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この世界で初めて魔物を作ったあと、次に僕が行ったのは食材集めである。
当然生きるためには食べ物が必要で、幸い【箱庭】には先程見つけた《モモタンの実》のように食べられる食材が結構あるのだ。
そういうことで現在森の中で食材を調達中なんだけど……。
「アイツめー、食材集めはお一人でどうぞってどういうことなんだよぉ」
アイツというのはあの堅物カラスのことだよもちろん。
まあゲームでも手伝ってはくれなかったけど、せっかく喋る相手ができて喜びもあったというのに、畑で待ってるなんて冷たくはないだろうか。
まあでも……。
「お前が傍にいるからマシかな」
「ピィ!」
僕の頭の上が気に入ったのか、イチがチョコンと乗ってウネウネと動いている。
こっちとしては変な感触で若干気持ちが悪いが、イチが喜んでくれているみたいなので何も言わないでおく。
ちなみにニンとサブの二体には素材集めを指示した。
素材といっても石や薪などの生活に必要なものである。火を起こすには薪は必要不可欠だし、他にも鍬やスコップなどの修理にも木材は消費するのだ。
ゲームでは〝クラフト〟といって、必要な素材さえ準備できれば一瞬で作りたいものを創作できたが、ここではどうなのだろうか。
再度ステータス画面を開いてみると、クラフトの文字を発見したのでクリックしてみる。
すると大きな画面が開き、左上に紋様が刻まれていた。
「あーやっぱ一つだけかぁ」
この紋様は《クラフト紋》といって、プレイヤーが生活していく上で最も重要視するものである。
管理人レベルが上がるにつれて、この《クラフト紋》も増えていく。
現在ある白い《クラフト紋》は初級レベルのもので、この紋様を地面などに書いて、その上に素材を配置することで農具や家具などを一瞬で創作することができるのだ。
ただ初級ということもあり、当然創作できるものも限られている。
「けど知識としては最高の《クラフト紋》を知ってるんだけどな」
白い紋様の次は青、緑、赤、金と五段階ある。
その全部が頭に入ってるから、今書けばもしかしたら使えるかもしれない。
ゲームでは画面に刻まれている紋様をクリックすればいいだけだったが、どうやらここでは実際に描かないといけないようだ。
とりあえず枝を用いて初期である《白のクラフト紋》を地面に描いてみる。
紋様自体はそれほど難しいわけではなく、二重円の中に漢字の〝壱〟を崩して描いているような見た目だ。
――よし、書けた。
あとはこの紋の上に素材となるアイテムを置くだけ。
とはいってもこの場にあるもので創作できるものは……。
「《葉っぱの帽子》でも作ってみるか。じゃあ木に登って……ん? どうしたイチ?」
するとイチが突然身体を動かして鳴くものだから驚いた。
「……もしかして手伝ってくれるの?」
「ピィピィ!」
正解だったようでペコンペコンと身体を何度も沈みこませる。
……これ、頷いてるんだよな? ちょっと可愛い。
「じゃ、じゃあ葉っぱを集めてくれる?」
任せろと言わんばかりに「ピィ!」と鳴くと、ナメクジが木に登るように枝へと向かっていく。
そして枝のところでピョコンピョコンと跳ね出した。
弓なりにしなる枝は、何度も揺らされる衝撃で葉を落としていく。
「お、おお……って危ないっ!?」
同じところで跳ねるものだから、枝がイチを支え切れずに折れてしまった。
慌てて駆け寄り地面に落下するまでにダイレクトキャッチを成功させた。
「ふぅぅぅ~、大丈夫かイチ?」
「ピ、ピィ!」
「でもあまり危ないことはしちゃダメだぞ」
「ピィ……」
止めなかった僕が言うのもなんだけど……。
まあスライムだから物理攻撃には強い。これくらいの高さから落ちてもほぼノーダメージだろうけど、見ていてあまり気分の良いものじゃないしね。
僕はイチの頭部? を優しく撫でてから、落ちた枝から葉っぱを集める。
数十枚ほど集めたものを《クラフト紋》の上に載せた。
それと同時に《クラフトメニュー》という画面が開く。
そこには《白いクラフト紋》で創作できるものがジャンル分けで表示されていた。他にも名前などを入力して創作可能物を探す検索機能まであるので便利だ。
その中で《衣類》のジャンルをクリックする。
現在の素材で創作できるものはライトで照らされているかのように明るい。
《葉っぱの帽子》を見つけると、ちゃんと明るく照らされているので、それをクリック。
直後に『クラフトと唱えてください』と表示された。
「え? 唱えるの?」
ゲームでは『クラフトを行いますか? はい:いいえ』と表示されていた。そして〝はい〟をクリックすればクラフトできたはず。
本当にゲームの時とは少しずつ異なっている部分がある。
「――クラフト」
とにかく指示があった通りに唱えてみると、紋様が白く輝き始め、数秒後――ボボンッと白煙が噴出し、その中から黄緑色の葉だけを編み込んで作られた《葉っぱの帽子》が現れたのである。
「わ、わお! マジでクラフトできたし……!」
ちょっと半信半疑だったけど、これはかなり嬉しい。
まるでアニメとかに出てくる錬金術師にでもなった気分だ。
帽子を被ってみるとすっぽりと嵌まりサイズ感もちょうどいい。
「ピィ! ピィピィ!」
「ん? 何だイチ、もしかして欲しいのか?」
物欲しそうに鳴くイチに被せてやるが、さすがにブカブカだ。
「んーちょっと待ってな。今、お前サイズのやつ作ってやるから」
作る工程は同じだが、今度は小さめの帽子をイメージしてクラフトすると、イチにピッタリとフィットする帽子が出来上がった。
与えてやるとあちらこちらに跳び跳ねて喜んでいる。
あ、そうだ。今のうちにアレも試しておこう。
というのは知識上にある他の《クラフト紋》が使用できるかどうか、だ。
最高の紋である《金のクラフト紋》を描く。ちなみにこっちは〝伍〟という漢字を崩したようなやつである。
ゲーム内でこの紋は《万能紋》と呼ばれ、あらゆるものをこの紋一つで作ることが可能なのだ。
とりあえずさっきと同じように枝で紋を描き、その上に葉っぱを置く。
「…………う~ん」
先程のようにメニューが開くことなく《金のクラフト紋》で作ることができる創作物が選択できない。
とりあえずイメージだけでできないか一応試してみよう。
「クラフト――……って、やっぱダメか」
ウンともスンとも言わない。
正確に起動していれば、紋は金色に輝き《葉っぱの帽子》が目の前に出現したはずだ。
「さすがにそんな反則行為はできないってことか」
これは地道にレベルを上げてくしかないみたいだなぁ。
一応他の《クラフト紋》も試してみたが、結局使用できたのは白だけだった。
「あ、そういやヤタにはどうやって説明しようか」
本来ならこのクラフトも《ガイドアニマル》に教えられて使用する手順なのだ。
ただ別に説明を受けなくとも画面に示される使い方に従えば問題ないので、ヤタには後者の手法を使ったと言っておこう。
そうして試してみたかったクラフトも行ったあとは、食べられる食材を確保して小屋へと戻った。
帽子の存在に気づいたヤタに当然のように説明を求められたので、先程考えた言い訳を口にすると、意外にもあっさりと納得してくれたのである。
それとニンやサブも帽子を欲しがったので、色違いの葉っぱを使って同じ帽子を作ってやったのであった。
当然生きるためには食べ物が必要で、幸い【箱庭】には先程見つけた《モモタンの実》のように食べられる食材が結構あるのだ。
そういうことで現在森の中で食材を調達中なんだけど……。
「アイツめー、食材集めはお一人でどうぞってどういうことなんだよぉ」
アイツというのはあの堅物カラスのことだよもちろん。
まあゲームでも手伝ってはくれなかったけど、せっかく喋る相手ができて喜びもあったというのに、畑で待ってるなんて冷たくはないだろうか。
まあでも……。
「お前が傍にいるからマシかな」
「ピィ!」
僕の頭の上が気に入ったのか、イチがチョコンと乗ってウネウネと動いている。
こっちとしては変な感触で若干気持ちが悪いが、イチが喜んでくれているみたいなので何も言わないでおく。
ちなみにニンとサブの二体には素材集めを指示した。
素材といっても石や薪などの生活に必要なものである。火を起こすには薪は必要不可欠だし、他にも鍬やスコップなどの修理にも木材は消費するのだ。
ゲームでは〝クラフト〟といって、必要な素材さえ準備できれば一瞬で作りたいものを創作できたが、ここではどうなのだろうか。
再度ステータス画面を開いてみると、クラフトの文字を発見したのでクリックしてみる。
すると大きな画面が開き、左上に紋様が刻まれていた。
「あーやっぱ一つだけかぁ」
この紋様は《クラフト紋》といって、プレイヤーが生活していく上で最も重要視するものである。
管理人レベルが上がるにつれて、この《クラフト紋》も増えていく。
現在ある白い《クラフト紋》は初級レベルのもので、この紋様を地面などに書いて、その上に素材を配置することで農具や家具などを一瞬で創作することができるのだ。
ただ初級ということもあり、当然創作できるものも限られている。
「けど知識としては最高の《クラフト紋》を知ってるんだけどな」
白い紋様の次は青、緑、赤、金と五段階ある。
その全部が頭に入ってるから、今書けばもしかしたら使えるかもしれない。
ゲームでは画面に刻まれている紋様をクリックすればいいだけだったが、どうやらここでは実際に描かないといけないようだ。
とりあえず枝を用いて初期である《白のクラフト紋》を地面に描いてみる。
紋様自体はそれほど難しいわけではなく、二重円の中に漢字の〝壱〟を崩して描いているような見た目だ。
――よし、書けた。
あとはこの紋の上に素材となるアイテムを置くだけ。
とはいってもこの場にあるもので創作できるものは……。
「《葉っぱの帽子》でも作ってみるか。じゃあ木に登って……ん? どうしたイチ?」
するとイチが突然身体を動かして鳴くものだから驚いた。
「……もしかして手伝ってくれるの?」
「ピィピィ!」
正解だったようでペコンペコンと身体を何度も沈みこませる。
……これ、頷いてるんだよな? ちょっと可愛い。
「じゃ、じゃあ葉っぱを集めてくれる?」
任せろと言わんばかりに「ピィ!」と鳴くと、ナメクジが木に登るように枝へと向かっていく。
そして枝のところでピョコンピョコンと跳ね出した。
弓なりにしなる枝は、何度も揺らされる衝撃で葉を落としていく。
「お、おお……って危ないっ!?」
同じところで跳ねるものだから、枝がイチを支え切れずに折れてしまった。
慌てて駆け寄り地面に落下するまでにダイレクトキャッチを成功させた。
「ふぅぅぅ~、大丈夫かイチ?」
「ピ、ピィ!」
「でもあまり危ないことはしちゃダメだぞ」
「ピィ……」
止めなかった僕が言うのもなんだけど……。
まあスライムだから物理攻撃には強い。これくらいの高さから落ちてもほぼノーダメージだろうけど、見ていてあまり気分の良いものじゃないしね。
僕はイチの頭部? を優しく撫でてから、落ちた枝から葉っぱを集める。
数十枚ほど集めたものを《クラフト紋》の上に載せた。
それと同時に《クラフトメニュー》という画面が開く。
そこには《白いクラフト紋》で創作できるものがジャンル分けで表示されていた。他にも名前などを入力して創作可能物を探す検索機能まであるので便利だ。
その中で《衣類》のジャンルをクリックする。
現在の素材で創作できるものはライトで照らされているかのように明るい。
《葉っぱの帽子》を見つけると、ちゃんと明るく照らされているので、それをクリック。
直後に『クラフトと唱えてください』と表示された。
「え? 唱えるの?」
ゲームでは『クラフトを行いますか? はい:いいえ』と表示されていた。そして〝はい〟をクリックすればクラフトできたはず。
本当にゲームの時とは少しずつ異なっている部分がある。
「――クラフト」
とにかく指示があった通りに唱えてみると、紋様が白く輝き始め、数秒後――ボボンッと白煙が噴出し、その中から黄緑色の葉だけを編み込んで作られた《葉っぱの帽子》が現れたのである。
「わ、わお! マジでクラフトできたし……!」
ちょっと半信半疑だったけど、これはかなり嬉しい。
まるでアニメとかに出てくる錬金術師にでもなった気分だ。
帽子を被ってみるとすっぽりと嵌まりサイズ感もちょうどいい。
「ピィ! ピィピィ!」
「ん? 何だイチ、もしかして欲しいのか?」
物欲しそうに鳴くイチに被せてやるが、さすがにブカブカだ。
「んーちょっと待ってな。今、お前サイズのやつ作ってやるから」
作る工程は同じだが、今度は小さめの帽子をイメージしてクラフトすると、イチにピッタリとフィットする帽子が出来上がった。
与えてやるとあちらこちらに跳び跳ねて喜んでいる。
あ、そうだ。今のうちにアレも試しておこう。
というのは知識上にある他の《クラフト紋》が使用できるかどうか、だ。
最高の紋である《金のクラフト紋》を描く。ちなみにこっちは〝伍〟という漢字を崩したようなやつである。
ゲーム内でこの紋は《万能紋》と呼ばれ、あらゆるものをこの紋一つで作ることが可能なのだ。
とりあえずさっきと同じように枝で紋を描き、その上に葉っぱを置く。
「…………う~ん」
先程のようにメニューが開くことなく《金のクラフト紋》で作ることができる創作物が選択できない。
とりあえずイメージだけでできないか一応試してみよう。
「クラフト――……って、やっぱダメか」
ウンともスンとも言わない。
正確に起動していれば、紋は金色に輝き《葉っぱの帽子》が目の前に出現したはずだ。
「さすがにそんな反則行為はできないってことか」
これは地道にレベルを上げてくしかないみたいだなぁ。
一応他の《クラフト紋》も試してみたが、結局使用できたのは白だけだった。
「あ、そういやヤタにはどうやって説明しようか」
本来ならこのクラフトも《ガイドアニマル》に教えられて使用する手順なのだ。
ただ別に説明を受けなくとも画面に示される使い方に従えば問題ないので、ヤタには後者の手法を使ったと言っておこう。
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帽子の存在に気づいたヤタに当然のように説明を求められたので、先程考えた言い訳を口にすると、意外にもあっさりと納得してくれたのである。
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