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バタン!
突然扉が開いてビクッと身体が揺れた。
「おい!」
レオンお兄様の低い声…。
「アイリスが驚いただろ!」
「それはすみません」
「お前は隊長室に入るのにノックもしないのか!」
「それもすみません。ですがアイリスが隊長に攫われたと聞いて」
「アイリスを可愛がるだけだ。アイリスは可愛い妹だからな」
「隊長!」
「ガイ?」
「アイリスおいで」
私はレオンお兄様の膝の上から下りようと、
「レオンお兄様?」
「ここに座ってなさい」
「レオンお兄様?アイリス?どう言う事だ?」
「あっ、隊長さん、私下ります」
「アイリス、レオンお兄様でいい」
「ですが」
「隊長!どう言う事ですか!」
「アイリスはクロードの妹だ」
「はい」
「なら俺の妹だ、違うか?」
「それは、」
「だからレオンお兄様でいいんだ」
「それは分かりましたけど、アイリスは離して下さい」
「仕方ないな」
レオンお兄様から下りた私はガイに直ぐ捕まった。抱きしめられ、スリスリされ…。
「ガイ、見回りはきちんとしてきただろうな」
「勿論ですよ。見回りから帰って来たら、番が隊長に攫われたって聞かされて慌ててここに来たんですから」
ガイは私を見つめ、
「アイリス、急にどうしたんだ?」
「それがね、お父様にガイに会ってほしいって伝えたの」
「そうか」
「そしたら急なんだけど明後日に会うって言われて…。ガイ大丈夫?」
「隊長」
「分かった、ガイはその日休め」
「ありがとうございます」
「早く伝えなきゃと思ってここに来たんだけど、約束ないと会えないの知らなくてレオンお兄様に助けて貰ったの」
「一人で怖かっただろ?大丈夫か?」
「怖かったけど早くガイに伝えないとと思ってたから」
「そうか。伝えに来てくれてありがとな」
「ガイ」
「何だ?」
「きっと酷い事を言われるわ」
「兄上を思えばそれは仕方ない事だ。俺は受け止める」
「傷つく言葉を言われるのよ?」
「俺は構わないよ。アイリスを嫁にするならいつかは通らないといけない事だ」
「そうだけど…」
「アイリス、俺はどれだけ罵られても傷つけられても構わない」
「でも…」
「それでもアイリスを手放す事は出来ないんだ。俺の気持ちを分かってくれるまで何度も通う。アイリスの両親に認めて貰えるまで何度も頭を下げる」
「ごめんなさい」
「何でアイリスが謝る?大事な娘を嫁に貰うんだ、例え殴られても俺は諦めないぞ?」
「うん」
ガイは私を優しく包み込むように抱きしめた。
「アイリス愛してる。俺の愛しい番」
ガイは私を優しく抱きしめ、頭を撫でた。
「ガイ、ご両親はお前に酷い事を言うかもしれない。だが耐えてくれ」
「当たり前です」
「大事な息子を獣人に殺されたんだ。獣人を憎んでいるだろう」
「はい」
「それでもクロードやアイリスにとって大事なご両親だ。優しいご両親だ。良いご両親なんだ」
「分かってます」
「クロードが大事にしたご両親なんだ」
「はい、分かってます」
「頼む、許してほしい」
「当たり前です。許しを乞うのは俺の方です」
「その気持ちをどうか忘れないでくれ」
「分かりました」
ガイは私を抱きしめ、
「アイリス、俺には家族がいない。だからアイリスの家族は俺の家族だ。直ぐに認めて貰おうなんて思ってない」
「うん」
「俺が人族を憎んでるように、アイリスの家族が獣人を憎んでるのも分かってる。それでも獣人の俺が愛してるのは人族のアイリスだ」
「うん」
「アイリスが俺と結婚したから家族に会えないなんて事にはしたくない。子供が産まれたら抱いてほしいし喜んでほしい。それに産まれてくる子供は俺と同じ狼だ」
「そうね…」
「俺はアイリスと結婚する為に頑張るよ。だからアイリスも一緒に頑張ってくれないか?」
「勿論よ」
ガイはもう一度私を抱きしめた。
「明後日の午後から伺うと父上に伝えてくれるか?」
「分かった」
「送って行くよ」
「一人で帰れるわ」
「俺が心配なんだ」
「分かったわ」
ガイと私、レオンお兄様が部屋を出ようとしたら、また突然ふわりと身体が浮いた。
「隊長!」
「ガイ許せ。アイリスを運ぶのは俺の役目だ」
私はまたレオンお兄様に抱っこされた。
ガイがもの凄い目でレオンお兄様を睨んでいる。それでも気にしないレオンお兄様。ガイも流石に隊長には逆らえない?
隊長室を出て出入口まで向かう。
「これはこれは妹君」
この前の大きな獣人さん。
「こ、こんにちは」
「こんにちは。今日は隊長に抱っこされてるのですね」
「ビアード、アイリスは可愛いだろ」
「はい。とても微笑ましいです」
「だろ。ククッ。 クロードが今頃俺の可愛いアイリスを離せって言ってそうだ」
「確かに」
「アイリスは俺にとっても可愛い妹だからクロードにも譲らんがな」
「では妹君は取り合いですね。隊長とクロード殿とガイと」
「だな。だが俺も負けん」
「ハハッ。ガイも大変だ」
「ビアードさんからも言って下さい。アイリスを離せって。俺の愛しい番に隊長の匂いが付いて大変なんですから」
「それでもガイが何もしない所を見ると半分諦めてるから?」
「まあ半分は、嫌、4分の1は諦めです。兄上の意思を継ぎアイリスを可愛がっているのは分かりますから」
「ハハッ。ガイも大変だな、まあ頑張れ」
突然扉が開いてビクッと身体が揺れた。
「おい!」
レオンお兄様の低い声…。
「アイリスが驚いただろ!」
「それはすみません」
「お前は隊長室に入るのにノックもしないのか!」
「それもすみません。ですがアイリスが隊長に攫われたと聞いて」
「アイリスを可愛がるだけだ。アイリスは可愛い妹だからな」
「隊長!」
「ガイ?」
「アイリスおいで」
私はレオンお兄様の膝の上から下りようと、
「レオンお兄様?」
「ここに座ってなさい」
「レオンお兄様?アイリス?どう言う事だ?」
「あっ、隊長さん、私下ります」
「アイリス、レオンお兄様でいい」
「ですが」
「隊長!どう言う事ですか!」
「アイリスはクロードの妹だ」
「はい」
「なら俺の妹だ、違うか?」
「それは、」
「だからレオンお兄様でいいんだ」
「それは分かりましたけど、アイリスは離して下さい」
「仕方ないな」
レオンお兄様から下りた私はガイに直ぐ捕まった。抱きしめられ、スリスリされ…。
「ガイ、見回りはきちんとしてきただろうな」
「勿論ですよ。見回りから帰って来たら、番が隊長に攫われたって聞かされて慌ててここに来たんですから」
ガイは私を見つめ、
「アイリス、急にどうしたんだ?」
「それがね、お父様にガイに会ってほしいって伝えたの」
「そうか」
「そしたら急なんだけど明後日に会うって言われて…。ガイ大丈夫?」
「隊長」
「分かった、ガイはその日休め」
「ありがとうございます」
「早く伝えなきゃと思ってここに来たんだけど、約束ないと会えないの知らなくてレオンお兄様に助けて貰ったの」
「一人で怖かっただろ?大丈夫か?」
「怖かったけど早くガイに伝えないとと思ってたから」
「そうか。伝えに来てくれてありがとな」
「ガイ」
「何だ?」
「きっと酷い事を言われるわ」
「兄上を思えばそれは仕方ない事だ。俺は受け止める」
「傷つく言葉を言われるのよ?」
「俺は構わないよ。アイリスを嫁にするならいつかは通らないといけない事だ」
「そうだけど…」
「アイリス、俺はどれだけ罵られても傷つけられても構わない」
「でも…」
「それでもアイリスを手放す事は出来ないんだ。俺の気持ちを分かってくれるまで何度も通う。アイリスの両親に認めて貰えるまで何度も頭を下げる」
「ごめんなさい」
「何でアイリスが謝る?大事な娘を嫁に貰うんだ、例え殴られても俺は諦めないぞ?」
「うん」
ガイは私を優しく包み込むように抱きしめた。
「アイリス愛してる。俺の愛しい番」
ガイは私を優しく抱きしめ、頭を撫でた。
「ガイ、ご両親はお前に酷い事を言うかもしれない。だが耐えてくれ」
「当たり前です」
「大事な息子を獣人に殺されたんだ。獣人を憎んでいるだろう」
「はい」
「それでもクロードやアイリスにとって大事なご両親だ。優しいご両親だ。良いご両親なんだ」
「分かってます」
「クロードが大事にしたご両親なんだ」
「はい、分かってます」
「頼む、許してほしい」
「当たり前です。許しを乞うのは俺の方です」
「その気持ちをどうか忘れないでくれ」
「分かりました」
ガイは私を抱きしめ、
「アイリス、俺には家族がいない。だからアイリスの家族は俺の家族だ。直ぐに認めて貰おうなんて思ってない」
「うん」
「俺が人族を憎んでるように、アイリスの家族が獣人を憎んでるのも分かってる。それでも獣人の俺が愛してるのは人族のアイリスだ」
「うん」
「アイリスが俺と結婚したから家族に会えないなんて事にはしたくない。子供が産まれたら抱いてほしいし喜んでほしい。それに産まれてくる子供は俺と同じ狼だ」
「そうね…」
「俺はアイリスと結婚する為に頑張るよ。だからアイリスも一緒に頑張ってくれないか?」
「勿論よ」
ガイはもう一度私を抱きしめた。
「明後日の午後から伺うと父上に伝えてくれるか?」
「分かった」
「送って行くよ」
「一人で帰れるわ」
「俺が心配なんだ」
「分かったわ」
ガイと私、レオンお兄様が部屋を出ようとしたら、また突然ふわりと身体が浮いた。
「隊長!」
「ガイ許せ。アイリスを運ぶのは俺の役目だ」
私はまたレオンお兄様に抱っこされた。
ガイがもの凄い目でレオンお兄様を睨んでいる。それでも気にしないレオンお兄様。ガイも流石に隊長には逆らえない?
隊長室を出て出入口まで向かう。
「これはこれは妹君」
この前の大きな獣人さん。
「こ、こんにちは」
「こんにちは。今日は隊長に抱っこされてるのですね」
「ビアード、アイリスは可愛いだろ」
「はい。とても微笑ましいです」
「だろ。ククッ。 クロードが今頃俺の可愛いアイリスを離せって言ってそうだ」
「確かに」
「アイリスは俺にとっても可愛い妹だからクロードにも譲らんがな」
「では妹君は取り合いですね。隊長とクロード殿とガイと」
「だな。だが俺も負けん」
「ハハッ。ガイも大変だ」
「ビアードさんからも言って下さい。アイリスを離せって。俺の愛しい番に隊長の匂いが付いて大変なんですから」
「それでもガイが何もしない所を見ると半分諦めてるから?」
「まあ半分は、嫌、4分の1は諦めです。兄上の意思を継ぎアイリスを可愛がっているのは分かりますから」
「ハハッ。ガイも大変だな、まあ頑張れ」
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