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第三章 新米冒険者
49 今日はここまで
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十五階を過ぎて、十六階へと入った。
パーティは数えるほどだが、まぁ十五階とそう変わらない人数だ。
それでも別パーティと会うこともなく――俺が意図的に会わないルートを選んでいるからでもあるが――そのまま十七階へと足を踏み入れた。
相変わらず出てくるのはフェルスリザードばかりだが、この階層にきてから数が増えている。
十五階では三匹だったが、十七階では四匹になっている。
フェルスリザードは、強いわけではないので数が増えたところで問題はないのだが、魔法や弓、槍でもないと厄介といえば厄介だろう。
今回はほとんどのトカゲが天井に張り付いているので、俺が魔法を撃っているのだが、ミハエルが暇だったようで少し離れた場所の天井にいたフェルスリザードに壁ジャンプで近づいて串刺しにしていた。
苦笑しつつ、倒したフェルスリザードから出た鉄鉱石を拾ってアイテムボックスにいれた。
「天井にいられるとつまんねーな」
剣で肩を叩きながらミハエルがそう呟く。
俺は苦笑しながら言った。
「俺に任せて楽すればいいのに」
「いやーそれでもいいんだけどよ、やっぱ暇じゃねーか」
「なんかミハエルが日々脳筋になっていってる気がするんだが」
「……間違ってねーかもな。自分でもそう思うわ」
思わずお互い苦笑してしまう。
しかし、身体強化をかけていないのに、壁ジャンプができるミハエルに俺は脱帽するしかない。
彼自身の朝晩の剣の稽古や体力作りの努力を知ってはいるし、剣術強化・大がある事も知っているが、きっと元々才能もあるのだろう。
俺には才能はないので魔法に頼ってミハエルの邪魔にならないようにせねばならない。
どちらにしろ、ミハエルとパーティを組めて本当に良かった。
実に頼もしいパーティメンバーだ。
そんな事を考えつつも、天井にへばりついているフェルスリザードに俺は魔法を撃ちこみ、ミハエルは今度は剣でフェルスリザードの飛ばしてくる石をはじき、それを天井にへばりつくフェルスリザードにぶつけるという、なんとも器用なことをしていた。
そうして進む事三時間、やっと二十階への階段が見えてきた。
「お、やっと二十階への階段か。腹減ったな」
「もう夜の七時だからな。今日は二十階の転移柱についたら戻ろうか」
「おー、そうしようぜ」
そうして俺たちは二十階の階段を下りて転移柱があるであろう部屋を目指して移動した。
少し歩くと円形の広場と、その中央に玉虫色の柱――転移柱――がみえてきた。
ただ、それだけじゃなく転移柱のある部屋では、初めての遭遇になるが、他にパーティが二ついた。
――二つと判断したのはそれぞれ離れてグループでいたからだ。
俺たちが転移柱のある広場に入ると、その二つのパーティがこちらに視線を送ってきた。
だけどすぐにどちらも視線を外し、何かを話し合っているようだ。
俺たちはさして気にせずに転移柱に触ると、そのまま一階へと戻った。
「おお、本当に戻ってきたな」
ミハエルが辺りを見回しながらそう言った。
「だな、次は普通にここの転移柱から二十階にいけるらしいから、便利だよな」
転移柱は一度触れた場所なら自由に飛べるので、十階でも三十階でも一度でも触っていれば飛べるようになる。
なんでダンジョンはそんな冒険者に親切な設計にするのかと少々不思議ではあるが、実際に考えれば、深い階層に行くのに手間がかかるとあまり人が来なくなるというのはあるのだろう。
まぁ、それなら転移柱で下層にどんどん人を飛ばせばいいのに、と思うのだが、自身で触れていなければ飛べないようになっている。
その辺の理由は、構造上そうなった、ということらしい。
どうやらダンジョンも万能ではないようだ。
「んじゃ、飯食いに酒場行こーぜ。俺めっちゃ腹減った」
「はは。そうだな」
ダンジョンから出た俺たちはダンジョンの受付に名前を告げて鈍色のタグを受け取ると、その足でギルドの酒場ではなく、少し離れたところにある別の酒場に向かった。
ギルドの酒場だと安いが食べ物の種類が少ないのだ。
酒場に入った俺たちは比較的人の目があまり来ない場所に座ると店員のお姉さんに声をかけて、オーク肉の炒め物や、バッフルホーンのシチューなど数点注文して、果実水で乾杯した。
「お疲れ、ミハエル」
「お疲れ、ルカ」
木のコップを軽くぶつけ合いお互いを労った。
注文した料理がきたところで、俺たちは食事をはじめる。
「まーしかし、今んとこ強くねーよな、ダンジョンのモンスター」
「そうだな。面倒なのはいるが、強くはないな」
「今の感じだと俺たちなら四十階くらいまでは普通にいけそうな気がしねぇ?」
「かもな。一応明日は様子見つつ三十階目標ってとこか」
「ああ。どうせなら途中で宝箱でもねーかな」
「そうだな」
食事を終えた俺たちは酒場を出ると宿屋へと向かった。
――清算に関しては明日の朝にする予定だ――
部屋をとるとミハエルは剣の訓練に、俺は魔法の改良の為自分の部屋へ行くことにした。
ミハエルは訓練後に俺の部屋に来て、その時に浄化魔法をかける予定である。
部屋についた俺はドアの鍵をしめると、煎餅布団の上にアイテムボックスからふかふかの布団を出した。
その上に俺は寝転がると、探索魔法の再改良をはじめた。
探索魔法に関してはもうどれだけ改良を施したか分からないほどだ。
現在はミニマップ内の地図の拡大や縮小もできるし、ダンジョンも一層ずつの表示や、立体的な表示もできる。
まぁ、立体だとみるのが面倒なので基本一層ずつの表示だ。
光点の設定も簡単にできるようにしてある。
今回は、薬草用にしてあった黄色い光点を宝箱に、動物用だった青い光点をセーフゾーンに変える。
黄色い点をタップすると薬草の文字が表示された。
これは俺がいずれ必要になれば追加すればいいかと設定していた物で、ここにダンジョンの宝箱を追加する。
これで表示には薬草とダンジョンの宝箱が出るようになった。
俺自身は宝箱を見たことはないが、俺の魔法のいいところは、勝手にやってくれるところだ。
こうして設定してしまえば俺のイメージが伝わり後は魔法が勝手に判断してくれる。
青い光点も同じく変えてしまう。
――よし、これでいだろう。
光点に関しては何個か色をいれてあるので今後必要になればそこにも設定すればいいだろう。
お次はやっぱり不便なので、ミハエル用に浄化魔法を付与した何かを作るべきだな。
ただなんとなくだが、適当な物に付与しても五回くらいが限度な気がする。
これは完全に感覚的なもので確証はないのだが、きっと今感じてる通りになるだろう。
ただ、魔石でやればなんとなくだが、小さいので、五十回はいける気がする。
しかし、俺はミハエルに指輪型のアイテムボックスを作ったのだが、なぜあれはこんな風に回数制限など、何も感じなかったのか。
実際ミハエルは制限なくアイテムボックスを使えているようだし。
指輪自体を俺の具現化魔法で作ったせいだろうか?
同じように指輪を作って浄化魔法を付与したらどうだ……?
――だめだな。確証があるわけではないが、ダメな気がする。
うーん、何が違う?
俺は自身のアイテムボックスを開いたり閉じたりしてみる。
何度か試してから今度は浄化魔法を何度か使ってみた。
そこまでやってやっと俺はアイテムボックスと浄化魔法の違いに気づいた。
俺自身魔力が無限に等しいくらいあるので深く考えていなかったが、魔力消費がかなり違った。
アイテムボックスは、俺が異空間を固定して作った場所がある。
そこはもう固定されているので魔力が消費される事はないのだが、出し入れする時に若干魔力を使うのだ。
――俺のは無限収納だが、ミハエルのは指輪に付与する際に可能な限り大きいサイズで固定してつけたのだ。
多分ミハエルが使う時もミハエル自身の魔力を使って出し入れしているはずである。
ただアイテムボックスに繋がる出入口を開けているだけなので、たいした魔力を使う事はないのだ。
で、浄化魔法に関してだが、それなりに魔力を消費する。
――例えるなら、アイテムボックスの出し入れには魔力を五使うだけだが、浄化魔法だと百かかるようなものか。
無限にならないのは魔力を消費して発動するせいだ。
例えば、その辺の石に付与した場合、結局俺の魔力をそこに封印してるので、物によるが手のひらサイズくらいで五回というところだろう。
それ以上魔力をこめると、きっと爆発する。
そこはなんとなく感覚で分かる。
で、なんでアイテムボックスと違って使用者の魔力を消費しないのか、ってところだが、俺にとってはそんなにすごい魔力を使っている感覚はないのだが、多分かなりの魔力を消耗する。
だから、要は、ミハエルの魔力では足りずに発動しないため、俺が付与した魔力を消費して発動する事になるわけだ。
だから回数制限が出る。
具現化魔法で作った物も結局具現化した時点でそれは魔法ではなく物質になっているので、もし無理やりその具現化の魔力を使えば結局具現化魔法は解除され、その物自体消えてしまう。
固定化魔法を使ってしまうと、もうどうやっても魔力を取り出すことができなくなる。
なので結局俺が付与した時の魔力だけが発動回数に関わってくるのだろう。
だから、魔石であれば大量に俺の魔力を受け入れられる下地があるので回数が増えるわけだな。
魔石を作ろうとしたのだが、なぜかそれは無理だった。
不思議だ。
ああ、でも、ミスリルの再現は出来なかったので、特殊な魔力を帯びた物は再現できないのかもしれないな。
まぁでも、とりあえず大量に何かに付与して渡しておけばいいか。
どうせアイテムボックスにいれておけるのだから。
そう考えた俺は、具現化魔法で手のひらサイズの石を大量に作り出し、固定化魔法で固定させると、その石に限界まで魔力をこめて浄化魔法を付与した。
それを繰り返すこと五十回、やっと終わった。
時刻はすでに夜の九時を過ぎている。
そろそろミハエルも戻ってくるころだろう。
――俺は戻ってきたミハエルに軽く説明して、浄化魔法を付与した大量の石をミハエルに渡した。
ミハエルは驚きながらも俺に感謝の言葉を述べていた。
そんなミハエルに浄化魔法をかけつつ、今度酒場で飯でも奢ってくれと言い、ミハエルと笑い合った。
そうして俺たちの初めてのダンジョン一日目は終わりを迎えた。
明日もまたダンジョン探索だが、今度は宝箱のチェックもしっかりしていくとしよう。
パーティは数えるほどだが、まぁ十五階とそう変わらない人数だ。
それでも別パーティと会うこともなく――俺が意図的に会わないルートを選んでいるからでもあるが――そのまま十七階へと足を踏み入れた。
相変わらず出てくるのはフェルスリザードばかりだが、この階層にきてから数が増えている。
十五階では三匹だったが、十七階では四匹になっている。
フェルスリザードは、強いわけではないので数が増えたところで問題はないのだが、魔法や弓、槍でもないと厄介といえば厄介だろう。
今回はほとんどのトカゲが天井に張り付いているので、俺が魔法を撃っているのだが、ミハエルが暇だったようで少し離れた場所の天井にいたフェルスリザードに壁ジャンプで近づいて串刺しにしていた。
苦笑しつつ、倒したフェルスリザードから出た鉄鉱石を拾ってアイテムボックスにいれた。
「天井にいられるとつまんねーな」
剣で肩を叩きながらミハエルがそう呟く。
俺は苦笑しながら言った。
「俺に任せて楽すればいいのに」
「いやーそれでもいいんだけどよ、やっぱ暇じゃねーか」
「なんかミハエルが日々脳筋になっていってる気がするんだが」
「……間違ってねーかもな。自分でもそう思うわ」
思わずお互い苦笑してしまう。
しかし、身体強化をかけていないのに、壁ジャンプができるミハエルに俺は脱帽するしかない。
彼自身の朝晩の剣の稽古や体力作りの努力を知ってはいるし、剣術強化・大がある事も知っているが、きっと元々才能もあるのだろう。
俺には才能はないので魔法に頼ってミハエルの邪魔にならないようにせねばならない。
どちらにしろ、ミハエルとパーティを組めて本当に良かった。
実に頼もしいパーティメンバーだ。
そんな事を考えつつも、天井にへばりついているフェルスリザードに俺は魔法を撃ちこみ、ミハエルは今度は剣でフェルスリザードの飛ばしてくる石をはじき、それを天井にへばりつくフェルスリザードにぶつけるという、なんとも器用なことをしていた。
そうして進む事三時間、やっと二十階への階段が見えてきた。
「お、やっと二十階への階段か。腹減ったな」
「もう夜の七時だからな。今日は二十階の転移柱についたら戻ろうか」
「おー、そうしようぜ」
そうして俺たちは二十階の階段を下りて転移柱があるであろう部屋を目指して移動した。
少し歩くと円形の広場と、その中央に玉虫色の柱――転移柱――がみえてきた。
ただ、それだけじゃなく転移柱のある部屋では、初めての遭遇になるが、他にパーティが二ついた。
――二つと判断したのはそれぞれ離れてグループでいたからだ。
俺たちが転移柱のある広場に入ると、その二つのパーティがこちらに視線を送ってきた。
だけどすぐにどちらも視線を外し、何かを話し合っているようだ。
俺たちはさして気にせずに転移柱に触ると、そのまま一階へと戻った。
「おお、本当に戻ってきたな」
ミハエルが辺りを見回しながらそう言った。
「だな、次は普通にここの転移柱から二十階にいけるらしいから、便利だよな」
転移柱は一度触れた場所なら自由に飛べるので、十階でも三十階でも一度でも触っていれば飛べるようになる。
なんでダンジョンはそんな冒険者に親切な設計にするのかと少々不思議ではあるが、実際に考えれば、深い階層に行くのに手間がかかるとあまり人が来なくなるというのはあるのだろう。
まぁ、それなら転移柱で下層にどんどん人を飛ばせばいいのに、と思うのだが、自身で触れていなければ飛べないようになっている。
その辺の理由は、構造上そうなった、ということらしい。
どうやらダンジョンも万能ではないようだ。
「んじゃ、飯食いに酒場行こーぜ。俺めっちゃ腹減った」
「はは。そうだな」
ダンジョンから出た俺たちはダンジョンの受付に名前を告げて鈍色のタグを受け取ると、その足でギルドの酒場ではなく、少し離れたところにある別の酒場に向かった。
ギルドの酒場だと安いが食べ物の種類が少ないのだ。
酒場に入った俺たちは比較的人の目があまり来ない場所に座ると店員のお姉さんに声をかけて、オーク肉の炒め物や、バッフルホーンのシチューなど数点注文して、果実水で乾杯した。
「お疲れ、ミハエル」
「お疲れ、ルカ」
木のコップを軽くぶつけ合いお互いを労った。
注文した料理がきたところで、俺たちは食事をはじめる。
「まーしかし、今んとこ強くねーよな、ダンジョンのモンスター」
「そうだな。面倒なのはいるが、強くはないな」
「今の感じだと俺たちなら四十階くらいまでは普通にいけそうな気がしねぇ?」
「かもな。一応明日は様子見つつ三十階目標ってとこか」
「ああ。どうせなら途中で宝箱でもねーかな」
「そうだな」
食事を終えた俺たちは酒場を出ると宿屋へと向かった。
――清算に関しては明日の朝にする予定だ――
部屋をとるとミハエルは剣の訓練に、俺は魔法の改良の為自分の部屋へ行くことにした。
ミハエルは訓練後に俺の部屋に来て、その時に浄化魔法をかける予定である。
部屋についた俺はドアの鍵をしめると、煎餅布団の上にアイテムボックスからふかふかの布団を出した。
その上に俺は寝転がると、探索魔法の再改良をはじめた。
探索魔法に関してはもうどれだけ改良を施したか分からないほどだ。
現在はミニマップ内の地図の拡大や縮小もできるし、ダンジョンも一層ずつの表示や、立体的な表示もできる。
まぁ、立体だとみるのが面倒なので基本一層ずつの表示だ。
光点の設定も簡単にできるようにしてある。
今回は、薬草用にしてあった黄色い光点を宝箱に、動物用だった青い光点をセーフゾーンに変える。
黄色い点をタップすると薬草の文字が表示された。
これは俺がいずれ必要になれば追加すればいいかと設定していた物で、ここにダンジョンの宝箱を追加する。
これで表示には薬草とダンジョンの宝箱が出るようになった。
俺自身は宝箱を見たことはないが、俺の魔法のいいところは、勝手にやってくれるところだ。
こうして設定してしまえば俺のイメージが伝わり後は魔法が勝手に判断してくれる。
青い光点も同じく変えてしまう。
――よし、これでいだろう。
光点に関しては何個か色をいれてあるので今後必要になればそこにも設定すればいいだろう。
お次はやっぱり不便なので、ミハエル用に浄化魔法を付与した何かを作るべきだな。
ただなんとなくだが、適当な物に付与しても五回くらいが限度な気がする。
これは完全に感覚的なもので確証はないのだが、きっと今感じてる通りになるだろう。
ただ、魔石でやればなんとなくだが、小さいので、五十回はいける気がする。
しかし、俺はミハエルに指輪型のアイテムボックスを作ったのだが、なぜあれはこんな風に回数制限など、何も感じなかったのか。
実際ミハエルは制限なくアイテムボックスを使えているようだし。
指輪自体を俺の具現化魔法で作ったせいだろうか?
同じように指輪を作って浄化魔法を付与したらどうだ……?
――だめだな。確証があるわけではないが、ダメな気がする。
うーん、何が違う?
俺は自身のアイテムボックスを開いたり閉じたりしてみる。
何度か試してから今度は浄化魔法を何度か使ってみた。
そこまでやってやっと俺はアイテムボックスと浄化魔法の違いに気づいた。
俺自身魔力が無限に等しいくらいあるので深く考えていなかったが、魔力消費がかなり違った。
アイテムボックスは、俺が異空間を固定して作った場所がある。
そこはもう固定されているので魔力が消費される事はないのだが、出し入れする時に若干魔力を使うのだ。
――俺のは無限収納だが、ミハエルのは指輪に付与する際に可能な限り大きいサイズで固定してつけたのだ。
多分ミハエルが使う時もミハエル自身の魔力を使って出し入れしているはずである。
ただアイテムボックスに繋がる出入口を開けているだけなので、たいした魔力を使う事はないのだ。
で、浄化魔法に関してだが、それなりに魔力を消費する。
――例えるなら、アイテムボックスの出し入れには魔力を五使うだけだが、浄化魔法だと百かかるようなものか。
無限にならないのは魔力を消費して発動するせいだ。
例えば、その辺の石に付与した場合、結局俺の魔力をそこに封印してるので、物によるが手のひらサイズくらいで五回というところだろう。
それ以上魔力をこめると、きっと爆発する。
そこはなんとなく感覚で分かる。
で、なんでアイテムボックスと違って使用者の魔力を消費しないのか、ってところだが、俺にとってはそんなにすごい魔力を使っている感覚はないのだが、多分かなりの魔力を消耗する。
だから、要は、ミハエルの魔力では足りずに発動しないため、俺が付与した魔力を消費して発動する事になるわけだ。
だから回数制限が出る。
具現化魔法で作った物も結局具現化した時点でそれは魔法ではなく物質になっているので、もし無理やりその具現化の魔力を使えば結局具現化魔法は解除され、その物自体消えてしまう。
固定化魔法を使ってしまうと、もうどうやっても魔力を取り出すことができなくなる。
なので結局俺が付与した時の魔力だけが発動回数に関わってくるのだろう。
だから、魔石であれば大量に俺の魔力を受け入れられる下地があるので回数が増えるわけだな。
魔石を作ろうとしたのだが、なぜかそれは無理だった。
不思議だ。
ああ、でも、ミスリルの再現は出来なかったので、特殊な魔力を帯びた物は再現できないのかもしれないな。
まぁでも、とりあえず大量に何かに付与して渡しておけばいいか。
どうせアイテムボックスにいれておけるのだから。
そう考えた俺は、具現化魔法で手のひらサイズの石を大量に作り出し、固定化魔法で固定させると、その石に限界まで魔力をこめて浄化魔法を付与した。
それを繰り返すこと五十回、やっと終わった。
時刻はすでに夜の九時を過ぎている。
そろそろミハエルも戻ってくるころだろう。
――俺は戻ってきたミハエルに軽く説明して、浄化魔法を付与した大量の石をミハエルに渡した。
ミハエルは驚きながらも俺に感謝の言葉を述べていた。
そんなミハエルに浄化魔法をかけつつ、今度酒場で飯でも奢ってくれと言い、ミハエルと笑い合った。
そうして俺たちの初めてのダンジョン一日目は終わりを迎えた。
明日もまたダンジョン探索だが、今度は宝箱のチェックもしっかりしていくとしよう。
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