11 / 13
11
しおりを挟む実家に戻り十分に休養した私はお兄様に言われた。
「ジュリア、悪いが政略結婚をしてほしい」
「分かりました」
これも仕方がない。
「相手も一度結婚している人なんだが」
「私も一度結婚しているので構いません」
「悪いな」
「お兄様が気にする事ではありません。私もいつまでも実家に身を寄せている訳にはいけませんから」
「近々顔合わせをする」
「分かりました」
後妻、それも仕方がない。初夜を済ませた私に後妻以外の嫁ぎ先なんてないもの。
アーロン様より良い人なんて大勢いる。例え政略でも仲を築こうと努力してくれる人なら私は構わない。次はそういう人だと思いたい。
侯爵家はあれから借金が増えた。当主が子世代に代わり侯爵家と縁を切る家が増え、今は残り少ない家に負担がかかっている。荷を運びたい家がいるなら船を出さないといけない。船を出せば高額の金額を請求される。そうすると侯爵家から離れる家は相次ぐ。
今は借金が膨らみ船を手放すまで話が出ているらしい。
そうそう、アーロン様の本命の彼女、息子さんから男爵家を追い出されたみたい。息子さんと結婚したお嫁さんを虐めた。それと自分とあまり年が変わらない愛人を持つ母親が許せなかったみたい。
『下劣だ、吐き気がする』
と言われ絶縁されたらしいわ。
息子さんから絶縁された彼女は侯爵家に身を寄せている。アーロン様は結婚したいようだけど彼女の方は息子さんの所に帰りたい。
アーロン様は初恋の人を一途に思う純粋な人なのかもしれない。彼女の良い所しか見ていない。彼女が一番愛しているのは息子さんよ?貴方も息子さんの為に利用されただけ。
彼女はまだ15歳だった貴方の恋心を利用しただけなのよ?15歳の貴方を誑かすのは簡単。貴方の周りはまだ女性の体になりきっていない令嬢ばかり。そんな時、閨指導をしてくれた女性の体に溺れるのは当たり前よね。手取り足取り教えてもらい柔らかい大人の女性の体に触れる。妖艶に優しい言葉をかけられたら貴方が彼女に恋を抱くのも無理はないわ。彼女の体に溺れている貴方が初めての私が物足りないのも今なら分かる。
彼女に贅沢をさせたくても贅沢させるだけのお金も無い。世話をしてくれるメイドも長年侯爵家で仕えてきたメイド長だけ。
メイド達は私が離縁されるか、もしくは家を出るなら侯爵家を辞めると言っていた。
『奥様の居ない侯爵家に未練もありません。私達は奥様だから仕えていたんです』
そして離縁し侯爵家を出る時一緒に連れて出た。今は伯爵家で働いている。メイド達はお兄様が次の働き口を探してくれている。
お兄様からアーロン様と離縁させる事を聞かされてから私も内密に働き口を探した。侯爵家のメイド、それだけでいくら探しても条件の良い所は無かった。
それだけ侯爵家の名は地に落ちた。
それでも伯爵家からなら条件の良い働き口は見つかる。だからメイド達を一度辞めさせ伯爵家に連れて来た。メイド達のこの先の生活だけは絶対に守りたい。
それに侯爵家はこれからもどんどん地に落ちていく。マティス様が侯爵家から手を引いたとお兄様が言っていた。お兄様が起ち上げた商会だけにしたと。
他国の経路を断たれた侯爵家に残された道は他の経路を探す事。でも、それはきっと無理。それなら船を貸出しすればいいのに。それもきっと無理。愛人達の接待頼りのアーロン様のやり方だったのに愛人達を彼女の為に全て切った。
アーロン様に何が出来るの?
他国へ行って経路を探す?
彼女一人残し他国へは行けない。目を離したらどこに行くか分からないもの。彼女もアーロン様に見切りを付けている。それを貴方は薄々気付いている。貴方は彼女を繋ぎ止めたくて必死。
でも彼女からしたら他国との経路がない貴方は、
何の価値もない
息子さんに絶縁された原因の貴方は彼女にとってもう邪魔な存在なのよ?
271
あなたにおすすめの小説
9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました
柚木ゆず
恋愛
「あら!? もしかして貴方、アリアン!?」
かつてわたしは孤児院で暮らしていて、姉妹のように育ったソリーヌという大切な人がいました。そんなソリーヌは突然孤児院を去ってしまい行方が分からなくなっていたのですが、街に買い物に出かけた際に9年ぶりの再会を果たしたのでした。
もう会えないと思っていた人に出会えて、わたしは本当に嬉しかったのですが――。現状を聞かれたため「とても幸せに暮らしています」と伝えると、ソリーヌは激しく怒りだしてしまったのでした。
初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました
柚木ゆず
恋愛
「俺の前で声を出すな!!」
マトート子爵令嬢シャルリーの婚約者であるレロッズ伯爵令息エタンには、隣国に嫁いでしまった初恋の人がいました。
シャルリーの声はその女性とそっくりで、聞いていると恋人になれなかったその人のことを思い出してしまう――。そんな理由でエタンは立場を利用してマトート家に圧力をかけ、自分の前はもちろんのこと不自然にならないよう人前で声を出すことさえも禁じてしまったのです。
自分の都合で好き放題するエタン、そんな彼はまだ知りません。
その傍若無人な振る舞いと自己中心的な性格が、あまりにも大きな災難をもたらしてしまうことを。
※11月18日、本編完結。時期は未定ではありますが、シャルリーのその後などの番外編の投稿を予定しております。
※体調の影響により一時的に、最新作以外の感想欄を閉じさせていただいております。
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
【完結】私に可愛げが無くなったから、離縁して使用人として雇いたい? 王妃修行で自立した私は離縁だけさせてもらいます。
西東友一
恋愛
私も始めは世間知らずの無垢な少女でした。
それをレオナード王子は可愛いと言って大層可愛がってくださいました。
大した家柄でもない貴族の私を娶っていただいた時には天にも昇る想いでした。
だから、貴方様をお慕いしていた私は王妃としてこの国をよくしようと礼儀作法から始まり、国政に関わることまで勉強し、全てを把握するよう努めてまいりました。それも、貴方様と私の未来のため。
・・・なのに。
貴方様は、愛人と床を一緒にするようになりました。
貴方様に理由を聞いたら、「可愛げが無くなったのが悪い」ですって?
愛がない結婚生活などいりませんので、離縁させていただきます。
そう、申し上げたら貴方様は―――
婚約者が妹と婚約したいと言い出しましたが、わたしに妹はいないのですが?
柚木ゆず
恋愛
婚約者であるアスユト子爵家の嫡男マティウス様が、わたしとの関係を解消して妹のルナと婚約をしたいと言い出しました。
わたしには、妹なんていないのに。
婚約者マウントを取ってくる幼馴染の話をしぶしぶ聞いていたら、あることに気が付いてしまいました
柚木ゆず
恋愛
「ベルティーユ、こうして会うのは3年ぶりかしらっ。ねえ、聞いてくださいまし! わたくし一昨日、隣国の次期侯爵様と婚約しましたのっ!」
久しぶりにお屋敷にやって来た、幼馴染の子爵令嬢レリア。彼女は婚約者を自慢をするためにわざわざ来て、私も婚約をしていると知ったら更に酷いことになってしまう。
自分の婚約者の方がお金持ちだから偉いだとか、自分のエンゲージリングの方が高価だとか。外で口にしてしまえば大問題になる発言を平気で行い、私は幼馴染だから我慢をして聞いていた。
――でも――。そうしていたら、あることに気が付いた。
レリアの婚約者様一家が経営されているという、ルナレーズ商会。そちらって、確か――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる