出掛けたい。出来ればこうやって二人きりで」
「私もです。ジル様と二人きりで出掛けたいです」
「その為だ。呼べば直ぐ来るが呼ばなければその辺を飛んだり休んだりしてる」
「賢いのですね」
ジル様が起き上がり、私の横に座り、私をジル様の膝の上に横向きで座らせ、
「キャッ!ジル様!」
「嫌か?」
「嫌ではありません。ちょっと驚いただけです」
「そうか」
ジル様が優しく抱き締め、私はジル様の胸に顔を埋めた。ジル様が優しく髪を撫で、
「シア、聞いて良いか?」
「はい」
「シアは王子の事何とも思ってないのか?」
「あの馬鹿王子ですか?」
「馬鹿王子?そうだな、その馬鹿王子だ」
「思うも何も、何の感情もありません。一度もお会いした事ありませんし」
「そうなのか?」
「はい。王子として国を民を護る立場に居ながら真実の愛に酔ってる王子が国を護れるとは思いませんが」
「手厳しいな」
「事実です。他国の王族と婚約を結ぶという事の重要性が分かっていたなら、そんな馬鹿な事はしません。だってそうでしょう?あちらは側妃に妾も王族は持てるのですよ?真実の愛の方を側妃にすれば良かっただけの事です」
「そうだが」
「この国は王族も一夫一妻制ですが、他国は違います。お姉様が嫁いだ帝国も側妃を持てます。お義兄様は持たないと宣言されてますが」
「確かに」
「お義兄様はお姉様以外は娶るつもりは無かったらしくお姉様に振られたら一生独身を貫くとおっしゃっていたみたいです。私もこの間聞いたばかりですが。もしお姉様が王族でなくてもお義兄様はお姉様を娶ったと思います」
「だろうな」
「私は王女として産まれた以上、国と国を結ぶ婚姻になると幼い頃に教えられました。そしていざ争いが起これば見せしめで嫁いだ国で命を落とす事も教えられました。多くの命が奪われれば奪った国を憎むのは当然です。例え王妃でもその国の出と言うだけで矛先が向くのは仕方のない事です。他国の王族と婚姻するとはそういう事です。ですが、馬鹿王子に感謝もしています」
「感謝?」
「はい。幼い頃から他国の王族と婚姻するとは教えられましたが、相手は決まっていませんでした。だから、命を落とす覚悟は出来ていましたが、婚姻に関しては何も思っていませんでした。隣国の王子と婚姻するだろうと決まって、私は悲しかったのです。あちらは側妃に妾が持てますでしょ? 王子と愛情を育んでも、王子の愛は側妃に妾にも注がれます。
私はそれを認める事が出来ないと思いました。愛情を育まなければ気になりませんが、そうすれば形だけの王子妃です。王女としてそれも致し方ないと諦めていましたが、馬鹿王子のお陰で婚姻じたいが無くなり、感謝しています」
「それで俺だけどな」
「だから始めに聞いたのです。恋人はいるか、好意を寄せてる方はいるかと。どちらも居ないなら愛情を育めますでしょ?」
「もし俺に居たとしたら?」
「その時は諦めました。形だけの夫婦になるだけの事です。ですが、どちらも居ないとおっしゃられました」
「居ない。だから俺と育もう」
「はい。私もジル様と育みたいです」
「良かった」
「はい」
ジル様は私をギュッと抱きしめ、私もジル様を抱きしめた。もうこの温もりを手放す事など出来ません。
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