74 / 116
第67話 動き出す歯車
しおりを挟む
「ほう、おもしろい理論じゃな」
「そうだろ。もっと詳しく説明したいけど、本がないからな」
「というか、時間は良いのか?」
「おおっと、そうだった」
グルミニアと談笑していたら結構時間が経ってしまっていた。
もう既に入学式は始まっているだろう。
始まっている、ですめばいいが。
「今何時くらいだ?」
俺は一応時間を聞くことにした。
「ちょっと待っておれ」
グルミニアはそう言って植物園の奥にある自身の研究所へと向かう。
そして帰ってくる時のグルミニアは小走りだった。
「……アベル、もう終わっておるぞ」
「え!?」
「5分前に入学式は終わったんじゃ」
「やっちまったな……。まぁ気にしないさ」
俺は笑顔をグルミニアに返した。
確かに初っ端から大事な行事をサボったのはよくないが、グルミニアとの談笑はそれ以上の価値があるだろう。
「いいのか?」
「過ぎてしまったものはしょうがないよ」
「そうか」
「それより、グルミニアこそよかったのか?」
グルミニアは一応これでも教師のはずだ。
一緒にサボっているが、入学式に出なきゃいけないはずだろう。
「わしはいいのじゃ。元から出る気はなかったからの、ははは!」
「ははは、グルミニアらしいな」
「そうであろう。しかし、式には出ないとはいえカレンは待っておるのではないか?」
「それも……そうだな」
入学式の後にどこかで食べて帰る予定だったしな。
「わしはいい。久し振りに会ったのじゃろ、カレンと仲良くせい」
「すまないな。じゃあ行ってくる」
俺はグルミニアに背を向けた。
が、そこで言っておかなくちゃいけない事を思い出した。
「あっ、そうだグルミニア」
「なんじゃ?」
「カレンとオリヴィアの事、ありがとな」
そう言い残し、俺は足早に校門へと向かった。
そして帰路につく学生たちを見ながら、俺はすぐに校門に着いた。
すると入学式の後はすぐ解散だったのか、既に校門前には、俺を待つカレンがいた。
「ごめん、待った?」
「いえ待っていませんよ」
「良かった。じゃあ行こうか」
「はい」
◇◇◇
「ふぅー食べたな」
「美味しかったですね」
「美味しかったな。今度はみんなで来ようか」
「そうですね」
家への帰りの道、俺達は満たされたお腹と共に楽しく歩いていたが、
「ん? なんでこんな所に人が集まっているんだ?」
何故か道の脇、路地の前で人が集まっていた。
「何かあったのでしょうか?」
「ちょっと見てみるよ」
俺は人だかりの後ろから路地の方を見ようとする。
しかし人が邪魔で見えない。
「すいません」
だから事情を前の人に聞くことにした。
「どうした?」
「これ、何があったんですか?」
「また行方不明者が出たんだよ。それで調査中だとさ」
「最近、続いているんですか?」
「1年くらい前からちょくちょくな」
1年前から?
俺の瞳が紅くなった時も確か女の人がいなくなった気がするな。
「なんでも、まったく痕跡を残さないから大変だそうだ」
あの時も確かそうだったはずだ。
おそらくあのスーツの男がやったのだろう。
少し嫌な予感はするが……。
……ま、でも偶然か。
「無事だといいですね」
「それがな、まれに行方不明者が帰ってくることがあるんだよ」
「え!? どういうことですか?」
「それがわからないんだよ。帰ってきた途端まるで別の人物になったかのようになるらしくてな。行方不明の間何があったか、なんて絶対言わないらしい」
「……何か裏がありそうですね」
「そうだな。お兄さん達も気をつけてな」
「はい。わかりました」
俺達は軽く会釈してその場を離れた。
まるで別の人物になったかのよう。
そう事について俺は一つだけ覚えがある。
カインの事だ。
あいつは後天的に、急に魔族になった。
そして高度な魔術を駆使し、俺と死闘を繰り広げた。
その裏にはカインを魔族に変えた何かがあるはずだ。
……この事件と無関係だといいが。
「そうだろ。もっと詳しく説明したいけど、本がないからな」
「というか、時間は良いのか?」
「おおっと、そうだった」
グルミニアと談笑していたら結構時間が経ってしまっていた。
もう既に入学式は始まっているだろう。
始まっている、ですめばいいが。
「今何時くらいだ?」
俺は一応時間を聞くことにした。
「ちょっと待っておれ」
グルミニアはそう言って植物園の奥にある自身の研究所へと向かう。
そして帰ってくる時のグルミニアは小走りだった。
「……アベル、もう終わっておるぞ」
「え!?」
「5分前に入学式は終わったんじゃ」
「やっちまったな……。まぁ気にしないさ」
俺は笑顔をグルミニアに返した。
確かに初っ端から大事な行事をサボったのはよくないが、グルミニアとの談笑はそれ以上の価値があるだろう。
「いいのか?」
「過ぎてしまったものはしょうがないよ」
「そうか」
「それより、グルミニアこそよかったのか?」
グルミニアは一応これでも教師のはずだ。
一緒にサボっているが、入学式に出なきゃいけないはずだろう。
「わしはいいのじゃ。元から出る気はなかったからの、ははは!」
「ははは、グルミニアらしいな」
「そうであろう。しかし、式には出ないとはいえカレンは待っておるのではないか?」
「それも……そうだな」
入学式の後にどこかで食べて帰る予定だったしな。
「わしはいい。久し振りに会ったのじゃろ、カレンと仲良くせい」
「すまないな。じゃあ行ってくる」
俺はグルミニアに背を向けた。
が、そこで言っておかなくちゃいけない事を思い出した。
「あっ、そうだグルミニア」
「なんじゃ?」
「カレンとオリヴィアの事、ありがとな」
そう言い残し、俺は足早に校門へと向かった。
そして帰路につく学生たちを見ながら、俺はすぐに校門に着いた。
すると入学式の後はすぐ解散だったのか、既に校門前には、俺を待つカレンがいた。
「ごめん、待った?」
「いえ待っていませんよ」
「良かった。じゃあ行こうか」
「はい」
◇◇◇
「ふぅー食べたな」
「美味しかったですね」
「美味しかったな。今度はみんなで来ようか」
「そうですね」
家への帰りの道、俺達は満たされたお腹と共に楽しく歩いていたが、
「ん? なんでこんな所に人が集まっているんだ?」
何故か道の脇、路地の前で人が集まっていた。
「何かあったのでしょうか?」
「ちょっと見てみるよ」
俺は人だかりの後ろから路地の方を見ようとする。
しかし人が邪魔で見えない。
「すいません」
だから事情を前の人に聞くことにした。
「どうした?」
「これ、何があったんですか?」
「また行方不明者が出たんだよ。それで調査中だとさ」
「最近、続いているんですか?」
「1年くらい前からちょくちょくな」
1年前から?
俺の瞳が紅くなった時も確か女の人がいなくなった気がするな。
「なんでも、まったく痕跡を残さないから大変だそうだ」
あの時も確かそうだったはずだ。
おそらくあのスーツの男がやったのだろう。
少し嫌な予感はするが……。
……ま、でも偶然か。
「無事だといいですね」
「それがな、まれに行方不明者が帰ってくることがあるんだよ」
「え!? どういうことですか?」
「それがわからないんだよ。帰ってきた途端まるで別の人物になったかのようになるらしくてな。行方不明の間何があったか、なんて絶対言わないらしい」
「……何か裏がありそうですね」
「そうだな。お兄さん達も気をつけてな」
「はい。わかりました」
俺達は軽く会釈してその場を離れた。
まるで別の人物になったかのよう。
そう事について俺は一つだけ覚えがある。
カインの事だ。
あいつは後天的に、急に魔族になった。
そして高度な魔術を駆使し、俺と死闘を繰り広げた。
その裏にはカインを魔族に変えた何かがあるはずだ。
……この事件と無関係だといいが。
0
あなたにおすすめの小説
A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~
名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」
「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」
「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」
「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」
「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」
「くっ……」
問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。
彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。
さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。
「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」
「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」
「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」
拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。
これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる