魔術学院最下位の俺が最強スキル絶対真眼を手に入れちゃいました。~必ず首席で卒業してみせる~

一条おかゆ

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第37話 ギャンブル

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「すみません。この村に泊まれるところはありますか?」
「それならあそこの大きなとこがそうだよ」
「ありがとうございます」

 俺達は新たな村についていた。
 街の覆いなどは壁では無く柵だが、家屋の数はそこそこにある。
 中にはレンガ造りの新しい建物もあって、この前の村とは大違いだ。
 村というよりは小さな町に近いかもしれない。

「今日は宿屋に泊まれそうですね」
「あぁ、ようやくベッドで眠れそうだな」

 俺達はそのまま宿屋と言われた家屋へと向かった。

 宿屋はこの村でも一番大きな建物だ。
 レンガ造りの三階建ての建物で、外観もそこそこ立派だ。
 ……まぁ俺の生まれ育った王都に比べたらしょぼいけど。

「すみません、空き部屋ありますか?」

 俺達は宿屋の中に入った。
 すると一階は食堂になっていて2階から上が客室になっている。
 そして旅人や農民がたくさんいる。
 宿屋に何かの目的の為に来ているのだろう。

 しかし……魔族の領域だけど、こうしてみれば人間なのか魔族なのかはわからない。
 まぁ魔族と人間の見た目の違いなんて黒い翼を出せるか否かだしな。

「何名様でお泊りですか?」

 宿屋の中で受付の女の人にそう言われる。
 俺達は荷物を受付の近くに置き、受付へと向かった。

「4人と……一匹です」

 一匹というのはスライムのアニのことだ。
 ……アニで料金を取られたどうしようか。
 最悪隠すか。

「そちらのかわいいスライムさんの料金は構いませんよ」

 そういって受付嬢さんは微笑む。
 おおっと、アニはモテモテだな。

「ありがとうございます」
「4人部屋と2人部屋がありますが、どうなさいますか?」

 俺はみんなの方を見る。

「4人部屋の方が安いだろう、そちらでいいぞ」
「わしも構わぬぞ」
「……ん」
「では4人部屋の方でお願いします」
「わかりました、では206号室になります」

 金属の鍵を渡される。

「じゃあ先に部屋に荷物を置こうか」
「そうするかの」

 俺達は荷物を置いてから少し村を見て回ることにした、が――

「……ん?」
「どこいったんだ?」

 荷物が……無い。
 ……は?

「ええ!? 荷物は!?」
「うーん、置き引きかの?」

 グルミニアは妙に落ち着いている。

「受付さん! 何か見ていなかったですか?」
「いえ、人が多かったので……」
「まじか……」

 正直困ったな……。
 荷物がないとこれからの旅が大変なんてものじゃないぞ。

「あの……もしかしたら賭場にあるかも知れませんね」

 受付の人は少し言いにくそうにそう言ってくれる。
 町の人が盗んだのだろうが、客を逃したくも無い。
 そんな複雑な心境なのだろうな。

「この村で置き引きの荷物を持ってくところなんて賭場くらいしかありませんから」
「それはどこに?」
「ここから南の方に行った村の酒場で開催されています」
「行くしかないな……」

 はぁ……。
 俺達は望んでもいない賭場に向かうことになってしまった。

 ◇◇◇

 宿屋から歩いて5分ほど。
 俺達は昼間なのに喧騒に包まれた酒場に、荷物を探しにきていた。
 正直あんまりこういう賭場とかいう所に来るのは気が乗らないんだけど……。

「おいおい、嬢ちゃん達がなんのようだ~?」
「わしらは荷物を探しに来たのじゃ」
「荷物~知らねぇな」

 グルミニアに絡む男は昼間なのにべろんべろんに酔っぱらっている。

「ここに何も持ってこられていないのだろうか?」
「ひっ……」

 話に割り込んできたキザイアさんに、男は酔いがさめたように驚く。
 目に傷がある重装備の騎士がすごんできたら誰だって怖い。

「そ、それならあそこに……っ」

 男が指差す先には台に置かれた荷物。
 あれは……俺達の荷物だ。

「ふっ、やっぱりな」

 しかし、その手前で男達が一人の少年に話しかけている。
 俺達はその輪に加わるかのように少年へと話しかけた。

「そこの少年、ちょっといい?」
「……っ! なっ、何の用だよ!」
「それ、俺達の荷物じゃないかな?」
「しっ、しらねぇよ! これはたまたま拾ったものだ」

 ……少年。
 明らかに怪しいぞ。

「そこの兄ちゃん、これは今回の賭けの大会の賞金だぞ」
「いや、俺達の荷物ですよ」
「はぁ? どっちでもいいけどよ、ならこれに見合うもんだしな」
「俺達は正当に取り返しに来ただけです」

 俺は反論をして、何とか取り戻そうとするが――

「まぁまぁ、アベル。ここはわしらも賭けに乗ろう」
「え!?」
「まぁよいではないか。これも旅の思い出じゃよ」
「でも……ちょ、ちょっと!」

 グルミニアは反論する俺の肩を無理矢理抑えつけしゃがませる。
 そして、

「もしもの時はわしがなんとかする」

 俺の耳元で囁く。
 身体がぞわっとする感覚に俺は反論できなかった。

「……」

 ぐっ……。
 アマネのジト目が痛い。

「よし! わしらは乗るぞ小僧! じゃから黙ってルールを教えてるのじゃ!」
「黙ってたら教えられないけど……まぁいいぜ、腰掛けな」

 俺達は少年に促されるままに机についた。
 その机は6人掛け。
 そして上にはトランプが置かれている。
 確実にこれを使ったゲームだろう。

「簡単さ、ポーカーだよ」

 俺達の荷物を置き引きした少年はなんだか楽しそうに語る。

「普通のポーカーでいいんだな」
「あぁ誰でもわかるようにな、こういう大会にはうってつけさ」
「その賞金が俺達の荷物なのに目を瞑ればな……」

 どこかがこの人たちとはずれてるな……。
 まぁ俺自体賭場に来るような人間じゃないしな。

 しかしポーカーのルールくらいは知っている
 5枚の手札を組み合わせて強い役を作り、ブラフを使ったりしてだまし合ったりするゲームだ。

「今から1時間かけて最終的に一番チップの多い奴が優勝だ」
「チップは?」
「ほらよ。一人100だからな」

 少年は10とかかれたチップを10枚、それを4人分渡してくれる。

「じゃあにいちゃ~ん早速俺としようぜ~」

 酔っぱらった農夫が絡んでくる。

「まぁお試しにやりましょうか」

 俺は農夫の正面に座った。
 そして10のチップを1のチップに代えてもらってそれを一つ台に置く。
 ぺらっとトランプを5枚めくると……手札は1のワンペア。
 正直悪くない。

「手札はどうだったんだ坊主?」
「まぁそこそこいいですね」
「そうか、なら今回は降りるわ」

 え、マジ!?
 今のだけでわかったのか!?

 もう一度俺は勝負する。
 手札が悪かったので3枚を替える、
 それでも手札はあまりよくならなかった。

「へっへっへ、次はどうだったんだ坊主」
「……まぁいいですかね」

 俺は嘘をついた。
 こういうゲームではブラフというものは大切だ。

「なら今度は勝負しようかな、コール」
「え!?」
「もちろん乗ってくるよな坊主」
「……あぁ! もちろんだ」

 しかしその勝負の結果は火を見るよりも明らかだった。
 ――俺の敗北。
 それは当然の結果だった。

「坊主弱いな、へっへっへ」
「ぐうぅ……!」

 ……くそ。
 次こそは、次こそはなんとしても勝たなきゃいけない!
 次の勝負で取り返して見せる……ッ!
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