完結した作品の番外編特集

アズやっこ

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妹がいなくなった

頑張れ!セナン

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 私は今日、グレンを連れてセナンが働く食堂に来た。

 私達は混み合う前に来た為に直ぐに座る事が出来て、


「おい!バカ野郎!お前は5番テーブルに持っていけと言っただろ!何度言ったら分かるんだ!」

「す、すみません」

「謝る前にとっとと運べ!」

「は、はい!」

「一度で聞け!一度で!

エマ!お前1番テーブルにこれを持っていけ」

「は~い」


 怒鳴る人とは聞いていたけど…。


「ねぇグレン、あそこまで怒鳴る人なの?」

「だから言っただろ?」

「言ってたけど…」

「まあ多分だけど」

「何?」

「1番テーブルに座ってる男、あれはあいつ狙いだな」

「1番テーブル?」

「あの端の席」

「あの人?」

「さっきからずっとあいつを目で追ってる」

「そうなの?」

「さっきから1番テーブルとは反対側のテーブルにしかおやっさんは運ばせてないだろ?」

「ええ!そうなの?」

「お前気が付かなかったのか?」

「全く…」

「はぁぁ、お前、周りをよく見ろ」

「そうね…」


カラカラカラ


「おっ、セナンちゃんいるじゃん!」

「チッ!

おい!使えんヤツがウロウロしてても邪魔なだけだ!!お前は休憩に行け!!」

「は、はい。す、すみません」


 セナンが裏に入って行った。


「グレン」

「な?おやっさん口は悪いけど従業員は護るだろ?」

「それをセナンが分かっていれば良いけど…」

「まあな」


 店が混んで来たので外に出たらセナンを見つけ近寄ろうと、


「セナン、果物なら食べれるだろ?」

「すみません…」

「親父口は悪いけど悪い人ではないんだ」

「はい…」

「ゆっくり休憩しなよ?」

「はい…ありがとうございます」


 男の人が行ったので、私はセナンに近寄り、


「セナン」

「お姉さん…ううっ…」


 私はセナンの横に座り優しく背中を撫でた。


「お姉さん、私、私…ううっ…もう…辞めたい…ううっ…」

「セナン、私もね、確かに口の悪い人だと思ったわ。でもね、悪い人じゃないって分かったの」

「どうして?」

「私もねグレンに聞いて分かったんだけどね」

「グレン?あの怖い人?」

「おい!俺のどこが怖いんだよ!」

「グレン」

「チッ」

「さっきね、1番テーブルにいた人はセナンを目で追ってたらしいの」

「あの人常連さんなの…」

「そうなの?」

「うん…」

「店主さんは貴女を1番テーブルとは反対側の席にしか料理を運ばせなかった。気づいた?」

「ううん」

「それにさっき入って来たお客さんはセナン目当てだと思うわ」

「あの人いつも声をかけてくるの」

「いつも声をかけてくるの?」

「うん。声かけないでって言っても聞いてくれなくて…」

「そう。だからじゃない?貴女を休憩に行かせて接触を避けさせた。

貴女は店主さんに護られてるのよ?」

「え?」

「確かに口は悪いし厳しいかもしれない。けどね、貴女を護ってる。それを貴女は知るべきよ?」

「うん」

「もし辞めたいなら辞めてもいいのよ?それでも先ずは店主さんの心遣いに気付いてからでも遅くないと思うの」

「うん」

「それに貴女を気にかけてくれる人もいたでしょ?」

「息子さんはいつも声をかけて励ましてくれる」

「そうなのね。ねぇセナン、もう少しだけ頑張ってみたら? それでも嫌だと思ったらまた違う所探すから、ね?」

「うん」

「もう少しだけ頑張ってみよ?私もちょくちょくご飯食べに来るから。その時に愚痴でも何でも聞くわ」

「うん、ありがとうお姉さん」

「ほらほら泣かないの。可愛い顔が台無しよ?」


 私は休憩が終わるまでセナンと話し、店に戻るセナンを見送った。




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