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イオに言われたことを反芻しながら、アミッツは窓側に身体を置き、そのまま床に正座をしながら目を閉じる。
(先生は自分っていう水の中に飛び込むイメージをするようにって言ってた)
その水の中のどこかに浮かんでいる扉を見つけて、それを開く必要がある、と。
一応扉自体はこの三日で見つけることはできた。しかしどうやってもウンともスンともいってくれず、僅かながらの魔力すら引き出せずにいたのだ。
今、アミッツは意識を自分の奥底へと集中させ、だだっ広さが特徴の真っ白い空間の中を手探りで泳いでいる状態だ。
最初はこの中をひたすら泳ぐだけで時間を費やして一日が終了――なんてこともあったが、今は違う。もう目的のものがある場所は把握している。
しばらく泳いでいると、いきなり景色が変化した。
そこは洞窟のような場所で、ただただ真っ直ぐ長い通路が続く。その先には三つの分かれ道がある。しかし何故か真ん中と右側の道には見えない壁に阻まれている感じで、その先に進めずにいた。
歩を進めることができるのは左側の通路だけ。そしてその先には、巨大な胴色をした扉がその存在感を見せつけていた。
扉の前に立つ。上を見上げるほどの大きな扉に対し、今までは全力で押したり引いたりしていただけ。
『しっかり鍵穴を探して、その鍵穴に合う鍵を――想像して創造しろ』
その言葉通り、今度は扉に触れずにまずは観察することにした。
(先生が言ってた通りなら、どこかに鍵穴が……)
扉には幾何学模様が刻まれており、何を意味しているのかはサッパリ分からない。ただよくよく観察していると、扉の左側に本当によく見ないと分からないが、扉の色が薄いような違和感を覚えた。
「これは……!」
手で触れてみると、ちょうど縦横で十センテ四方(十センチメートル四方のこと)の部分だけ、まるでホログラムで作ったような壁になっていた。その奥は空洞になっている。
「き、気がつかなかったよ……!」
まさかここの一部分だけがスッポリ穴が開いているとは思わなかった。確かにこれはジックリ観察しなければ分からなかったことである。
(先生に感謝しなきゃ、ね)
そう思い手を突っ込んでみると、後ろにスイッチのようなものがあって、それを押してしまった。
直後、扉の中央に切れ込みが走り始め、三角形の窪みが出現する。
「鍵……穴?」
近づいて確認してみると、それは確かに鍵穴のように見えた。
「鍵……想像して………創造する」
イオに言われたことを再度思い返し、深呼吸をしてから瞼を閉じた。
両手を向き合わせ、意識を集中――。
アミッツの両手から淡い光が生まれ、それが集束して何かを形作っていく。それは数秒後、先が三角柱の形をした鍵であった。
アミッツはゴクリと喉を鳴らすと、緊張しながらも震える手で鍵を穴へと差し込み始める。
スッと鍵穴へ吸い込まれていく鍵にホッとしながらも、まだここからだが大事。しっかし回してロックを開けることができるかが重要なのだ。
息を呑み、ゆっくりを鍵を回していく。――――回った。
そして――カチャリ。イオに鍵を開けてもらった時と同じ音が周囲に響いた。
同時に扉がゴゴゴゴゴと音を立てて下から上へと開いていく。すると隙間から大量の魔力が溢れ出し、そのまま立っているアミッツの身体へと流れて行った。
(先生は自分っていう水の中に飛び込むイメージをするようにって言ってた)
その水の中のどこかに浮かんでいる扉を見つけて、それを開く必要がある、と。
一応扉自体はこの三日で見つけることはできた。しかしどうやってもウンともスンともいってくれず、僅かながらの魔力すら引き出せずにいたのだ。
今、アミッツは意識を自分の奥底へと集中させ、だだっ広さが特徴の真っ白い空間の中を手探りで泳いでいる状態だ。
最初はこの中をひたすら泳ぐだけで時間を費やして一日が終了――なんてこともあったが、今は違う。もう目的のものがある場所は把握している。
しばらく泳いでいると、いきなり景色が変化した。
そこは洞窟のような場所で、ただただ真っ直ぐ長い通路が続く。その先には三つの分かれ道がある。しかし何故か真ん中と右側の道には見えない壁に阻まれている感じで、その先に進めずにいた。
歩を進めることができるのは左側の通路だけ。そしてその先には、巨大な胴色をした扉がその存在感を見せつけていた。
扉の前に立つ。上を見上げるほどの大きな扉に対し、今までは全力で押したり引いたりしていただけ。
『しっかり鍵穴を探して、その鍵穴に合う鍵を――想像して創造しろ』
その言葉通り、今度は扉に触れずにまずは観察することにした。
(先生が言ってた通りなら、どこかに鍵穴が……)
扉には幾何学模様が刻まれており、何を意味しているのかはサッパリ分からない。ただよくよく観察していると、扉の左側に本当によく見ないと分からないが、扉の色が薄いような違和感を覚えた。
「これは……!」
手で触れてみると、ちょうど縦横で十センテ四方(十センチメートル四方のこと)の部分だけ、まるでホログラムで作ったような壁になっていた。その奥は空洞になっている。
「き、気がつかなかったよ……!」
まさかここの一部分だけがスッポリ穴が開いているとは思わなかった。確かにこれはジックリ観察しなければ分からなかったことである。
(先生に感謝しなきゃ、ね)
そう思い手を突っ込んでみると、後ろにスイッチのようなものがあって、それを押してしまった。
直後、扉の中央に切れ込みが走り始め、三角形の窪みが出現する。
「鍵……穴?」
近づいて確認してみると、それは確かに鍵穴のように見えた。
「鍵……想像して………創造する」
イオに言われたことを再度思い返し、深呼吸をしてから瞼を閉じた。
両手を向き合わせ、意識を集中――。
アミッツの両手から淡い光が生まれ、それが集束して何かを形作っていく。それは数秒後、先が三角柱の形をした鍵であった。
アミッツはゴクリと喉を鳴らすと、緊張しながらも震える手で鍵を穴へと差し込み始める。
スッと鍵穴へ吸い込まれていく鍵にホッとしながらも、まだここからだが大事。しっかし回してロックを開けることができるかが重要なのだ。
息を呑み、ゆっくりを鍵を回していく。――――回った。
そして――カチャリ。イオに鍵を開けてもらった時と同じ音が周囲に響いた。
同時に扉がゴゴゴゴゴと音を立てて下から上へと開いていく。すると隙間から大量の魔力が溢れ出し、そのまま立っているアミッツの身体へと流れて行った。
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