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第五章 出会い
89 ソロでダンジョン
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翌日、いつもの時間に起きた俺は一時間ほど使って、魔法開発、というかレオン対策の魔法を作った。
魔法を作り終えた俺は実際に開発した魔法を試すためにダンジョンへと一人で向かった。
ダンジョンへ一人で来るのは初めてではあるが、四十六階のヘーレギガントが相手なら問題はないだろう。
俺には少し重いが、ミハエルのアダマンタイト剣をしっかりと観察などをしたので、具現化魔法で俺用にアダマンタイト剣を作ってある。
まぁ、これに関してはあくまでも俺用のミスリル剣を作るまでのつなぎだ。
ダンジョンの管理所へついた俺は受付へ行って入場タグを受け取るとダンジョンへと入っていった。
ひんやりとする洞窟を歩き、転移柱へとたどりついた。
「さて、いきますか」
独り言を呟きつつ、四十五階へと飛ぶ。
ミニマップを確認して人がいないのを確認した俺は、まず最初に自身に剣術強化・大の魔法をかけてみた。
当然どういう仕組みの魔法なのかは知らないが、既存の魔法なので、問題なく機能はするだろう。
その後、身体強化と動体視力強化と反射速度アップもかける。
レオン相手ならこのくらいあればなんとかなる、か?
とりあえず、まずはこの上昇した動きに慣れないといけないな。
しばらくはその場で剣を振り跳ねたり走ったりと動きを慣らしたあと、俺は光学迷彩と飛行魔法をかけ、四十五階を飛んで移動し、四十六階へと向かって、狩りを始めることにした。
今回作った魔法や身体強化は、ミハエルたちといるときは基本使わない。
これはあくまでも、レオンを相手にするために作った魔法になる。
というのも、もしも俺と同じように魔法を創造できる『敵』がいたとして、そいつが俺がかけている魔法をすべて消す、または解除する魔法をかけてきたら?
Sランクモンスターにそういう魔法を解除できる能力を持ったものがいたら?
その時、俺が魔法で自分の能力を底上げしていて、それに慣れ切ってしまっていたら?
俺はきっと何も対応できずに死ぬだろう。
だから普段は最低限の魔法でいい。
――もちろんそれに対する魔法も作ってはいるが、結局解除されたあとの対策になるので、やはり最低限でいいのだ。
そうして四十六階についた俺は、最初のヘーレギガントのパーティに出くわした。
まずは慣らしとして、二体にルーツをかけてから一体だけ相手をする。
なるほど、これがミハエルが見ている世界か。
――とはいえ、俺の場合は付け焼刃というか、即興なのでミハエルほど洗練はされていないが。
それでもミハエルと同じように踊るように舞うように攻撃をする。
これが実に難しいがなるほど効率がいい。
いちいち腕を止めることがないので常に攻撃をすることができる。
なんだかんだとミハエルの動きはよく見ていたので、同じようにヘーレギガントを相手取る。
しかし、ミハエルとまんま同じではない。
俺は基本的には魔法使いなのだ。
ヘーレギガントを切りつけ、魔法を撃ちこみ、タイミングよくシールドを張ってヘーレギガントの攻撃を逸らし、魔法をまた撃ち込んで、最後に剣を突き刺した。
そこでヘーレギガントは力尽き、ボフンと音を立てて消える。
抵抗なく切れるアダマンタイト剣に驚きつつも一つ息をついて呟く。
「ふむ、悪くないがまだ流れるようにできないなぁ」
まだ一回目なので仕方ないが、やはりミハエルのようにスマートにはいかない。
まぁ、魔法を織り交ぜてるので仕方ないといえば仕方ないが、今日一日ガッツリやればなんとか見れる程度にはなるだろう。
シールドを使うやり方は悪くないが、レオン相手には使えないのでシールドはなしでやらないといけないな。
あくまでも一般的な魔法使いの範囲を大きく逸脱しない程度でないとならない。
それ以外は強化でかけているので、レオンが鑑定でもできない限り分かりはしないだろう。
まぁ、そもそも攻撃魔法でバレット系は俺の知る限りの魔法使いで使ってる人を見たことはない。
ただ、エルナが使うことができたので、多分この世界では存在はしている魔法なのだろう。
――それが、モンスターが使っている魔法なのか、高位の魔法使いが使っているのかいたのかは知らないが。
そうして俺は次のヘーレギガントのルーツを解いて再度動きの確認をしていく。
三体目を倒したころにはなんとか形にはなった。
「うん、まぁまぁいい感じだな。剣と魔法を途切れることなく撃てるようになった。しかしやっぱり俺にはアダマンタイトは少し重いな」
軽くアダマンタイト剣を振って俺はそう呟く。
一応毎日剣は振ってるし、筋トレもしてはいるが、元々あまり筋肉のつきはよくないのだ。
――ミハエルは見て分かるほどに引き締まった筋肉がついているけども。細マッチョってやつだな。
ドロップしたアイテムを拾って俺は次へと向かう。
次も、最初は二体だけにルーツをかけ、すぐにフリーの一体を倒し、そして今度は二体を相手にする。
相手がでかいだけに、ヘーレギガント自体も攻撃はしにくいようではあるが、一体に集中するともう一体からの攻撃がくるので、常にもう一体を視界にいれて動かないとならない。
かつてゴブリンやコボルト相手にはやっていたが、ミハエルが前衛として確立してからは常にサポートで動いていたため、こういった動きは久々になる。
後衛で全体を俯瞰するように見るのと、前衛で戦いながら全体を見るのはまったく違うので実に忙しい。
パーティで動いてる時はいいが、何かの事情で一人になったとき、こうして動けるようになっておくのは大事かもしれない。
レオンの一件がなければ俺はこうして一人でも強敵相手に対処できるようになんて考えなかったかもしれない。
ある意味でいい切っ掛けになったかもしれないな。
今のところなんだかんだすることがなくて休みが週一回になっているが、週二回にすることを提案してみるか。
二日のうち一日はこうしてソロダンジョンをする時間がほしい。
――これは俺の我儘なので、誰か一人でも懸念を示すなら休みは今のまま週一にするが。
そこから昼過ぎまでヘーレギガント二体を相手にする狩りを続けた。
さすがに慣れないうちは意外と神経を使うので何度か休憩を挟むことになった。
それでも、やっと二体を相手に狩りをすることに慣れてきた。
二体の動きを見てどう動くかを考えながら動けるようになってきたので、そろそろ三体を相手にしてもいいだろう。
最後の一体に魔法を撃ちこんでとどめをさす。
ボフンと音を立ててヘーレギガントが消えた。
ドロップ品であるミスリル鉱石を拾い上げアイテムボックスにほうりこむ。
せっかくなのでミスリル鉱石だけは取り置きしておこう。
そこで、そういえば魔石に俺のハイヒールを付与したら何回分になるのかとふと気になった。
ちょうどセーフゾーンが近くにあるので、俺はセーフゾーンに移動して魔法の袋にいれてあった魔石を取り出した。
二センチくらいの紫色をした水晶のような石を手のひらにおいた。
魔石に俺はハイヒールの付与をしてみた。
結構な魔力が減ったが、この魔石の大きさ一個でどうやらハイヒール三回分が限度のようだ。
だが、これはミハエルたちに一個ずつ渡しておくのもいいかもしれない。
そこで俺はさらにグレーターヒールなら何回付与が可能か試してみた。
グレーターヒールは一回分が限度だったようだ。
リジェネ――持続回復魔法――もハイヒールと同じ三回で、復活魔法のリザレクションの付与は無理だった。
無理だろうなとは思ったが、一応試してみたのだ。
無理やり付与してみようとしたら、魔石が砕け散ったので魔力の多さに耐えきれなかったのだろう。
「さて、狩りを再開するか」
独り言を呟きながら俺は狩りを再開した。
今度はヘーレギガント三体を相手に立ち回ることになる。
先ほどまでは二体を視界にいれておけば良かったが、今度は三体を視界にいれるか、攻撃されない位置取りをしなくてはならない。
何度か三体を相手に戦ったが、実に忙しい。
最低限二体を視界に収め、一体を常に相手するように位置取りを気にしながら、剣と魔法で攻撃をしていくというのが戦闘方法なのだが、かなり目まぐるしい。
だがかなりいい訓練にはなるはずだ。
何度かヒヤリとする場面もありはしたが、なんとか攻撃をくらうことはなく無事に狩りを終えた。
さすがにかなり疲れたので少し早いが夕方の四時くらいでダンジョンを出て宿屋へと戻った。
一応魔石は一人一個のハイヒールを付与したものが作れたのでよしとしよう。
宿屋に戻ってから少し休憩したあと夕食をとるために下りたらちょうどミハエルがいたので、ミハエルにハイヒールを付与した魔石を渡して説明した。
「――まぁそんなわけで、一応持っておいてくれ」
「おう、ありがとう。ていうかソロで行ってたのか」
ミハエルは魔石を受け取りつつそう言った。
どう言おうか迷ったが、素直に、レオン対策で魔法の使い勝手や訓練をしていたことを告げた。
レオンの名前を出しただけでミハエルは少し嫌そうな顔をしたが、なるほどと納得はしていた。
ソロでダンジョンに潜ったことについては、『ルカなら一人でもいけんだろ』とあっさりとしたものであった。
黒いあいつと跳ねるあいつのいる階を魔法乱舞しながらほぼ一人で踏破したゆえだろうか。
――俺はあまり記憶にないが。
そうしてミハエルと会話しているとちょうどフィーネたちも宿屋に帰ってきて、俺たちを見つけて席に着いた。
「ルカたちもこれから夕食かしら?」
「ああ、ちょうどさっき下りてきて飯にしようと思って」
フィーネたちもちょうどこれから夕食をとろうと思っていたらしく、一緒に夕食となった。
そのときに、ミハエルにも渡した魔石について説明して二人にも手渡した。
当然、魔石を持っていることについての説明がいるのでソロでダンジョンに潜っていたことを伝えた。
フィーネには少し心配されたが、やはり黒いあいつのときの俺を思い出したのか、少し苦笑して『ルカなら大丈夫ね』と言われてしまった。
そんなにあの時の俺の行動はひどかったのだろうか……。
その後、食事を終えたあたりで、休みを週に二回にしないかと提案した。
なんとなく察してくれた気もするが、全員がかまわないと言ってくれた。
食事のあと宿屋の裏庭でミハエルと軽い打ち合いをしていると、ミハエルも休みにソロでダンジョン潜ろうかなと言ったので、いいんじゃないかと言っておいた。
ミハエルなら五十五階のバジリスクとスコーピオン相手でもソロは可能だろう。
――俺はまだまだ慣らしが必要だけど。
そうして俺は宿屋の風呂に入ったあと、自室へ戻り眠りについた。
明日からはまた普通のダンジョン攻略の日々に戻ることになる。
魔法を作り終えた俺は実際に開発した魔法を試すためにダンジョンへと一人で向かった。
ダンジョンへ一人で来るのは初めてではあるが、四十六階のヘーレギガントが相手なら問題はないだろう。
俺には少し重いが、ミハエルのアダマンタイト剣をしっかりと観察などをしたので、具現化魔法で俺用にアダマンタイト剣を作ってある。
まぁ、これに関してはあくまでも俺用のミスリル剣を作るまでのつなぎだ。
ダンジョンの管理所へついた俺は受付へ行って入場タグを受け取るとダンジョンへと入っていった。
ひんやりとする洞窟を歩き、転移柱へとたどりついた。
「さて、いきますか」
独り言を呟きつつ、四十五階へと飛ぶ。
ミニマップを確認して人がいないのを確認した俺は、まず最初に自身に剣術強化・大の魔法をかけてみた。
当然どういう仕組みの魔法なのかは知らないが、既存の魔法なので、問題なく機能はするだろう。
その後、身体強化と動体視力強化と反射速度アップもかける。
レオン相手ならこのくらいあればなんとかなる、か?
とりあえず、まずはこの上昇した動きに慣れないといけないな。
しばらくはその場で剣を振り跳ねたり走ったりと動きを慣らしたあと、俺は光学迷彩と飛行魔法をかけ、四十五階を飛んで移動し、四十六階へと向かって、狩りを始めることにした。
今回作った魔法や身体強化は、ミハエルたちといるときは基本使わない。
これはあくまでも、レオンを相手にするために作った魔法になる。
というのも、もしも俺と同じように魔法を創造できる『敵』がいたとして、そいつが俺がかけている魔法をすべて消す、または解除する魔法をかけてきたら?
Sランクモンスターにそういう魔法を解除できる能力を持ったものがいたら?
その時、俺が魔法で自分の能力を底上げしていて、それに慣れ切ってしまっていたら?
俺はきっと何も対応できずに死ぬだろう。
だから普段は最低限の魔法でいい。
――もちろんそれに対する魔法も作ってはいるが、結局解除されたあとの対策になるので、やはり最低限でいいのだ。
そうして四十六階についた俺は、最初のヘーレギガントのパーティに出くわした。
まずは慣らしとして、二体にルーツをかけてから一体だけ相手をする。
なるほど、これがミハエルが見ている世界か。
――とはいえ、俺の場合は付け焼刃というか、即興なのでミハエルほど洗練はされていないが。
それでもミハエルと同じように踊るように舞うように攻撃をする。
これが実に難しいがなるほど効率がいい。
いちいち腕を止めることがないので常に攻撃をすることができる。
なんだかんだとミハエルの動きはよく見ていたので、同じようにヘーレギガントを相手取る。
しかし、ミハエルとまんま同じではない。
俺は基本的には魔法使いなのだ。
ヘーレギガントを切りつけ、魔法を撃ちこみ、タイミングよくシールドを張ってヘーレギガントの攻撃を逸らし、魔法をまた撃ち込んで、最後に剣を突き刺した。
そこでヘーレギガントは力尽き、ボフンと音を立てて消える。
抵抗なく切れるアダマンタイト剣に驚きつつも一つ息をついて呟く。
「ふむ、悪くないがまだ流れるようにできないなぁ」
まだ一回目なので仕方ないが、やはりミハエルのようにスマートにはいかない。
まぁ、魔法を織り交ぜてるので仕方ないといえば仕方ないが、今日一日ガッツリやればなんとか見れる程度にはなるだろう。
シールドを使うやり方は悪くないが、レオン相手には使えないのでシールドはなしでやらないといけないな。
あくまでも一般的な魔法使いの範囲を大きく逸脱しない程度でないとならない。
それ以外は強化でかけているので、レオンが鑑定でもできない限り分かりはしないだろう。
まぁ、そもそも攻撃魔法でバレット系は俺の知る限りの魔法使いで使ってる人を見たことはない。
ただ、エルナが使うことができたので、多分この世界では存在はしている魔法なのだろう。
――それが、モンスターが使っている魔法なのか、高位の魔法使いが使っているのかいたのかは知らないが。
そうして俺は次のヘーレギガントのルーツを解いて再度動きの確認をしていく。
三体目を倒したころにはなんとか形にはなった。
「うん、まぁまぁいい感じだな。剣と魔法を途切れることなく撃てるようになった。しかしやっぱり俺にはアダマンタイトは少し重いな」
軽くアダマンタイト剣を振って俺はそう呟く。
一応毎日剣は振ってるし、筋トレもしてはいるが、元々あまり筋肉のつきはよくないのだ。
――ミハエルは見て分かるほどに引き締まった筋肉がついているけども。細マッチョってやつだな。
ドロップしたアイテムを拾って俺は次へと向かう。
次も、最初は二体だけにルーツをかけ、すぐにフリーの一体を倒し、そして今度は二体を相手にする。
相手がでかいだけに、ヘーレギガント自体も攻撃はしにくいようではあるが、一体に集中するともう一体からの攻撃がくるので、常にもう一体を視界にいれて動かないとならない。
かつてゴブリンやコボルト相手にはやっていたが、ミハエルが前衛として確立してからは常にサポートで動いていたため、こういった動きは久々になる。
後衛で全体を俯瞰するように見るのと、前衛で戦いながら全体を見るのはまったく違うので実に忙しい。
パーティで動いてる時はいいが、何かの事情で一人になったとき、こうして動けるようになっておくのは大事かもしれない。
レオンの一件がなければ俺はこうして一人でも強敵相手に対処できるようになんて考えなかったかもしれない。
ある意味でいい切っ掛けになったかもしれないな。
今のところなんだかんだすることがなくて休みが週一回になっているが、週二回にすることを提案してみるか。
二日のうち一日はこうしてソロダンジョンをする時間がほしい。
――これは俺の我儘なので、誰か一人でも懸念を示すなら休みは今のまま週一にするが。
そこから昼過ぎまでヘーレギガント二体を相手にする狩りを続けた。
さすがに慣れないうちは意外と神経を使うので何度か休憩を挟むことになった。
それでも、やっと二体を相手に狩りをすることに慣れてきた。
二体の動きを見てどう動くかを考えながら動けるようになってきたので、そろそろ三体を相手にしてもいいだろう。
最後の一体に魔法を撃ちこんでとどめをさす。
ボフンと音を立ててヘーレギガントが消えた。
ドロップ品であるミスリル鉱石を拾い上げアイテムボックスにほうりこむ。
せっかくなのでミスリル鉱石だけは取り置きしておこう。
そこで、そういえば魔石に俺のハイヒールを付与したら何回分になるのかとふと気になった。
ちょうどセーフゾーンが近くにあるので、俺はセーフゾーンに移動して魔法の袋にいれてあった魔石を取り出した。
二センチくらいの紫色をした水晶のような石を手のひらにおいた。
魔石に俺はハイヒールの付与をしてみた。
結構な魔力が減ったが、この魔石の大きさ一個でどうやらハイヒール三回分が限度のようだ。
だが、これはミハエルたちに一個ずつ渡しておくのもいいかもしれない。
そこで俺はさらにグレーターヒールなら何回付与が可能か試してみた。
グレーターヒールは一回分が限度だったようだ。
リジェネ――持続回復魔法――もハイヒールと同じ三回で、復活魔法のリザレクションの付与は無理だった。
無理だろうなとは思ったが、一応試してみたのだ。
無理やり付与してみようとしたら、魔石が砕け散ったので魔力の多さに耐えきれなかったのだろう。
「さて、狩りを再開するか」
独り言を呟きながら俺は狩りを再開した。
今度はヘーレギガント三体を相手に立ち回ることになる。
先ほどまでは二体を視界にいれておけば良かったが、今度は三体を視界にいれるか、攻撃されない位置取りをしなくてはならない。
何度か三体を相手に戦ったが、実に忙しい。
最低限二体を視界に収め、一体を常に相手するように位置取りを気にしながら、剣と魔法で攻撃をしていくというのが戦闘方法なのだが、かなり目まぐるしい。
だがかなりいい訓練にはなるはずだ。
何度かヒヤリとする場面もありはしたが、なんとか攻撃をくらうことはなく無事に狩りを終えた。
さすがにかなり疲れたので少し早いが夕方の四時くらいでダンジョンを出て宿屋へと戻った。
一応魔石は一人一個のハイヒールを付与したものが作れたのでよしとしよう。
宿屋に戻ってから少し休憩したあと夕食をとるために下りたらちょうどミハエルがいたので、ミハエルにハイヒールを付与した魔石を渡して説明した。
「――まぁそんなわけで、一応持っておいてくれ」
「おう、ありがとう。ていうかソロで行ってたのか」
ミハエルは魔石を受け取りつつそう言った。
どう言おうか迷ったが、素直に、レオン対策で魔法の使い勝手や訓練をしていたことを告げた。
レオンの名前を出しただけでミハエルは少し嫌そうな顔をしたが、なるほどと納得はしていた。
ソロでダンジョンに潜ったことについては、『ルカなら一人でもいけんだろ』とあっさりとしたものであった。
黒いあいつと跳ねるあいつのいる階を魔法乱舞しながらほぼ一人で踏破したゆえだろうか。
――俺はあまり記憶にないが。
そうしてミハエルと会話しているとちょうどフィーネたちも宿屋に帰ってきて、俺たちを見つけて席に着いた。
「ルカたちもこれから夕食かしら?」
「ああ、ちょうどさっき下りてきて飯にしようと思って」
フィーネたちもちょうどこれから夕食をとろうと思っていたらしく、一緒に夕食となった。
そのときに、ミハエルにも渡した魔石について説明して二人にも手渡した。
当然、魔石を持っていることについての説明がいるのでソロでダンジョンに潜っていたことを伝えた。
フィーネには少し心配されたが、やはり黒いあいつのときの俺を思い出したのか、少し苦笑して『ルカなら大丈夫ね』と言われてしまった。
そんなにあの時の俺の行動はひどかったのだろうか……。
その後、食事を終えたあたりで、休みを週に二回にしないかと提案した。
なんとなく察してくれた気もするが、全員がかまわないと言ってくれた。
食事のあと宿屋の裏庭でミハエルと軽い打ち合いをしていると、ミハエルも休みにソロでダンジョン潜ろうかなと言ったので、いいんじゃないかと言っておいた。
ミハエルなら五十五階のバジリスクとスコーピオン相手でもソロは可能だろう。
――俺はまだまだ慣らしが必要だけど。
そうして俺は宿屋の風呂に入ったあと、自室へ戻り眠りについた。
明日からはまた普通のダンジョン攻略の日々に戻ることになる。
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