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第三章 新米冒険者
48 やっと地下十五階
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十階で昼食をとりおえた俺たちはそのまま先へと進んでいった。
最初に出会ったのはオークとヘーレウルフ――洞窟狼――の集団だった。
オークは豊満なボディをして腰布を巻いており、骨のブレスレットやネックレスをジャラジャラとつけている。
顔はまんま豚で、フゴフゴと鼻を鳴らしている。
ただ身長は大きくないようで、百六十センチほどだろうか。
そんなオークが一匹、狼が二匹で、オークの動きをサポートするようにヘーレウルフが動く。
ヘーレウルフが連携して攻撃を仕掛けてくるので中々に面倒な敵ではある。
ただ、オーク自体が非常に鈍重で、動きが遅いので厄介なのはヘーレウルフだけだろう。
ドロップ品は、この階層からは全て出るわけじゃなくなるようで、ドロップ品は一つしかない。
それが、俺の目の前にあるオーク肉の塊だ。
なるほど、人が多い理由はこれか。
そして、俺は魔法の袋を借りて正解だったと思った。
受付嬢さんにダンジョン入場許可証のタグをもらった時に、荷物を入れられる魔法の袋のレンタルを勧められたのだ。
特に深く考えずに清算の時あると便利だなと大銅貨一枚を払って借りたのだが正解だった。
――ちなみに魔法の袋を失くした場合には銀貨一枚を支払わなければならない。
Eランクになった冒険者の稼ぎはまずオーク肉で間違いないだろう。
オーク肉の塊は五キロほどあり、大体一キロ大銅貨一枚なので、オークから肉塊が出れば大銅貨五枚の稼ぎになるわけだ。
そんなオーク肉を魔法の袋に入れ、アイテムボックスにしまう。
――ちなみに、このあと人が多くてあまり戦闘はしなかったが、最初の一回以外は出ず、あとは毛皮とクズ宝石だった。
肉のドロップは悪いようだが、それでもこれだけ人がいるということはきっとおいしいのだろう。
戦闘に関しては、基本的にはミハエルの攻撃が主体で、俺はバインドを使って狼の足止めをしているくらいだ。
ただそれでもミハエルの戦闘が楽になるので問題はない。
「ヘーレウルフって外にもいんのかね?」
「いや、ヘーレウルフはいないみたいだぞ。ダンジョン特有のモンスターみたいだな」
「ほー」
ドロップ品の毛皮を拾い上げたミハエルが少しぼやく。
「しっかし、こんだけ弱いのに入るのはEランクからなんだよな」
ミハエルの言葉に俺は思わず苦笑してしまう。
「ミハエルだから弱く感じるだけだと思うぞ」
実際ミハエルは何の苦労もなくサクサクと倒しているので一見して敵が弱く見える。
だけど、普通の人でEランクなりたてであればしんどいはずだ。
――ここはEランクでも少し慣れた人がいる階だろうけども。
ミハエルには才能があり、俺には特殊な魔法がある。
だから弱く感じるだけで、普通ならそこそこ大変なのだと思う。多分。
「そうだよな、普通は大変だよな」
「ああ。でもまぁ実際ミハエルは強いから、物足りないって思うのは仕方ないさ」
そのまま俺たちは地下を進み、次で十五階というところで、ふとミハエルが質問をしてきた。
「そういやダンジョンって宝箱あるんだよな?」
「あーそうだな。そういえば俺の鑑定魔法それ表示されてないわ。後で追加しとく。忘れてたなぁ」
「別にかまわねぇよ。俺も今まで忘れてたしな。それに、低層なんてたいしたもん出ないんだろうしさ。ま、ちょっと宝箱ってのを見てみてーけど」
「俺も見たいな」
笑い合いながら地下十五階へと足を踏み入れ、転移柱に触れた。
時刻はすでに夕方の四時を過ぎている。
人はそんなに多くないようで五パーティほどだろうか、さっきまでの緑の光点に比べると随分と少なく感じる。
今のところ、基本的には五階層ごとに少し種類が変わっていってるみたいなので、またモンスターに変化があるだろう。
――ちなみにダンジョンは成長するらしく、一層ごとに育っていくそうだ。
その成長期の間に、どれだけ栄養をとったかでその階層の広さが決まるらしい。
まぁ、階層が深くなればなるほど、その成長速度は遅くなるようだけど。
また生まれたてのダンジョンは、四階層までは、モンスターは弱く、そしてダンジョン内部もあまり広くはないらしい。
最初のうちは、獲物となる外のモンスターや人間、動物がダンジョンに入り込んだのを、ダンジョンが生み出したモンスターが殺し、それを栄養として取り込むのだ。
人間がよく来るダンジョンになるほどに成長すると、今度は宝箱の配置をしはじめる。
それを目当てに獲物となる人間がさらにたくさんやって来るようになる。
そして獲物となる人間がダンジョンモンスターに殺されて落とした装備品やアイテムを取り込んだダンジョンはそれを利用して作り直し、再び宝箱にアイテムを配置するのだ。
自ら生み出さなくていい分エネルギーの消費は抑えられるらしい。
実に効率よくできているものだ。
ダンジョンが成長し、十階層を超えると今度はダンジョン内の全てのモンスターがアイテムを落としだす。
こうなるともう宝箱以外の目的でも人間が来るようになるのでダンジョンとしては安泰だろう。
こうしてダンジョンは獲物を効率よく狩る為に、成長するごとにドロップアイテムや宝箱の中身を豪勢にして、それを求めてやってくる獲物を簡単に殺す為に、ダンジョンモンスターもどんどん強くなっていく。
まぁ、ダンジョンがどうやって人間が喜ぶアイテムを知っているのかは判明していないが、一説には殺した獲物である人間を吸収した際に知識を得ているのではないか、という事だった。
ただ、このダンジョンについてだが、成長中に人間と出会わなかったダンジョンは少し様相が変わる。
それが肉ダンジョンや果物ダンジョンだろうか。
入ってくる獲物が動物やモンスターなので、その好みに合わせて成長してしまうのだ。
そのまま成長を続け、途中から人間が入り込んだとしても、ダンジョンはそのまま肉や果物ダンジョンとして成長していく。
そもそも、人間も肉や果物目当てで来るのでダンジョンはその好みのままになるのだ。
しかし、人間が来ることで宝箱の設置はするようになるらしい、と以前スマフォさんで確認した。
そんなことを考えながら地下十五階を進んでいると、最初の敵に出会った。
十五階まではオークとヘーレウルフだったが、今俺たちの前にいるのは、フェルスリザード――岩トカゲ――が三匹だ。
大きさは全長一メートルはあるだろうか、鋭い牙の生えた口と立派な爪を生やしている。
体色は洞窟とよく似た色をしており、すぐには気づけないかもしれない。
トカゲは洞窟の天井にも張り付いていてそこから岩を飛ばして攻撃をしてくる。
さすがに天井となるとミハエルも大変なので、壁や床にいるのはミハエルが始末して、天井にいるのは俺が始末をすることになった。
俺は鋭く尖らせ回転するアースバレットを放ち、天井に張り付くフェルスリザードを排除していく。
今のところは出ているのはフェルスリザードの皮が一枚だ。
これは一枚大銅貨一枚で売れるらしい。
十階以降は中々に稼げるようになるみたいだ。
「ヘーレウルフよりは楽だな。でもルカの魔法がねーと天井にいるのはかなり面倒だな」
「そうだな、槍とか弓があればまた違うんだろうけど」
「ああ、でも俺は剣以外てんでダメだからなぁ」
「別にいいさ。ミハエルが難しいとこは俺がサポートするし、俺が苦手な近接戦闘はミハエルがやる。俺らはそれでいいのさ」
「はは。そうだな」
俺たちは拳を打ち合い笑い合った。
そうして進んでいると、二回目に遭遇した敵から、鉄鉱石が出た。
鉄鉱石も、フェルスリザードの皮と同じく、一個で大銅貨一枚だ。
ミハエルがそれを拾い上げて言った。
「お、十五階から鉄鉱石が出るんだな」
「そうみたいだな。今日はそこそこいい稼ぎになりそうだぞ、ミハエル」
「お、いいねぇ。清算が楽しみだな」
そんなことを話ながらも俺たちは地下二十階を目標に進んでいく。
最初に出会ったのはオークとヘーレウルフ――洞窟狼――の集団だった。
オークは豊満なボディをして腰布を巻いており、骨のブレスレットやネックレスをジャラジャラとつけている。
顔はまんま豚で、フゴフゴと鼻を鳴らしている。
ただ身長は大きくないようで、百六十センチほどだろうか。
そんなオークが一匹、狼が二匹で、オークの動きをサポートするようにヘーレウルフが動く。
ヘーレウルフが連携して攻撃を仕掛けてくるので中々に面倒な敵ではある。
ただ、オーク自体が非常に鈍重で、動きが遅いので厄介なのはヘーレウルフだけだろう。
ドロップ品は、この階層からは全て出るわけじゃなくなるようで、ドロップ品は一つしかない。
それが、俺の目の前にあるオーク肉の塊だ。
なるほど、人が多い理由はこれか。
そして、俺は魔法の袋を借りて正解だったと思った。
受付嬢さんにダンジョン入場許可証のタグをもらった時に、荷物を入れられる魔法の袋のレンタルを勧められたのだ。
特に深く考えずに清算の時あると便利だなと大銅貨一枚を払って借りたのだが正解だった。
――ちなみに魔法の袋を失くした場合には銀貨一枚を支払わなければならない。
Eランクになった冒険者の稼ぎはまずオーク肉で間違いないだろう。
オーク肉の塊は五キロほどあり、大体一キロ大銅貨一枚なので、オークから肉塊が出れば大銅貨五枚の稼ぎになるわけだ。
そんなオーク肉を魔法の袋に入れ、アイテムボックスにしまう。
――ちなみに、このあと人が多くてあまり戦闘はしなかったが、最初の一回以外は出ず、あとは毛皮とクズ宝石だった。
肉のドロップは悪いようだが、それでもこれだけ人がいるということはきっとおいしいのだろう。
戦闘に関しては、基本的にはミハエルの攻撃が主体で、俺はバインドを使って狼の足止めをしているくらいだ。
ただそれでもミハエルの戦闘が楽になるので問題はない。
「ヘーレウルフって外にもいんのかね?」
「いや、ヘーレウルフはいないみたいだぞ。ダンジョン特有のモンスターみたいだな」
「ほー」
ドロップ品の毛皮を拾い上げたミハエルが少しぼやく。
「しっかし、こんだけ弱いのに入るのはEランクからなんだよな」
ミハエルの言葉に俺は思わず苦笑してしまう。
「ミハエルだから弱く感じるだけだと思うぞ」
実際ミハエルは何の苦労もなくサクサクと倒しているので一見して敵が弱く見える。
だけど、普通の人でEランクなりたてであればしんどいはずだ。
――ここはEランクでも少し慣れた人がいる階だろうけども。
ミハエルには才能があり、俺には特殊な魔法がある。
だから弱く感じるだけで、普通ならそこそこ大変なのだと思う。多分。
「そうだよな、普通は大変だよな」
「ああ。でもまぁ実際ミハエルは強いから、物足りないって思うのは仕方ないさ」
そのまま俺たちは地下を進み、次で十五階というところで、ふとミハエルが質問をしてきた。
「そういやダンジョンって宝箱あるんだよな?」
「あーそうだな。そういえば俺の鑑定魔法それ表示されてないわ。後で追加しとく。忘れてたなぁ」
「別にかまわねぇよ。俺も今まで忘れてたしな。それに、低層なんてたいしたもん出ないんだろうしさ。ま、ちょっと宝箱ってのを見てみてーけど」
「俺も見たいな」
笑い合いながら地下十五階へと足を踏み入れ、転移柱に触れた。
時刻はすでに夕方の四時を過ぎている。
人はそんなに多くないようで五パーティほどだろうか、さっきまでの緑の光点に比べると随分と少なく感じる。
今のところ、基本的には五階層ごとに少し種類が変わっていってるみたいなので、またモンスターに変化があるだろう。
――ちなみにダンジョンは成長するらしく、一層ごとに育っていくそうだ。
その成長期の間に、どれだけ栄養をとったかでその階層の広さが決まるらしい。
まぁ、階層が深くなればなるほど、その成長速度は遅くなるようだけど。
また生まれたてのダンジョンは、四階層までは、モンスターは弱く、そしてダンジョン内部もあまり広くはないらしい。
最初のうちは、獲物となる外のモンスターや人間、動物がダンジョンに入り込んだのを、ダンジョンが生み出したモンスターが殺し、それを栄養として取り込むのだ。
人間がよく来るダンジョンになるほどに成長すると、今度は宝箱の配置をしはじめる。
それを目当てに獲物となる人間がさらにたくさんやって来るようになる。
そして獲物となる人間がダンジョンモンスターに殺されて落とした装備品やアイテムを取り込んだダンジョンはそれを利用して作り直し、再び宝箱にアイテムを配置するのだ。
自ら生み出さなくていい分エネルギーの消費は抑えられるらしい。
実に効率よくできているものだ。
ダンジョンが成長し、十階層を超えると今度はダンジョン内の全てのモンスターがアイテムを落としだす。
こうなるともう宝箱以外の目的でも人間が来るようになるのでダンジョンとしては安泰だろう。
こうしてダンジョンは獲物を効率よく狩る為に、成長するごとにドロップアイテムや宝箱の中身を豪勢にして、それを求めてやってくる獲物を簡単に殺す為に、ダンジョンモンスターもどんどん強くなっていく。
まぁ、ダンジョンがどうやって人間が喜ぶアイテムを知っているのかは判明していないが、一説には殺した獲物である人間を吸収した際に知識を得ているのではないか、という事だった。
ただ、このダンジョンについてだが、成長中に人間と出会わなかったダンジョンは少し様相が変わる。
それが肉ダンジョンや果物ダンジョンだろうか。
入ってくる獲物が動物やモンスターなので、その好みに合わせて成長してしまうのだ。
そのまま成長を続け、途中から人間が入り込んだとしても、ダンジョンはそのまま肉や果物ダンジョンとして成長していく。
そもそも、人間も肉や果物目当てで来るのでダンジョンはその好みのままになるのだ。
しかし、人間が来ることで宝箱の設置はするようになるらしい、と以前スマフォさんで確認した。
そんなことを考えながら地下十五階を進んでいると、最初の敵に出会った。
十五階まではオークとヘーレウルフだったが、今俺たちの前にいるのは、フェルスリザード――岩トカゲ――が三匹だ。
大きさは全長一メートルはあるだろうか、鋭い牙の生えた口と立派な爪を生やしている。
体色は洞窟とよく似た色をしており、すぐには気づけないかもしれない。
トカゲは洞窟の天井にも張り付いていてそこから岩を飛ばして攻撃をしてくる。
さすがに天井となるとミハエルも大変なので、壁や床にいるのはミハエルが始末して、天井にいるのは俺が始末をすることになった。
俺は鋭く尖らせ回転するアースバレットを放ち、天井に張り付くフェルスリザードを排除していく。
今のところは出ているのはフェルスリザードの皮が一枚だ。
これは一枚大銅貨一枚で売れるらしい。
十階以降は中々に稼げるようになるみたいだ。
「ヘーレウルフよりは楽だな。でもルカの魔法がねーと天井にいるのはかなり面倒だな」
「そうだな、槍とか弓があればまた違うんだろうけど」
「ああ、でも俺は剣以外てんでダメだからなぁ」
「別にいいさ。ミハエルが難しいとこは俺がサポートするし、俺が苦手な近接戦闘はミハエルがやる。俺らはそれでいいのさ」
「はは。そうだな」
俺たちは拳を打ち合い笑い合った。
そうして進んでいると、二回目に遭遇した敵から、鉄鉱石が出た。
鉄鉱石も、フェルスリザードの皮と同じく、一個で大銅貨一枚だ。
ミハエルがそれを拾い上げて言った。
「お、十五階から鉄鉱石が出るんだな」
「そうみたいだな。今日はそこそこいい稼ぎになりそうだぞ、ミハエル」
「お、いいねぇ。清算が楽しみだな」
そんなことを話ながらも俺たちは地下二十階を目標に進んでいく。
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