妻の私は旦那様の愛人の一人だった

アズやっこ

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実家に戻り十分に休養した私はお兄様に言われた。


「ジュリア、悪いが政略結婚をしてほしい」

「分かりました」


これも仕方がない。


「相手も一度結婚している人なんだが」

「私も一度結婚しているので構いません」

「悪いな」

「お兄様が気にする事ではありません。私もいつまでも実家に身を寄せている訳にはいけませんから」

「近々顔合わせをする」

「分かりました」


後妻、それも仕方がない。初夜を済ませた私に後妻以外の嫁ぎ先なんてないもの。

アーロン様より良い人なんて大勢いる。例え政略でも仲を築こうと努力してくれる人なら私は構わない。次はそういう人だと思いたい。


侯爵家はあれから借金が増えた。当主が子世代に代わり侯爵家と縁を切る家が増え、今は残り少ない家に負担がかかっている。荷を運びたい家がいるなら船を出さないといけない。船を出せば高額の金額を請求される。そうすると侯爵家から離れる家は相次ぐ。

今は借金が膨らみ船を手放すまで話が出ているらしい。


そうそう、アーロン様の本命の彼女、息子さんから男爵家を追い出されたみたい。息子さんと結婚したお嫁さんを虐めた。それと自分とあまり年が変わらない愛人を持つ母親が許せなかったみたい。


『下劣だ、吐き気がする』


と言われ絶縁されたらしいわ。

息子さんから絶縁された彼女は侯爵家に身を寄せている。アーロン様は結婚したいようだけど彼女の方は息子さんの所に帰りたい。

アーロン様は初恋の人を一途に思う純粋な人なのかもしれない。彼女の良い所しか見ていない。彼女が一番愛しているのは息子さんよ?貴方も息子さんの為に利用されただけ。

彼女はまだ15歳だった貴方の恋心を利用しただけなのよ?15歳の貴方を誑かすのは簡単。貴方の周りはまだ女性の体になりきっていない令嬢ばかり。そんな時、閨指導をしてくれた女性の体に溺れるのは当たり前よね。手取り足取り教えてもらい柔らかい大人の女性の体に触れる。妖艶に優しい言葉をかけられたら貴方が彼女に恋を抱くのも無理はないわ。彼女の体に溺れている貴方が初めての私が物足りないのも今なら分かる。


彼女に贅沢をさせたくても贅沢させるだけのお金も無い。世話をしてくれるメイドも長年侯爵家で仕えてきたメイド長だけ。

メイド達は私が離縁されるか、もしくは家を出るなら侯爵家を辞めると言っていた。

『奥様の居ない侯爵家に未練もありません。私達は奥様だから仕えていたんです』

そして離縁し侯爵家を出る時一緒に連れて出た。今は伯爵家で働いている。メイド達はお兄様が次の働き口を探してくれている。

お兄様からアーロン様と離縁させる事を聞かされてから私も内密に働き口を探した。侯爵家のメイド、それだけでいくら探しても条件の良い所は無かった。

それだけ侯爵家の名は地に落ちた。

それでも伯爵家からなら条件の良い働き口は見つかる。だからメイド達を一度辞めさせ伯爵家に連れて来た。メイド達のこの先の生活だけは絶対に守りたい。

それに侯爵家はこれからもどんどん地に落ちていく。マティス様が侯爵家から手を引いたとお兄様が言っていた。お兄様が起ち上げた商会だけにしたと。

他国の経路を断たれた侯爵家に残された道は他の経路を探す事。でも、それはきっと無理。それなら船を貸出しすればいいのに。それもきっと無理。愛人達の接待頼りのアーロン様のやり方だったのに愛人達を彼女の為に全て切った。

アーロン様に何が出来るの?

他国へ行って経路を探す?

彼女一人残し他国へは行けない。目を離したらどこに行くか分からないもの。彼女もアーロン様に見切りを付けている。それを貴方は薄々気付いている。貴方は彼女を繋ぎ止めたくて必死。

でも彼女からしたら他国との経路がない貴方は、

何の価値もない

息子さんに絶縁された原因の貴方は彼女にとってもう邪魔な存在なのよ?



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