妻の私は旦那様の愛人の一人だった

アズやっこ

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アーロン様は婚姻式を挙げた次の日から愛人を邸に連れて来た。庭で仲睦まじくする姿を見せられ、廊下ですれ違っても悪びれる様子はない。


「アーロン、この人?」

「ああ、俺の妻だ」

「妻?アハハハ!この人可哀想!だってアーロンには何人も恋人がいたのよ?その全部を愛人にしたんでしょ?その事この人知ってるの?どうせアーロンの事だから言ってないんでしょ?」

「いや、昨日言った」

「昨日って貴方達結婚した日じゃない。それに初夜を済ませてきたって言って私の所に来たわよね?よく初夜を許したわね?この人馬鹿なの?」

「そんなの初夜を済ませてから言ったに決まっているだろ?」

「やだぁ~、最低な男ね~。私でも奥さんが気の毒だと思うわ」

「妻は妻で好きにするさ。それに愛人を作っても俺は何も言わないしな」

「何も言わないんじゃなくて何も言えないでしょ?」

「それでも俺だけ愛人を作って妻には作らせないなんて、そんな心の狭い男じゃないよ、俺は」

「まあ、納得してるならいいんじゃない?」

「だろ?それより早く部屋に行こう」

「そうね。お楽しみ中は邪魔しないでね?あ!なんなら3人でする?」

「やめてくれよ、興が醒めるだろ」



アーロン様と愛人は仲睦まじく私の前から去って行った。私は自然と握り拳に力が入っていた。


貴方は酷い人ね。

婚約中そんな姿は見せなかった。恋人がいた事も分からなかった。私との時間を大事にしてくれていた。でも今思えば時間なら沢山あったのよね。私が学園に通っている間、夜、貴方が暇な時間は沢山あったもの。


アーロン様はそれからも愛人達を邸に連れて来る。愛人との逢瀬は必ず邸。

私は見たくなくても目に入る。聞きたくなくても聞こえてくる。文句を言いたくてもアーロン様と過ごす時間はない。

食事も一人私室で食べる。

ふふっ、私はなんて惨めなの?当主夫人なのに一人の個室。本来なら夫婦の寝室はお互いの部屋から入れるはず。それなのに続き扉もない。夫婦の寝室に入った事もない。夫婦の寝室はアーロン様と愛人達の情事の部屋になっているわ。

それに私の私室はアーロン様の私室、当主、当主夫人の部屋から離れている。私は当主夫人の部屋すら与えて貰えないのね。


私は耐えられなくなり領地にいるお義父様に手紙を出した。アーロン様には愛人がいて離縁をさせてほしいと。

その返答は、

『夫婦の事は夫婦で話し合え』

これだけ。


私はお父様にも手紙を出した。

その返答は、

『愛人くらい我慢しろ。政略とはそんなものだ』

これだけ。


白い結婚なら3年耐えればいい。なら私は?何年耐えればいいの?一生?

頼みの綱のお義父様だったのに。
お父様の返答は想像出来た。侯爵家は他国へ貿易する船と経路を持っている。私の実家は領地でワインを作っている。お父様は他国へ手を広げたい。だから船を持ち他国に独自の貿易経路を持っている侯爵家と婚約を望んだ。侯爵家もワインなら気候で出来不出来はあるものの貴族には必要不可欠のもの。他国でも需要は多い。だからアーロン様と私の婚約を結んだ。

家と家との繋がりの為の政略。お互いの利益の一致。

私は初夜をした事により侯爵家に一生繋がれた…。



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