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しおりを挟むキース様が早朝国境へ向けて出発するのでお見送りに来ました。
「キース様は恋人がいますか?」
「王女様は痛いところをつくね~」
「すみません」
「いたらここにいて俺と抱き合ってるよ」
「そうですね。ではこちらを」
私はハンカチを渡した。
「これ、」
「ジル様のお母様がしていた事を私が受け継ぎました」
「そうか…」
「ご武運を」
「ああ、ありがとう」
「気をつけて下さい」
「分かってる」
「キース様には婚姻式に出席してもらわないといけませんから」
「出席するためにも早く終わらせないとね」
「婚姻式はまだ先ですよ?それにキース様はジル様のお兄様で私のお兄様ですから」
「王女様の兄は分かるけど、ジルの兄?俺の方が年下だけど?」
「ケイトが言っていましたよ?イザークが父でキース様が兄、そしてケイトは姉らしいです」
「ケイトが姉?肝っ玉母さんの間違いじゃない?」
「ふふっ、お二人とも同じ事を言ってますよ?ジル様もそう言っていました」
「そうか」
「ケイトに怒られますよ?」
「だな。でも姉はない」
「お兄様のキース様が出席しない婚姻式はしませんから。怪我もですが、どうかご無事でこちらへお戻り下さい」
「ありがとう。ジルの事、よろしくね」
「はい、お任せください」
キース様は私の頭を撫でました。
後ろからジル様に抱きしめられ、
「シアに触るな!」
「妹の頭を撫でるくらい良いだろ?」
「シアは俺の妻だ」
「お前は愛する者を護れよ」
「分かってる」
「国境は俺に任せておけ」
「頼むぞ」
「なら行ってくる」
「気をつけてな」
「ああ」
「お気をつけて」
キース様は笑顔で行かれました。
キース様や他の騎士様達の姿が見えなくなるまで見送り、
「シア帰ろうか」
「はい」
ジル様と手を繋ぎ邸まで戻った。
「今日から、その、夜は同じ部屋で寝よう」
「はい」
「俺が部屋に行くまでは扉の前に騎士が警護するが中には入ってこない。気にせず寝ていいからな」
「はい」
「俺を待たなくていい」
「分かりました」
邸に着き、ジル様はまた騎士隊へ行きました。
今日から一緒の部屋で寝るなんて…、私寝れるかしら。きっと無理よ。だって同じ部屋にジル様がいるのよ?緊張するし、それにドキドキしちゃうわ。
寝顔だって見られるし、私寝相悪くないわよね?うん、多分悪くない。
もう今から緊張してるわ。
読書をしていてもページが一向に進まないし、内容も何も入ってこないわ。
夕食を一人で済ませ、湯浴みをして夫婦の寝室へ足を踏み入れる。
まだ一度も入った事のない部屋…、大きくて広いベットが置かれ、ベットの脇に丸テーブルとソファーが置かれていた。
二人がけとはいえ、こんな小さなソファーでジル様寝れるのかしら?私なら寝れそうだけど。
ソファーの上に毛布が畳まれて置かれていた。
今日からここでジル様が寝るのね…。
キャー、やっぱり緊張しちゃうわ!
私はベットでゴロゴロと転がり、足をバタバタとしていた。
それでも眠たくなれば寝れるもので、いつの間にか寝てしまった。
パタン
扉が締まる音に目が覚め、
「はぁぁ、疲れたな…」
ジル様、お疲れのようね。やっぱりベットで一緒に寝た方が疲れが取れると思うの。
「寝れるかな…」
そんな小さいソファーじゃ寝れないわよ。
「こんなの生殺しだよな…」
ん?生殺し?何?
「シア寝たかな?」
起きてますよ。
「寝顔くらいは許されるか?」
寝顔ですか?恥ずかしいです。あ!でも今は寝顔ではありませんが。
「いやいや、寝顔見て我慢ができる訳がない」
え?我慢なんてしないで下さい。我慢は体に良くありませんよ?
「我慢だ、我慢…。結婚するまでは我慢だ」
結婚するまで我慢?するのですか?体を休めないといけないのに?起きてますって言って我慢しないで下さいって言うべきかしら。
でも、ジル様の話しを黙って聞いていたなんて知ったらジル様も嫌よね?
「同じ部屋で寝れるか!」
え?ジル様は同じ部屋で寝たくないのですか?
「起こしたか?」
もう起きてます。
「寝るか…」
ジル様おやすみなさい。
ジル様の寝息が聞こえ、私も安心したのかいつの間にか寝ていました。
「……お嬢様、アリシアお嬢様、起きて下さい」
「…ん?ケイト?」
「起きて下さい、朝ですよ」
「朝?おはよう」
ん?朝?
私は起き上がりソファーを確認すると、
「ジルベーク様はもう騎士隊へ行かれましたよ?」
「そう。昨日も夜遅かったのでしょ?」
「え?ええ、まあ…(夜中過ぎまで時間を潰す為に執務室にずっと居たらしいけど…)」
「きちんと休めたのかしら」
「大丈夫ですよ。(お嬢様と同じ部屋で休めるわけないと思うけど。ジルベーク様も健康な男だし、愛する人がいる部屋で二人きり…、きっと昨日は寝てないわね!)」
私は私室へ戻り身支度を整えた。
もしかして寝顔見られたかしら?
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