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12話

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あの後一眠りしてから夕食を食べた。

あの女の子が言っていた通り本当に美味しかったわ。

貴族として食事のマナーを気にせずに食べるのって本当にいいわね。

いつもよりずっと美味しかったもの。

でも先生の作ってくれた料理が食べたいなぁ。

確かはんばーぐとか、あっ!あとかれーってやつ!!

すっごく美味しかったのよね。

はんばーぐは自分で作れるけどかれーは難しい。

特にスパイスをたくさん使うからね。

んー、久しぶりにはんばーぐでも作ろうかしら?

旅の途中では凝った料理は作れなかったけれど今は落ち着いて料理する余裕もある。

明日の夜は共同キッチンを借りて自分でご飯を作ろう!

さて、商業ギルドに行かないと!

薬師の試験ってどんなものかしら?

そんなに難しくないといいんだけれど‥‥。

商業ギルドは冒険者ギルドのある通りの一つ隣にある。

商業ギルドは商品の販路に特許の取得などの業務で冒険者ギルドと被ることがないから冒険者ギルドと商業ギルドは仲がいい。

よく連携することもあってどちらのギルドも信頼ができる機関だ。

あったわ!

商業ギルドに入るとそこは冒険者ギルドとは随分と違った様子だった。

まず何より威圧感垂れ流しの冒険者たちがいない。

そして小太りの商人らしき人や女性で溢れていた。

魔道具や家具の依頼も扱っているので訪れる人の幅が広い。

ここでは私も浮いていないわね。

なんなら貴族が来ることもあるからね。

とは言っても実際に貴族が訪れるわけではなくその従者や侍女が来るくらいなんだけどね。

「こんにちは。」

「商業ギルドへようこそ。どう言ったご用件でしょうか?」

「薬師の登録をしたいの。」

「はい、薬師の登録には試験を受けてもらう必要があります。試験内容は筆記と実技です。」

「ええ。」

「実技は初級ポーションと何かお得意なものをひとつ作ってもらいます。それを当ギルドの鑑定スキル持ちに鑑定してもらい合否を判断いたします。」

「試験は今受けられるのかしら?」

「はい、可能ですよ。二階にある一部屋で行います。今受けられますか?」

「お願いするわ。」

「はい、ではこちらの書類にサインをお願いします。注意点をお伝えしますね。まず試験は何度でも受けられます。ただし無料で受けられるのは2回まで。それ以上は料金が発生しますのでお気をつけください。また、筆記と実技の両方ができて初めて合格となります。どちらかだけ合格した場合でも次の試験ではまた両方受けてもらいます。何かご質問はありますか?」

「大丈夫です。」

「ではこちらへお越しください。」

そう言って二階の部屋に連れて行かれた。

ドキドキするわ。

薬草やポーションの知識は豊富にあるつもりだけど大丈夫かしら?

先生が実践的に教えてくれたから基本的なものは完璧だ。

先生がいなくなってからも自分で屋敷にある本を読み漁って勉強を続けたし森で薬草をよく摘んでいた。

少し不安だけれど楽しみでもある。

ここで合格すれば念願の薬師になれる。

薬師として生計を立てて暮らしていきたい。

静かな森に家を建てて数日おきに街を訪れて薬を売って生活する。

そんな理想に一歩近づける。

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