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24 誕生会

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フランキーが15歳になり誕生会が王宮で開かれた。

夜会には出席できない変わりに昼間のお茶会へ出席した。

フランキーとは二人で会えないだけで家族で会ってるわ。この前だってちょっと早いけど誕生日を皆で祝ったの。

案外会ってるの。

もう会えないと思っていたから感傷的になったあの日はなんだったのかしら。

あの次の日だってフレディと一緒に家に来たのよ?

『兄上が一緒ならいとこの集まりだよな』

って。私の方が今度は呆れたわ。

フレディは申し訳なさそうな気まずそうな何ともいえない顔をしていたわ。

でもお兄様が怒って出入り禁止にしたけどね。

そしたら伯父様から『親睦を深める為にも月に一度食事会をしよう』って言われたの。今更親睦を深めなくても元々仲が良いのよ?

お父様と伯父様は毎日会ってるし、お兄様も毎日王宮へ行くからフレディともフランキーとも会ってる。それにお母様も伯母様とお茶会を定期的にしてるしね。私もお母様に付いて伯母様とお茶をしに王宮へ行くわ。

でもお父様も伯父様の意見に賛成したから月に一度食事会をしているの。その時にフランキーとも話すし本当に何も変わらないのよ?


「グレース、今日のドレス綺麗だな。それに着けてきてくれたんだ」


そう言って嬉しそうに笑うフランキー。

一昨日フランキーから髪留めを貰ったの。『俺の誕生会に着けてほしい』って。リボンもそうだけどフランキーはたまに贈り物を贈ってくれるの。『似合いそうだったから』って。

私が誕生日の贈り物をしたお礼にってお父様経由で貰ったわ。

着けてほしいって手紙に書いてあったし今日のドレスに合ってたから。今日のドレス、赤色の生地を使えるのは王族だけ。今はお母様と私、伯母様とロザンヌ様だけ。伴侶の瞳の色だから、それだけなんだけど。私は自分の瞳の色だから。

夜会用のドレスより落ち着いててワンピースよりも豪華なお茶会用ドレス。赤地のドレスに銀色の刺繍糸で薔薇の刺繍が刺してあるの。お母様は金色の刺繍糸で違う柄よ。金色はお父様の髪の色だから。

フランキーから貰ったのも赤い薔薇の花の髪留めだったの。


「叔母上も綺麗ですね」

「あら私はついでかしら?」

「まさか」


お母様とフランキーは顔を見合わせ笑っているわ。


「俺もこの前グレースから貰ったから身に着けてる」


誕生日の贈り物で私はルビーのカフスボタンとピンバッチを贈ったの。フランキーの瞳の色だから。


「フランキー、今日の装いには合わないわ」


今日フランキーの装いは白色の正装。そこにルビーの真っ赤な宝石はどうしても目につく。別に駄目とは言わないけど。


「夜会では外しなさいよ?」

「どうしてだよ」


襟元にあるピンバッチ、ファーストダンスを踊り赤い花を取っても遠くからピンバッチに目がいく。白色の生地に赤色は映えるから。それはカフスボタンも同様で手を動かせばチラチラと目につく。


「いい?」

「分かった分かった」


私はフランキーを睨んだ。

これは分かってないわね。


「ほら、違う席にも挨拶に行きなさいよ。

あっ、フランキー、誕生日おめでとう」

「ありがとうグレース」


フランキーが違う席に挨拶に行き、


「フランキーって可愛いわよね」

「お母様?」

「ふふっ、ふふっ」

「もう、お母様は何も教えてくれないんだから。

それにフランキーは可愛いんじゃなくて格好良いのよ?」

「あら、グレース貴女フランキーの事格好良いと思っているの?」

「そういう格好良いじゃなくて、今までを知ってるからこその格好良いよ?

お兄様とフレディ兄様に追いつこうと必死に頑張ってきたもの。努力家で無愛想だし素っ気ない所もあるけど、とても心は優しいの。だから人一倍傷付く時もあるんだけど。でも勉強も剣の稽古も一日も休んだ事はないわ。今も毎日剣の鍛錬を怠らないわ。それに私はそんなフランキーに何度も助けられて支えてきてもらったの。

だからフランキーは格好良い男性になったと思うの」

「ふふっ、それだけ分かっていれば大丈夫ね」


お母様はずっと嬉しそうににこにこと笑っていた。


「私は夜会の準備に一度帰るけど貴女はどうするの?まだ他の方と話をするなら残ってもいいのよ?」

「私も帰るわ。挨拶は済んだから」


お友達とは話したし、挨拶も終わった。ここまで集まるお茶会って正直疲れるのよね。遠回しに『婚約のご予定は?』『お相手は?』って聞かれるの。

婚約の予定もないし相手もいないわよ悪かったわね、そう言えたらいいけどそういう訳にはいかないわ。


お母様と一緒に馬車まで向かった。

馬車の前にはルイが立っていた。ルイは最近私の護衛をしてくれているの。それは前の時と同じね。

ルイのお父様のマークスはお父様にお兄様のロイスはお兄様に、そしてルイは私に。

元々マークスは第二王子のお父様の近衛隊の一人だったの。お母様と婚姻して王宮を出た時、近衛隊を辞めてお父様に付いてきたの。生涯忠誠を誓うのはお父様にだけ。それは代々子供達にも受け継がれたの。だからお兄様と私の乳母はマークスの妻のアリアだったのよ。


「お待たせルイ」


ルイはまだ見習いだけどこうして馬車で出掛ける時は付いてくるようになったの。勿論騎士達も大勢周りにいるわ。

ルイは馬車の扉を開けてお母様に手を貸している。お母様が先に乗り込んだから今度は私にルイは手を差し出した。

私もルイの手に手を添えた。


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