10 / 13
10
しおりを挟むお兄様はあれから信用の出来る友達や学友に声を掛けた。アーロン様の一つ年下のお兄様の学友がアーロン様と繋がっている可能性もある。だからお兄様が信用している人だけ。
その中にはこれからは他国へ手を広げたいと思う人もいる。それでも当主のお父様はこの国だけでと頑なな人。
当主が代われば時代が変わる
次期当主の人達の方が考え方が柔軟。この国だけで、も重要。それでも他国へ手を広げ家の繁栄に希望を持つのも事実。
今までは侯爵家のように船を持ち経路を持つ家に頼らないといけなかった。後は商会。商会でも船を持たない、船と契約をしていない商会なら意味はない。
船に荷物を載せるだけでも料金は高い。他国に手を広げても商売が出来なければ失敗に終わる。他国での商売の経路を持つマティス様は欠かせない存在。
だからアーロン様はマティス様に腰が低かった。船を持っていても他国の経路があってこそだもの。
お兄様は商会を起ち上げた。お父様とは別にワインを独自で商売する為に。お父様は『どうせ失敗するだろうがやりたいなら勝手にやれ』と言ったそう。お父様はお兄様とマティス様が繋がっている事は知らない。
お兄様の友達、学友の中にも親世代は侯爵家と繋がっている家もある。だから子世代だけで内密に進めた。
どうして高い料金を取られてまで侯爵家と繋がるのか、その理由が愛人達の接待だと知り嫌悪した。
その行為が駄目なんじゃない。それも一つの商売のやり方だと。ただ、それに縛られてより良い条件の所を探さないのが駄目なんだと。
お兄様の商会には親世代とは別に経路を持ちたい子息が集まった。
侯爵家と経路は同じ。それでも船に掛かる料金以外は各々の儲けになる。
商会はただの建前。独自にマティス様と繋がると侯爵家に目を付けられる。その為の隠れ蓑。アーロン様に知られる事もなくお兄様達は着実に功績を残している。
それにアーロン様が気付く訳がない。侯爵家へ上がる報告書は全て私が処理をしている。私が見てみぬふりをすれば良いだけ。
だって私はアーロン様から見てみぬふりをしろと言われたもの。愛人達は貴方の仕事に無くてはならない存在。なら愛人達が関わる仕事も私は見てみぬふりをしないといけない。そうでしょ?
それに何も言うな、何も聞くなと言ったのは貴方。だから私は何も言わない。何も聞かない。侯爵家の仕事をただしているだけ。報告書を見てそれに基づいて作成し王宮へ提出する。
貴方が自分で目を通し自分でやっていれば業績の低下は把握できる。それを全て私に任せた貴方の責任だわ。
同じ物を他国で売る場合、親世代は侯爵家に支払う高額なお金も上乗せする。そうしないと利益がないもの、当たり前よね。
でも子世代は船に掛かる最低限の料金は支払うものの商品は安く設定できる。
同じ物を高い値段の方を買うか安い値段の方を買うか、子供でも分かるわ。
親世代の商売は低下する。他国への商売を引き上げる家も多い。
アーロン様、侯爵家は今、少しの荷で船を出しているのよ。今までは割り振られた船に掛かるお金も侯爵家が負担するしかない。
当主が代われば時代は変わる
当主が代われば時代は動く
貴方は本命の彼女しか見ていない。だから親世代から子世代へ時代が動いたのも知らない。
馬鹿な人。
お兄様に当主が変わった伯爵家からアーロン様宛に届いた。
『大事な妹は返して貰う。侯爵家とは今後一切縁を切らせて貰う』
アーロン様は怒鳴って言った。
「お前とは離縁だ!さっさと出ていけ!」
「ふふっ、もう私の役目は終わりましたよね?ではご機嫌よう」
アーロン様の苦虫を噛み潰したような顔を最後に見れて良かった。
結婚してもうすぐ3年。私は侯爵家から解放された。
301
あなたにおすすめの小説
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪
結婚式当日に私の婚約者と駆け落ちした妹が、一年後に突然帰ってきました
柚木ゆず
恋愛
「大変な目に遭ってっ、ナルシスから逃げてきたんですっ! お父様お姉様っ、助けてくださいっ!!」
1年前、結婚式当日。当時わたしの婚約者だったナルシス様と駆け落ちをした妹のメレーヌが、突然お屋敷に現れ助けを求めてきました。
ふたりは全てを捨ててもいいから一緒に居たいと思う程に、相思相愛だったはず。
それなのに、大変な目に遭って逃げてくるだなんて……。
わたしが知らないところで、何があったのでしょうか……?
9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました
柚木ゆず
恋愛
「あら!? もしかして貴方、アリアン!?」
かつてわたしは孤児院で暮らしていて、姉妹のように育ったソリーヌという大切な人がいました。そんなソリーヌは突然孤児院を去ってしまい行方が分からなくなっていたのですが、街に買い物に出かけた際に9年ぶりの再会を果たしたのでした。
もう会えないと思っていた人に出会えて、わたしは本当に嬉しかったのですが――。現状を聞かれたため「とても幸せに暮らしています」と伝えると、ソリーヌは激しく怒りだしてしまったのでした。
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です
ワイちゃん
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?
【完結】私に可愛げが無くなったから、離縁して使用人として雇いたい? 王妃修行で自立した私は離縁だけさせてもらいます。
西東友一
恋愛
私も始めは世間知らずの無垢な少女でした。
それをレオナード王子は可愛いと言って大層可愛がってくださいました。
大した家柄でもない貴族の私を娶っていただいた時には天にも昇る想いでした。
だから、貴方様をお慕いしていた私は王妃としてこの国をよくしようと礼儀作法から始まり、国政に関わることまで勉強し、全てを把握するよう努めてまいりました。それも、貴方様と私の未来のため。
・・・なのに。
貴方様は、愛人と床を一緒にするようになりました。
貴方様に理由を聞いたら、「可愛げが無くなったのが悪い」ですって?
愛がない結婚生活などいりませんので、離縁させていただきます。
そう、申し上げたら貴方様は―――
婚約者マウントを取ってくる幼馴染の話をしぶしぶ聞いていたら、あることに気が付いてしまいました
柚木ゆず
恋愛
「ベルティーユ、こうして会うのは3年ぶりかしらっ。ねえ、聞いてくださいまし! わたくし一昨日、隣国の次期侯爵様と婚約しましたのっ!」
久しぶりにお屋敷にやって来た、幼馴染の子爵令嬢レリア。彼女は婚約者を自慢をするためにわざわざ来て、私も婚約をしていると知ったら更に酷いことになってしまう。
自分の婚約者の方がお金持ちだから偉いだとか、自分のエンゲージリングの方が高価だとか。外で口にしてしまえば大問題になる発言を平気で行い、私は幼馴染だから我慢をして聞いていた。
――でも――。そうしていたら、あることに気が付いた。
レリアの婚約者様一家が経営されているという、ルナレーズ商会。そちらって、確か――
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる