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妹がいなくなった
ユシュはもう家族
しおりを挟むユシュが卒院し、キャメル侯爵家へやって来た。
「ユシュ、いらっしゃい」
「当主様、この度はありがとうございました」
ユシュは礼儀正しく頭を下げた。
「ユシュ」
「はい、当主様」
「私の事はお姉さんでも、エミリーヌさんでも、そうね、皆お嬢様って呼んでるからお嬢様でもいいのよ?」
「シスターから言われました。当主様を敬い、頂いたご恩に感謝しなさい、と」
「そう」
「はい。ですから当主様をお嬢様など、ましてやお名前を呼ぶなど出来ません」
「ユシュの気持ちは分かったわ。それでもユシュはもうキャメル侯爵家の一人なの。私が護る一人なの」
「はい、お慈悲頂けたこととても嬉しく思います」
「ユシュ、貴方はまだ子供なの。子供らしく過ごしてほしいわ」
「ですが…」
「ならそうね、ユシュ、当主である私から、私をお嬢様と呼びなさい。いい?」
「はい、お嬢様」
「ふふっ、ユシュ、疲れたでしょ?」
「大丈夫です」
「先ずは部屋を案内するわ」
「はい、お嬢様」
私はユシュを使用人部屋へ案内した。
「使用人部屋でごめんなさいね」
「そんな、一人部屋なんて勿体ないです」
「ここは貴方の部屋、貴方だけの空間よ?」
「ありがとうございます」
「一応必要なものは揃ってるはずだけど、足りないものは遠慮なく言ってね?
一応服もそこの引き出しに入ってるから後で見て?
それとお風呂はごめんなさい、騎士達が暮らしてる方にしかないの。この邸のお風呂は女性専用にしたから。お祖父様は部屋にお風呂があるし、ジム、執事ね?ジム達家族はこの邸の裏で住んでるから邸の中は女性の方が多いの。
不便だと思うけど」
「分かりました」
「ごめんなさいね?後でお風呂の場所は騎士に案内させるわ」
「はい」
「少し横になって、ね?後で夕食を一緒に食べましょ?」
「はい」
夕食の時間になり、今日は邸に住むジム家族、メイド、騎士、皆が集まって、
「ユシュ、キャメル侯爵家へようこそ。貴方もキャメル家の家族の一員よ? 今日は貴方の歓迎会なの。
たくさん食べてね?」
「ありがとうございます」
「さあ、皆、食べましょ?」
今日は各々各自で好きな物を好きなだけ取って食べる事にした。席も好きな所に座って食べれるように料理を壁側へ並べた。
騎士達は数少ないメイドの隣の席を取り合い、ガインやベンはユシュと食べてる。お祖父様もお祖母様と仲良く二人で食べていて、お祖父様なんてせっせと料理を盛ってお祖母様に渡してるわ。
「お嬢様も召し上がりましょう」
「メイ、ありがとう。どれも美味しそうね」
「はい」
「料理長には悪い事をしたわ。大勢の食事を用意させて、それに今も作ってるんでしょ?」
「騎士達がいますから」
「そうよね。後でお礼を言わないと」
「はい。さあお嬢様も好きなものを取って下さい」
「どれにしようかしら…」
私は少しづつ皿に盛りメイと席に座った。
お祖父様はお祖母様を膝の上に座らせ食べさせてもらっている。本当に仲が良いんだから!
ふふっ、ユシュも笑ってるし、皆の笑顔が見れて良かったわ。ここにチャーリーもいたら良かったのに!
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