厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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132:変態ですか?

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 ううーんと伸びをして、ふと窓の外を見ると、真っ暗でした。
 スースーと寝息が聞こえる方向に視線を向けると、テオ様が私の部屋のソファに座り、脚と腕を組んで眠っていました。

 テーブルには夕食らしきものが一人分置いてあります。
 きっと、私の分なのでしょう。
 イスに座り、ゆっくりと咀嚼しながら食べ始めましたが、また途中で気持ち悪くなりました。
 たぶん、おやつのクッキーが消化不良を起こしているのでしょう。
 食事を終わらせ、テオ様の横にそっと座りました。

「テオ様、テオ様!」
「ん……あ、みらべる、おきたの?」

 とろんとしたお顔で、少し舌っ足らずな感じのテオ様は、妙にエロいです。
 ちょっとお腹がぞわぞわします。

「テオ様――――」

 ちゅ、と唇を寄せて重ねました。
 テオ様とのキスは、ふわふわとしていて、甘いです。

「テオ様、今朝はごめんなさい」

 喉の奥に入れすぎて、えずいてしまうなんて。しかもテオ様を吐いたものに塗れさせてしまうなんて。本当に申し訳無いです。

「…………ん」

 頬をほんのりと染めたテオ様が、キュッと抱きしめて来られました。
 
「どうされました?」
「っ、ミラベル、本当に、ありがとう」

 ――――吐瀉物を浴びせられて感謝?

「変態ですか?」
「をい。何をどう受け取った⁉」

 受け取ったというか、考えていたことを説明しましたら、ガックリと項垂れられました。

「違う、そうじゃない」
「へ?」
「ミラベル、最近、ずっと体温が高いよな?」
「え、はぁ、たぶん」
「妙に眠かったりしないか?」
「ええ、しますね」

 パーティーの計画や準備で大あらわでしたから。
 でも、それも終わり。数日はゆっくりできますわ!

「ミラベル、月のものは?」
「え……あ、そういえば遅れてますねぇ。すっかり忘れてました! 明日辺り来そうですわ。なんだか体調が悪――――」
「――――来ない」

 いま、言葉が被って良く聞こえませんでした。

「月のものは来ない」
「あ、はぁ。昨日しそこねましたしね……軽めでお願しますね?」

 まだちょっと体調悪いんですよねー。と話していましたら、テオ様がガックリと肩を落とされました。

「違う、そうじゃない」
「何が?」
「いいか、ミラベル」
「は、はい」

 ガシッと両肩をテオ様に掴まれました。
 何でしょうかこの真剣な面持ちは。かなり珍しいです……。

「状況と時期から考えて、その気持ち悪いというのは、悪阻つわりだ」
「つわり……」
「ん。妊娠している可能性が高い」
「あ、あー! それで!」

 ポンと手を叩いて納得していましたら、テオ様がまたもやガックリと項垂れていらっしゃいました。

「こう……泣けとまでは言わないが…………嬉しく、ないの?」

 ポツリと呟かれた言葉がとても可愛らしくて、キュンとしてしまいました。
 テオ様の頭を撫で撫でしつつ、少し屈んで視線を合わせました。

「はい、嬉しいです!」

 そう言うと、テオ様がびっくりするほどに光り輝く笑顔になられて、私の両頬を包み、甘い甘いキスをして下さいました。


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