厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
51 / 196

51:女は度胸。

しおりを挟む



 ******
 


 目覚めの一発、眼球へのキラキラご尊顔攻撃。
 寝顔が眩しいほどに美しいとか、どんな特技でしょうか。

 昨夜は遅くまでおしゃべりしていたので、ちょっと遅めに起きてしまいました。
 テオ様は一昨日から徹夜されてありましたので、昨日はちゃんと寝たのでしょう。
 そして、どうやら今日はお寝坊さんのようです。

 そっとテオ様の胸に耳を寄せると、トクントクンと緩やかな鼓動が聞こえて来ました。
 規律正しいその音に段々と目蓋が重くなって来て、自然と眠りに落ちてしまったようです。



 ――――落差が激し過ぎますわ。

 再度目を覚ますと、テオ様が私の胸をまさぐっている最中でした。

「睡姦は犯罪ですわよ?」
「人聞きの悪い事を言うな!」
「では、この行為は何とお呼びすればよろしいのですか?」
「…………愛しき妖精の体が冷たかったのでな。温めていた。あれだ、手当て療法」

 ――――なるほど?

「ひーたひ! ひたひひたひぃ!」 

 テオ様の形の良い鼻が真っ赤になっていらっしゃいました。



 テオ様を部屋から追い出し、着替えと化粧を済ませて部屋から出ると、ロブが廊下にいました。

「ロォブッ、お、おはよう」

 昨日の事を思い出してちょっと恥ずかしくなり、声がひっくり返ってしまいました。

「おはようございます」
「? ……うん」

 何となく、ロブの様子が変です。が! 昨日のことを考えれば、余所余所しくもなるかと納得して、さささっと歩いて食堂へ向かいました。

「我が赤き果実よ、此処へ降り立ち、共に大地の恵みを糧とせん」

(意訳:ミラベル、ここに座って、朝ごはんを一緒に食べよう)

 テオ様が自分の隣の席に座れと言っています。普通は向かい側で食べるのですが?
 そして、何故か使用人全員がニコニコしています。微笑ましいモノを見るような、生ぬっるーい笑顔です。
 これ、断ったらテオ様のご機嫌がドン底になりますよね? 座るべきなのですよね? 嫌な予感しかしていなくとも。

「は……い、失礼いたします」

 ――――近い近い近い!

 十人は座れそうなほど大きなテーブルで肩を寄せ合うほど近くに座られました。
 わざわざイスを動かして。

「赤き果実よ、何が食べたい?」

 朝食はビュッフェ形式になっており、目の前に焼き立てのパンやスコーン、サラダ、スクランブルエッグ、ベーコン、フルーツなどが沢山並んでいます。
 どうやらテオ様が自ら取り分けて下さるようです。

 前世の記憶に引っ張られ、もったいないと思うのですが、余った分は使用人達の朝ごはんに追加されるとの事なので、気にするなと言われました。
 食べ残しを、と申し訳なくなるのですが、やはりそれもこの世界では普通の事なのですよね。
 何年経っても慣れません。

「えぇっと、取り敢えず全部少しずつお願いいたします。お替りは後で考えます。あ、パンは二つで」
「ふふっ、相変わらず良く食べるな」

 ぽそりと小さな声で食欲旺盛さを笑われてしまいました。
 朝ごはんはちゃんと食べないと、日中の行動が辛くなるのですよと言っても、テオ様はクスクスと笑うばかりでした。

「いじけるな。ほら、口を開けて」

 取り分けて下さった私のお皿を何故か自分の前に置いたテオ様が、サラダのミニトマトをフォークに刺して、私の口元に持って来られました。

 ――――こっ、これは!

 あーん、しろという事なのでしょう。
 人目の多いこの場所で、付き合いたてのバカップルのように……あ、一応付き合いたてでしたわ。
 取り敢えず、ミニトマトに罪は無いですし、食べましょう。テオ様の眉毛がへにょんとなってきて、何だか泣きそうですし。

 ――――女は度胸ですわ!


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

処理中です...