断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ

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前世の記憶が蘇ったのは10歳の時だった。

流行病にかかって高熱で寝込んでいた時に流れ込んできた記憶が地球の日本で生きたOLの生涯だった。

異世界ものが大好きでとにかくいろんな漫画や小説、ゲームを休みの日にやっていた。

そして今いるこの世界は私のやっていたゲームの世界の一つだった。

ただし、私が転生したのはこのゲームの舞台フィラデルフィア王国の隣、ユーフラテス王国だった。

モブにもなれないただの人。

それでもよかった。

どうしても好きだったこのゲームの世界をこの目で直接みたくて両親に頼み込んで留学させてもらった。

隣国だし交友関係は悪くない。

それに私はユーフラテス王国の王女だもの。

できないことなんて大抵はないわ。

ゲームの攻略対象、フィラデルフィア王国の王子やその側近たちと偶然にも同い年だったから間近でイベント全部見られる!って喜んだ。

そしていざこの国に留学してすっごく楽しんだ。

でも一つだけ納得いかないことがあるの。

それは悪役令嬢のこと。

このゲームの嫌いなところは悪役令嬢が対して悪いことをしているわけでもないのに断罪され追放か処刑ルートしかないことだ。

ゲームは好き。

攻略対象の顔は好き。

でも性格は違う。

乙女ゲームとしての流れとしては主人公を好きになってその障害になる悪役令嬢を断罪するっていうのはわかる。

ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめた。

でもそれが現実で起こるとなると違うでしょう?

悪役令嬢は公爵家のご令嬢なのよ?

公爵家と平民の主人公。

どちらが大切で優先すべきなのかは貴族、または王族として生まれたものなら当然わかっているはず。

それなのに恋にうつつを抜かして公爵家を蔑ろにするなんてあり得ない。

でもそのあり得ないことが今目の前で起こっているのよ。

断罪。

それも国王陛下もいらっしゃる大切な卒業パーティーという場で。

軽率にも程があるでしょう。

それにきっと主人公も転生者ね。

ハーレムルートを狙ったんでしょう。

王子も、その側近たちまでたらし込んで涙目で見上げて縋りついている。

正直言って気持ち悪い。

よくそんなことできたわね。

彼女、わかっているのかしら?

これがゲームと似通った世界ではあるけれど決してゲームの世界ではないということを。

このまま何もせずに眺めていることもできる。

いくら王子だからって許されないことをしているのだから公爵家からの抗議も入れば制裁は下る。

けれどそれを王家が揉み消さないと言えるかしら?

公爵家だけが煮湯を飲まされる結果になる可能性だってある。

公爵令嬢とは仲良くなったのよ。

この国に来て私を案内してくれたり個人的にお茶会をしたり気の許せる大切な友人なの。

そんな彼女が何も悪いことがないのに窮地に立たされている。

それなら助け舟を出すべきよねぇ?




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