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――出会い――
住み込み希望者案内
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弟子、より従業員として一応採用したがギルはまたとんでもない事を口にし始めた。住み込み希望、だと。ミアは驚きと共に本当に言っているのか、と疑った。
ミアはそんなに恋愛は多くは無いが、初心と言う訳でもない。屋根の下で付き合ってもいない男女が一緒だと言うのは常識的にどうなのか、ときちんと考えられる。
ミアは杖を軽く振りながら店内の掃除を始めた。真っ白な雑巾が踊るように床を滑り、ホウキはスカートを揺らすように動き回る。
「あー、もう!分かったわよ!ただし、変な事したらすぐ追い出すからね!……後、家事とか手伝う事!良い!?」
「あんまり得意じゃないけど、分かったよ」
大きな溜息と共に不安しか無かった。だが、背後でひたすら自宅が遠いからだとか、弟子になるつもりで出て来たから契約を解約して来ただとか言われ続ければ誰でも折れてしまうだろう。ミア同様優しければ、の話だが。
頭が痛くなりそうだったが採用してしまったのだから仕方がない。
植物達に水やりを頼み、ミアはキッチンの奥にある扉を開き地下へ進む。繋がっているのは地下だけではない。この建物は見た目は小さめではあるが、中は実は広いのだ。勿論魔法が掛かっているから。
自分が行きたい所を願いながら扉を開けば地下、2階、奥の部屋、トイレ、お風呂へと繋がる事が可能。店の外観を大きくしたくなかったが故に、中を広くする魔法を掛けたが自分でも魔女の家みたいだ、と内心笑う。
だが、自宅は別にある。この店には薬草のストック、沢山の本、そして死の使い|《スノードロップ》に関する情報を壁一面に貼り付け、羊皮紙にまとめて保管している。それだけでは無く、今まで解決してきた事件や依頼に関する情報も。
ミアは事細かく書き記した。何かあった時に、見付けられるように。
地下には沢山の調合素材が瓶に詰めて並べてあり、ミアは使っていた素材を元の場所に戻す。薄暗い部屋の中にある素材を見たノーマジはきっと、驚くだろう。大声を上げて。もしかしたら失神するかもしれない。そう考えながらミアは地下から戻る。
自宅のようにトイレやお風呂を作った理由は研究に没頭したり、事件等の依頼によって泊まり込みで作業する事が多いからである。自宅には何かあった時の為に、あまり死の使い関係の物は置いておらず寧ろスカーレットの部屋数より少ないのだ。
正直自分の物より親友、エミリアの私物が多い。
「あー、後、親友の私物が多いから勝手に触ったりしない事」
「一緒に住んでるの?」
「いいえ、遊びに来たり泊まりに来たりはするけど住んでは無いの。面倒臭がりだからすぐ服とか置いて行っちゃうのよ」
「へえ……」
不思議そうに植物達を見つめながらギルは杖から細く水を出していた。様々な種類の薬草にギルは驚いていた。確かに、魔法使いとして薬を調合する仕事はあるがその職に就いていないミアが沢山の薬草を育て、調合しているのが少しばかり不思議ではあった。誰かに売って利益を得ているのだろうか、と。
「さ、ある程度片付けも終わったし……付いて来て」
ミアは黒いローブを羽織るとヒールの音を鳴らし歩く。扉の前に来ればギルの方に顔を向け声を掛けた。
ギルは笑顔を返しミアに付いて行く。
入口の裏にはダークブラウンの車が一台停まっていた。ミアの車である。そして、ノーマジが乗るような普通の車ではない。
木々に囲まれたスカーレットは月明かりが差し込み少し輝いている。杖を扉に向けると鍵が閉まるような音がした。
ギルはミアに着いて行くと魔法車に乗って来ているのだと理解した。そして魔法車で家に向かうのだと察する。
魔法車は杖で動かす訳ではなく、元々魔法車に魔力が流し込まれておりその魔力を原動力にしハンドル操作を行う。ノーマジが乗る車はガソリンが原動力だ。あまり変わらないが変わる所は空を飛べ、ボタンを押せば瞬間移動のような速さで走る事も可能。酔いやすい人はきっと、気持ち悪くなってしまうだろう。
やはり魔法車と言うだけあって便利なのだ。
「酔ったりする?」
「安心して、全く酔わないから」
「そう、良かったわ。吐かれたら最悪だもの」
以前友人を乗せた際どうやら酔いやすい体質なようで、危うく車内で吐き出されてしまうところだったのをミアは思い出す。
魔法車に乗り込むと音楽を掛ける。お気に入りの曲は女性シンガーが歌う、切なく綺麗な歌声の曲だ。そして、ミアの同級生でもある。何度もコンサートに足を運んではその歌声に魅力された。
同級生だと言う贔屓無しにも彼女の歌声はとても、素敵だとミアは思う。
魔法で演出されるのも素晴らしく再びコンサートが開催される日が来れば必ず行くだろう。
「……へえ、彼女本当に歌手になったんだね」
「知ってたの?」
「同じクラスだったからさ」
「あ、そっか。リリスもハートだったわね」
ギルの言葉に納得しながらも今や人気歌手になったリリスが居るクラスに遊びに行っていたが、ギルの姿をハッキリ見た事はあまり覚えてなかった。
違和感は正直感じていたものの、特に気にする事は無かった。
ミアの自宅は首都、ロアーグにある小さなアパート。明るい茶色のレンガで作られた可愛らしいアパートだ。3階建てのアパートは、全部で9家族が住める個数で、間取りは家族で住むより一人暮らしが住みやすい部屋数が少ないアパートでもある。
ミアは勝手に部屋を魔法で改造してしまってはいるが、大家に気付かれなければ平気なのだとエミリアに話した事があった。勿論、現在気付かれてはいない。何故なら目眩しの術を掛けているからだ。
ミアは夜空に浮かぶ魔法車を運転しながらぼんやり考える。間取りをどんな風に変えてしまおうか、と。ギルが暮らすつもりなら寝室を別に作らなければいけない。
下を少し覗けば首都ロアーグが見えた。何台か魔法車とすれ違いながらも、ノーマジには絶対に見えない。
建物から漏れる光、街灯、車のヘッドライト。様々な光によって明るく照らされた街は何度見ても綺麗だと思う。そんな事をぼんやり考えていればギルに話し掛けられる。
「この状況ミアちゃんとデートしてるみたいだね。まあ、普通は男の俺が運転するんだけどね~」
相変わらず気の抜けた話し方に女慣れしているのだろうとミアは感じていた。それもそうだろう、整った顔の男を女は放ってはおかない。学生時代も散々モテていた筈だ。
「私がデート相手で悪かったわね。そもそもギル、貴方今日から居候なのよ?」
「俺は、ミアちゃんとならデート大歓迎だけど?まあまあ、俺弟子だしさあ」
「……だから弟子じゃないってば、もう」
「まあ、お試しだと思ってさ」
ね?と首を傾げる仕草をするギルは様になっている。腹が立つ程に。
溜息をこぼしつつもミアの自宅が見えてきた。円を描く様に下に降りながら、駐車場へと魔法車を停める。
ミアと共に魔法車から降りたギルは少し意外だった。一軒家か大きなマンションに住んでいると思っていたから。可愛らしいアパートを見つめていればミアに早く来いと声を掛けられ、後を着いて行く。
階段を上がり2階の奥、1番左端へと足を進めるミアにそこがミアの自宅なのだろうと感じる。
しかし、不思議であった。大体の魔法使いは人間界に住む事は多くはない。魔法使いの住む住宅地があり、そこはノーマジが足を踏み入れれないように魔法を掛けている場所。トラブルが1番無い、安全な場所でもある。魔法使い達からは”レーベン”と呼ばれる地区だ。
ミア程の大きな魔力を持った者は特に、レーベンに住んだ方が良いのではないかとギルは考えていた。そして、素直にミアに問い掛けた。
「ミアちゃんはレーベンには住まないのかい?」
「……いずれはレーベンに移り住もうとは思ってるけど、今はまだ行く気は無いわ」
「理由を聞いても?」
「秘密よ。ほら、中に入って」
「お邪魔しまーす」
理由を聞けなかったギルは少し残念そうにしながらも、部屋に入る。
とてもシンプルな部屋はあまり生活感が無かった。まるで、帰って寝るだけのような少し寂しい雰囲気も感じ取れていた。唯一生活感を感じさせる物は、親友の私物だろうか。
確かにミアが言っていた様に、親友の物であろう服や小物が散乱しているのを確認したギルは少し笑う。家では案外、気を緩ませていて面倒臭がりなのではないかと。
「……何笑ってるのよ。もう!片付けるからシャワーでも浴びてきたら?服は、そうね、……あ、これがあったわ」
ミアは笑うギルに少しばかり居心地が悪くなり話を変え、杖を使わずに散乱した物を浮かばせ片付けた。同時にギルが着れそうな服を探す。
見た目は細身で185センチくらいは身長があるだろう。ミアの身長では当然、丈が短い。
考えながらクローゼットの扉が開くと着ていたローブがクローゼットに収納されると共に、踊るように空中に浮く服と睨めっこ状態。しかし、ミアは気付いた、友人の服があった事を。背丈は似ているから着れるだろうし、洗濯してあるから問題は無い筈。
「この服なら着れそうでしょ?どう?あ、勿論洗濯はちゃんとしてあるわよ」
「……それ、彼氏の?」
「え?あー、違うわよ。友達。そもそも彼氏なんて居たらこの家に住ませないわよ」
「……ふーん」
此方を見つめてくるギルに首を傾げながら見つめ返せば、どこか満足そうな顔をするギルの表情に、ますます分からなくなった。
シャワーへと向かうギルを見送れば、ソファーに雪崩込むように寝転がる。研究に没頭して疲れたせいか、それともギルに疲れたのか分からないが急に眠気が襲ってくる。
ゆっくりと瞼が落ちてくるのを自覚しながら、抗う事無く眠りについた。空中に浮かんだ親友の私物は踊るようにクローゼットに入ったり、アクセサリーボックスに入ったり。魔法は眠っていてもちゃんと、掛かってくれる。だから掃除は簡単だ。掃除の魔法をちゃんと使えれば。
ミアはそんなに恋愛は多くは無いが、初心と言う訳でもない。屋根の下で付き合ってもいない男女が一緒だと言うのは常識的にどうなのか、ときちんと考えられる。
ミアは杖を軽く振りながら店内の掃除を始めた。真っ白な雑巾が踊るように床を滑り、ホウキはスカートを揺らすように動き回る。
「あー、もう!分かったわよ!ただし、変な事したらすぐ追い出すからね!……後、家事とか手伝う事!良い!?」
「あんまり得意じゃないけど、分かったよ」
大きな溜息と共に不安しか無かった。だが、背後でひたすら自宅が遠いからだとか、弟子になるつもりで出て来たから契約を解約して来ただとか言われ続ければ誰でも折れてしまうだろう。ミア同様優しければ、の話だが。
頭が痛くなりそうだったが採用してしまったのだから仕方がない。
植物達に水やりを頼み、ミアはキッチンの奥にある扉を開き地下へ進む。繋がっているのは地下だけではない。この建物は見た目は小さめではあるが、中は実は広いのだ。勿論魔法が掛かっているから。
自分が行きたい所を願いながら扉を開けば地下、2階、奥の部屋、トイレ、お風呂へと繋がる事が可能。店の外観を大きくしたくなかったが故に、中を広くする魔法を掛けたが自分でも魔女の家みたいだ、と内心笑う。
だが、自宅は別にある。この店には薬草のストック、沢山の本、そして死の使い|《スノードロップ》に関する情報を壁一面に貼り付け、羊皮紙にまとめて保管している。それだけでは無く、今まで解決してきた事件や依頼に関する情報も。
ミアは事細かく書き記した。何かあった時に、見付けられるように。
地下には沢山の調合素材が瓶に詰めて並べてあり、ミアは使っていた素材を元の場所に戻す。薄暗い部屋の中にある素材を見たノーマジはきっと、驚くだろう。大声を上げて。もしかしたら失神するかもしれない。そう考えながらミアは地下から戻る。
自宅のようにトイレやお風呂を作った理由は研究に没頭したり、事件等の依頼によって泊まり込みで作業する事が多いからである。自宅には何かあった時の為に、あまり死の使い関係の物は置いておらず寧ろスカーレットの部屋数より少ないのだ。
正直自分の物より親友、エミリアの私物が多い。
「あー、後、親友の私物が多いから勝手に触ったりしない事」
「一緒に住んでるの?」
「いいえ、遊びに来たり泊まりに来たりはするけど住んでは無いの。面倒臭がりだからすぐ服とか置いて行っちゃうのよ」
「へえ……」
不思議そうに植物達を見つめながらギルは杖から細く水を出していた。様々な種類の薬草にギルは驚いていた。確かに、魔法使いとして薬を調合する仕事はあるがその職に就いていないミアが沢山の薬草を育て、調合しているのが少しばかり不思議ではあった。誰かに売って利益を得ているのだろうか、と。
「さ、ある程度片付けも終わったし……付いて来て」
ミアは黒いローブを羽織るとヒールの音を鳴らし歩く。扉の前に来ればギルの方に顔を向け声を掛けた。
ギルは笑顔を返しミアに付いて行く。
入口の裏にはダークブラウンの車が一台停まっていた。ミアの車である。そして、ノーマジが乗るような普通の車ではない。
木々に囲まれたスカーレットは月明かりが差し込み少し輝いている。杖を扉に向けると鍵が閉まるような音がした。
ギルはミアに着いて行くと魔法車に乗って来ているのだと理解した。そして魔法車で家に向かうのだと察する。
魔法車は杖で動かす訳ではなく、元々魔法車に魔力が流し込まれておりその魔力を原動力にしハンドル操作を行う。ノーマジが乗る車はガソリンが原動力だ。あまり変わらないが変わる所は空を飛べ、ボタンを押せば瞬間移動のような速さで走る事も可能。酔いやすい人はきっと、気持ち悪くなってしまうだろう。
やはり魔法車と言うだけあって便利なのだ。
「酔ったりする?」
「安心して、全く酔わないから」
「そう、良かったわ。吐かれたら最悪だもの」
以前友人を乗せた際どうやら酔いやすい体質なようで、危うく車内で吐き出されてしまうところだったのをミアは思い出す。
魔法車に乗り込むと音楽を掛ける。お気に入りの曲は女性シンガーが歌う、切なく綺麗な歌声の曲だ。そして、ミアの同級生でもある。何度もコンサートに足を運んではその歌声に魅力された。
同級生だと言う贔屓無しにも彼女の歌声はとても、素敵だとミアは思う。
魔法で演出されるのも素晴らしく再びコンサートが開催される日が来れば必ず行くだろう。
「……へえ、彼女本当に歌手になったんだね」
「知ってたの?」
「同じクラスだったからさ」
「あ、そっか。リリスもハートだったわね」
ギルの言葉に納得しながらも今や人気歌手になったリリスが居るクラスに遊びに行っていたが、ギルの姿をハッキリ見た事はあまり覚えてなかった。
違和感は正直感じていたものの、特に気にする事は無かった。
ミアの自宅は首都、ロアーグにある小さなアパート。明るい茶色のレンガで作られた可愛らしいアパートだ。3階建てのアパートは、全部で9家族が住める個数で、間取りは家族で住むより一人暮らしが住みやすい部屋数が少ないアパートでもある。
ミアは勝手に部屋を魔法で改造してしまってはいるが、大家に気付かれなければ平気なのだとエミリアに話した事があった。勿論、現在気付かれてはいない。何故なら目眩しの術を掛けているからだ。
ミアは夜空に浮かぶ魔法車を運転しながらぼんやり考える。間取りをどんな風に変えてしまおうか、と。ギルが暮らすつもりなら寝室を別に作らなければいけない。
下を少し覗けば首都ロアーグが見えた。何台か魔法車とすれ違いながらも、ノーマジには絶対に見えない。
建物から漏れる光、街灯、車のヘッドライト。様々な光によって明るく照らされた街は何度見ても綺麗だと思う。そんな事をぼんやり考えていればギルに話し掛けられる。
「この状況ミアちゃんとデートしてるみたいだね。まあ、普通は男の俺が運転するんだけどね~」
相変わらず気の抜けた話し方に女慣れしているのだろうとミアは感じていた。それもそうだろう、整った顔の男を女は放ってはおかない。学生時代も散々モテていた筈だ。
「私がデート相手で悪かったわね。そもそもギル、貴方今日から居候なのよ?」
「俺は、ミアちゃんとならデート大歓迎だけど?まあまあ、俺弟子だしさあ」
「……だから弟子じゃないってば、もう」
「まあ、お試しだと思ってさ」
ね?と首を傾げる仕草をするギルは様になっている。腹が立つ程に。
溜息をこぼしつつもミアの自宅が見えてきた。円を描く様に下に降りながら、駐車場へと魔法車を停める。
ミアと共に魔法車から降りたギルは少し意外だった。一軒家か大きなマンションに住んでいると思っていたから。可愛らしいアパートを見つめていればミアに早く来いと声を掛けられ、後を着いて行く。
階段を上がり2階の奥、1番左端へと足を進めるミアにそこがミアの自宅なのだろうと感じる。
しかし、不思議であった。大体の魔法使いは人間界に住む事は多くはない。魔法使いの住む住宅地があり、そこはノーマジが足を踏み入れれないように魔法を掛けている場所。トラブルが1番無い、安全な場所でもある。魔法使い達からは”レーベン”と呼ばれる地区だ。
ミア程の大きな魔力を持った者は特に、レーベンに住んだ方が良いのではないかとギルは考えていた。そして、素直にミアに問い掛けた。
「ミアちゃんはレーベンには住まないのかい?」
「……いずれはレーベンに移り住もうとは思ってるけど、今はまだ行く気は無いわ」
「理由を聞いても?」
「秘密よ。ほら、中に入って」
「お邪魔しまーす」
理由を聞けなかったギルは少し残念そうにしながらも、部屋に入る。
とてもシンプルな部屋はあまり生活感が無かった。まるで、帰って寝るだけのような少し寂しい雰囲気も感じ取れていた。唯一生活感を感じさせる物は、親友の私物だろうか。
確かにミアが言っていた様に、親友の物であろう服や小物が散乱しているのを確認したギルは少し笑う。家では案外、気を緩ませていて面倒臭がりなのではないかと。
「……何笑ってるのよ。もう!片付けるからシャワーでも浴びてきたら?服は、そうね、……あ、これがあったわ」
ミアは笑うギルに少しばかり居心地が悪くなり話を変え、杖を使わずに散乱した物を浮かばせ片付けた。同時にギルが着れそうな服を探す。
見た目は細身で185センチくらいは身長があるだろう。ミアの身長では当然、丈が短い。
考えながらクローゼットの扉が開くと着ていたローブがクローゼットに収納されると共に、踊るように空中に浮く服と睨めっこ状態。しかし、ミアは気付いた、友人の服があった事を。背丈は似ているから着れるだろうし、洗濯してあるから問題は無い筈。
「この服なら着れそうでしょ?どう?あ、勿論洗濯はちゃんとしてあるわよ」
「……それ、彼氏の?」
「え?あー、違うわよ。友達。そもそも彼氏なんて居たらこの家に住ませないわよ」
「……ふーん」
此方を見つめてくるギルに首を傾げながら見つめ返せば、どこか満足そうな顔をするギルの表情に、ますます分からなくなった。
シャワーへと向かうギルを見送れば、ソファーに雪崩込むように寝転がる。研究に没頭して疲れたせいか、それともギルに疲れたのか分からないが急に眠気が襲ってくる。
ゆっくりと瞼が落ちてくるのを自覚しながら、抗う事無く眠りについた。空中に浮かんだ親友の私物は踊るようにクローゼットに入ったり、アクセサリーボックスに入ったり。魔法は眠っていてもちゃんと、掛かってくれる。だから掃除は簡単だ。掃除の魔法をちゃんと使えれば。
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