まあ、奇跡ということにしておこう

寝頭ふみんしょー

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禁忌

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「セレストリア王国からの手紙です。」
「内容は」
ウェストに手紙を差し出され受け取る
「それが…葬式らしい…第一王子の」
「…ミレイユの…?まだ16歳だろう。何故?何故だ。」
アルヴィスが珍しく年相応に動揺している
数日前に留学の話をもちかけた時に見かけたミレイユは元気そうだった。
「急病らしい」
「そんなはずは…」
「お前が殿下を気に入っていたのは分かるが、人間とはそういうものだ。」
喪服に身を包み葬式に参列する
棺桶の蓋は固く閉ざされており最後に顔を見ることもできなかった。
呆然と式を過ごし、早々に城へ帰還する
それから数年間、心臓に穴の空いたように過ごしていた。
「アルヴィス!!」
ノックもせずにウェストが執務室に飛び込んでくる
「騒がしい」
アルヴィスが眉を顰める
「セレストリアが軍備を整えこちらに向かっている…!」
「はぁ?我々に叶うとでも」
「真意は知らん。だが、かなりの兵だ。」
「迎え撃て」
ウェストに適当な指示を出し、ルベリオとコバルトを連れてセレストリア城へ暗殺のため忍び込む
大将を消せば戦争など終わるも同然
だが、城の中にはオブシディアンどころかメイドや執事もいなかった。
別の場所に雲隠れしたのだろう
ほのかに漂う魔力を手繰り城の奥へと進んでいく
そこは真っ白な壁に繋がっていた。
耳を押し当てると中に空間があることが分かる
辺りを探ってみるとスイッチがあり魔力を流し込むと壁がゆっくりと開いていく
慎重に中に進むとそこには薄汚れた部屋があるだけだった。
城主はいない
部屋を明かりで満たすと壁際に小さく丸まった人がいた。
近づいてみれば既に絶命している
「ミレ、イユ…?」
数年前に見たのが最後だが間違いない
髪は伸び放題で体も不潔で傷だらけ
頬はコケて透き通るように美しい肌だったものは青白く石のようになっている
とても王子とは思えない風貌だ。
「ここに居たのか…?ずっと…」
アルヴィスは自分が汚れてしまうのもお構い無しにミレイユを抱きしめる
ミレイユの頭がガクリと横に倒れる
「助けてやれず、すまなかった…」
アルヴィスはミレイユを抱えあげると城へ連れ帰り、体を清め綺麗な服を着せて葬式をあげた。
参列したのはアルヴィスとウェスト、ルベリオ、コバルトのみ
公には到底できない
「お前、何やってるんだ」
城内の協会の中でアルヴィスが魔法陣を描いている
ミレイユの棺桶を囲むように描かれる魔法陣は酷く難解で一朝一夕でできるものではなかった。
「この子を送り届けた後、私は戻る」
「禁忌だぞ。いいのか」
アルヴィスは棺桶の中で花に包まれ眠っているミレイユの頬を撫でる
「俺達も当然連れて行って貰えるんだろうな?」
「好きにしろ」
アルヴィスはミレイユの棺桶に火をつける
炎が大きくなった時アルヴィスは中へと足を進めた。
ほとんど骨になったミレイユの体を抱きしめ…
ーーーーーー時空を越えた。
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