腹黒御曹司との交際前交渉からはじまるエトセトラ

真波トウカ

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 あらわになった白い双丘に隼人がいつもよりやや乱暴な動きで手を這わせる。
「あ、っ、やぁっ」
 揉みしだかれ、反応した胸の飾りをつままれる。
 麻由のいいところを知り尽くした隼人の手は荒々しい手つきでも簡単に体を反応させてしまう。
「やらしいな。乱暴にされて感じたのか」
「んぁっ」
 胸の飾りを一度きゅっと引っ張られて思わず甘い声が出た。
 今度はそこに隼人がむしゃぶりつく。
 色づいて立ち上がった飾りを一舐めすると、その根元に歯を立てる。
「だ、めぇっ」
 痛みは快楽に変換されて、麻由は体を震わせた。
 甘く噛まれながら、突起の先端は舌で押しつぶすように舐められる。一度に別々の刺激を与えられて、体の奥がきゅっと疼く。
 隼人が顔を上げると、赤い飾りはてらてらと濡れ光っていた。そこに残っていた唾液が白い丘を伝うのを、隼人はぐり、と塗りつけた。それはまるで自分のものだと誇示する、マーキングのような仕草で。
「いい眺めだ」
 満足げに吐き捨てる隼人に目には嗜虐的な色が宿っている。
 図らずもその視線に打ち抜かれて、背筋がぞくりと粟立つ。
 ソファに沈み込んだ体をひっくり返されるが、腕には中途半端にシャツが絡まっていて、自由がきかない。抵抗することもできないままうつ伏せにされた。
 そのままぐいと腰だけを持ち上げられる。上半身はぐったりと寝そべったままお尻だけを隼人に突き出しているような格好にされた。
 隼人は麻由のタイトスカートをあっさりとまくり上げる。
「こういうのが好きならもっとシてやれば良かったな」
「ちがっ」
「違わない」
 ビッ、という耳障りな音とともに、いきなりストッキングをお尻のところだけ破かれた。
「いやあっ」
 なんて格好をさせられているのだろう。ストッキングは素足のメイクだ。仕事用の顔をしていた下半身の、一番恥ずかしいところだけ生身の自分に暴かれてしまった。
 薄いベージュの化学繊維の破れ目から薄紫の下着と自分の肌が露出している。それは裸になるよりも恥ずかしいことのように思えて、麻由は羞恥に身悶えた。 
 悲痛な声を上げる麻由を隼人は喉の奥で笑う。
「こんなに濡らしているのに?」
 晒されたショーツの、秘部を覆うところを隼人が親指でぐっと押す。
 そこからはくちゃりと湿った音がして、麻由の粘膜に張り付いた。
「やらしいな」
 否定したいのに、喉の奥から熱いものがこみ上げてきて麻由は唇を噛んだ。
(違うのに。隼人さんだからなのに)
 誰にだってこんなことされて感じるわけじゃない。愛する人の手だから、信じられないくらい恥ずかしいことだってこんなに感じてしまう。
 そう言いたいのに、口を開くと涙がこぼれそうだった。
 隼人はショーツをずらすと、指を二本挿入する。
 それをバラバラに動かされると空気を含んだ湿った水音が静かな部屋に響いた。
「あ、はぁ……っ、あ」
「ほら、言ってみろ。誰が麻由をこんなやらしい体にした?」
「……はや、と、っさん」
 わかっているくせに。麻由は唇を噛む。
(私が触られて気持ちいいのは隼人さんだけ)
 そんなこと、言わせたいのなら何度だって言っていい。それで信じてくれのなら。荒っぽく触れられても感じてしまうのは隼人だけだということを。
「いい子だ」
 隼人の声はどこか満足げだった。
 指の動きは早さを増して、中のざらざらとしたところを刺激される。
 交互にぐりぐりと押されると、隘路は収縮し、麻由の内ももは小刻みに震え出す。
「ほら、イって見せろ」
「やあぁっ」
 全身を大きく痙攣させて麻由は達した。
 まだビクビクと体が敏感になっているうちに、隼人は指を抜くと濡れそぼった蜜口に自身を押しつける。
「や、まだ……っ」
「だめだ。麻由がもう俺から離れるなんて言えないよう、しっかり体に教えないと」
 言うなりいきなり最奥まで肉竿を挿入される。
「――、っ!!」
 達したあとの熱が引く前に、奥を激しく押し上げられて、再び麻由は声もなく達してしまう。
 深すぎる快感に目の前が一瞬白くなった。
「くっ、締め付けすぎだ……」
 隼人は性急に律動をはじめた。
「麻由、麻由……っ」
 自分の名前を何度も繰り返し呼ぶその声は切なげな響きを帯びていた。
(隼人さん、私はここだよ)
 隼人の声がどこか遠くにいる自分を呼んでいるような気がした。
(私が思っているように、隼人さんも私と見えない壁を感じているの? だから遠くに感じるの?)
 自分はここにいる。
 そう言いたくて振り向こうとすれば、肩を押さえられて、顔がソファに埋められた。
「ん、ふぅ……っ、ん……っ」
 名前を呼びたいのに、口をついて出るのは甘い嬌声ばかりだ。
「麻由……」
 かすれる隼人の声は欲情しているのではなく、なんだか泣いているようですらあった。
 隼人はきっと悲しい顔をしているはずだ。
 今すぐ振り向いて抱きしめたい。
 体を動かすたびに、しかし隼人は麻由が逃げるのを阻止するように拘束する手の力を強くする。
 律動を繰り返していた隼人の動きが速くなり、中に埋め込まれた欲望は一層大きくなる。
 麻由の中も蠕動し、目の前がちかちかと白んで再び達しそうになるのを感じた。
(だめっ、まだちゃんと隼人さんと話してない。こんな気持ちがすれ違ったままは、いや……!)
 頭ではそう思うのに、体は反応するのを止められなかった。
「いや、ぁっ、ま、って、ぇ――はや、」
「麻由っ」
 隼人が切なげに叫び、ガツリと最奥に肉欲を打ち付けられる。
「あああ――っ」
 無理矢理体は頂点へと連れて行かれ、視界は真っ白に反転した。
 麻由はそのまま意識を失った。


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