能天気男子の受難

いとみ

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ルシオンは疲れ果てて眠そうにしていたが、ベッドがお互いの液体でグショグショに濡れているため、このままでは横になれない。

マクビルはルシオンを抱っこして、浴室に行きお風呂に入っている間に、侍従にシーツを交換してもらう事にした。

程好い温かさのお湯に、マクビルは後ろからルシオンを抱く格好で湯船に入る。
まぶたが重くなっているルシオンは、もう眠りの縁にいるようだ。その顔を眺めていると、愛しさで堪らなくなり、まぶたや、頬、首筋と軽くキスを落としていく。
ルシオンは、睡魔には勝てなかったようで、湯船に浸ったまま気持ち良さそうに眠った。

マクビルは、ルシオンの身体を綺麗に洗って、新しくシーツを交換したベッドに寝かせた。
そして、ルシオンの寝顔を見ながら、マクビルも眠りに着いた。



◆◆◆


入学式が、あと数十分で始まるという時………
リビアンは桜の木の下にいた。
どこからか、子犬を拾ってきて、手が届くか届かないかギリギリの木の枝に乗せ、準備万端でジオードを待っていた。
ところが…いくら待ってもジオードは来ない。
それどころか、どうでも良い男子達が近寄ってきて、話しかけたり、子犬を助けたり、邪魔が入っていた。

(もう、何なのよ!どいつもこいつも邪魔ばっかりして。ジオードが近寄れないじゃない!絶対、来るんだから。)

リビアンは苛立つ表情を必死に隠し、ひたすらジオードを待っていた。


◆◆◆◆

その頃のジオードといえば………

入学式の席は自由なので、テオルドの隣から離れるはずもなく笑顔で会場にいた。

◆◆◆◆◆


セレスは入学式が終わっても生徒会室に来ても、脱け殻のように動かないでいた。
式が始まる前のルシオンの異変に気が付いていたが、セレスが駆け寄る前に、マクビルに先を越され連れ去られてしまったのだ。
その後、救護室かと思い行ってみれば誰もいなく、どこへ行ったのか、ルシオンは無事なのかも解らないでいた。
セレスは心配しすぎて、動けないでいたのだ。

マクビルならルシオンを傷付けないだろうと、解っているのだが、それでも不安だった。


◆◆◆◆◆◆


身体が重くて、寝返りを打つのも億劫だった。
ゆっくり大きく寝返りをうつと何かに当たった。

「いてっ、………起きたのか?」

……………ん?
目を開けると、素っ裸の……マクビルが!
何?何で?ちょっと待て。
確か…入学式の前に具合が悪くなって……身体が熱くて、頭がぼーっとして……
俺………うぎゃあぁぁ、恥ずかしい!色々と痴態をさらした記憶が…あるような……うわあぁぁん。

ルシオンは恥ずかしすぎて、布団を頭から被り、マクビルの視線から避難する。身体がおかしかったとは言え、マクビルとエロい事をしてしまったのだ。

「ルシオン…すまない、その……。」
「ちょっとまった。」

俺は布団から顔を出し、マクビルが謝ろうとしている言葉を遮る。巻き込んだのは俺なのだ。マクビルに謝ってもらう必要はない。

「謝らないで…。助けてもらったようなもんだし………俺、あのままだったら…酷い事になってた。」
「だが、俺は…抑えきれなかった。欲望のままに、お前を抱いた。」

ぎゃあぁぁ、よく恥ずかし気もなく、さらっとそんな事が言えるな。聞いてるこっちが恥ずかしいよ。

「も、もう終わったことだから良いよ。」
「そうはいかない。ルシオン…責任はとる。」

え?何でそうなるの?妊娠させられた訳じゃないのに、そんなセリフを言われるとは………俺、妊娠してないよね?いやいや、男なんだからそんな訳ないか。

「大袈裟だな。」
「大袈裟じゃない…その…お前の身体に………。やり過ぎて……。」

は?身体?布団を少し開いて、自分の身体を見てみる。
そこには、赤い跡がいくつもあった。

「湿疹?アレルギーか何かかな…。」
「いや……キスマークだ。」

えぇぇぇ!俺は布団から抜け出し、裸のまま全身が写る鏡の前に行く。
こんな……何かの病気かと思ってしまうような赤い点が、首筋、胸、腕、腹、内もも、さらには後ろを見ると、背中まで、たくさん付けられていた。

恐る恐るマクビルの方を向くと、嬉しそうだがばつが悪い顔をしていた。
そんな顔をされると怒る気にもなれない。
あの時は、俺も気持ち良すぎて大胆になっていたから、お互い様かもしれない。

少し脱力し、俺は素っ裸のままだと気付き、恥ずかしくなり、俺はベッドに戻り布団の中に潜ると、今度は腹がなった。

「腹減ったろ?今は夕方だから、もう夕飯だな。持ってくるから待ってろ。」
マクビルは爽やかな笑顔で言った。

夕方?そんなに時間が経ってたのか。腹も減る訳だ。

「そういえば、俺の服は?」
「お前の服は濡れたから洗濯してる。代わりにこれを着てろ。」

そう言われて、渡されたのは………………………
マクビルのシャツだった。



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