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Lunch編
今川真人side
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「あの、名前教えて下さい」
「今川さんは彼女いるんですか? どんなコが好みですか? あと、おいくつなんですか?」
「捜してました。今川部長のこと……」
これらの発言を総合すると、簡単に答えは導き出される。どうしてこんなおじさんに、好意を抱けるのだろう?
はすっぱで超ワガママなイメージだった朝比奈さんが、昨日は何だか危なげで頼りないコに見えた。
考えながら弁当を食べるから、箸が思うように進まない。
十歳以上年下のコに迫られて、苦悩するおじさん……。嬉しいんだけど困る、世間体が辛い。
そんなことを考えこんでると静かに扉が開き、苦悩の原因がひょっこりと顔を出した。
「中に入って、ご一緒していいですか?」
ふんわりと微笑しながら聞いてくる。朝比奈さんの笑顔に釣られて、思わずほほ笑み返してしまった。
(断ろうと思ったのに。ああ……失敗)
「いいですよ」
そう、答えざるおえなくなる。
何やってんだ俺――なるべく彼女を、遠ざけなきゃならないのに。
後悔している俺の横に、微笑みながら並んで座る彼女。そして昨日の事件のお礼を述べるなんて、意外としっかりしたコだ。
しかし念には念をと日頃の行いが悪いのを、しっかり注意した。
「身を持って分かりました。反省します」
その素直な態度に何だかドキッとしてしまい、慌ててご飯を頬張る。
頬張りながら頷いたら、彼女も隣でお弁当を広げ始めた。
さっきまでまったく箸が進まなかったのに、この状況が落ち着かなくて、変な勢いだけでお昼を食べていた。
「あの……お弁当作ってくれる人が、誰かいるんですか?」
突如に投げられる質問。いるって言った方が、諦めてくれるのか?
なぁんて一瞬だけ悩んだが、ここは普通に答えてあげよう。
「前日のご飯のおかずを入れたりして、自分で作ってます」
「自炊……して、いらっしゃるんですか?」
ムダに独身生活長いからね、もう何でも出来るよ(苦笑)
「年とると脂っこいモノや濃い味付けが、受け付けなくなるんです。だからしょうがなく自炊してるワケ」
そう言うと朝比奈さんは、何故か瞳をキラキラさせて頷く。
なぜ、そこで瞳キラキラ?
「おじいちゃんも、同じことを言ってました。だから私がお弁当を作ってるんです」
ああ、会長と同じだから嬉しかったんだ。年寄りと共通点が同じな俺って、どんだけ老化してるんだろ……。
ちょっと切なくなりながら、彼女のお弁当を覗いてみる。唐揚げにポテトサラダ、型抜きされたにんじんが可愛らしい。
それと――
「私とおじいちゃんのは、中身違いますよ。おじいちゃんのはもっと、茶色い感じで地味なお弁当です……」
照れながら自分の弁当を隠す姿に何だかこっちまで照れてきたので、視線を自分の弁当に戻す。そして残っているご飯を、慌ててかきこんだ。
さてこれからお昼寝タイム――いつものように椅子を集めて、よっこらせっと横になる。
「あの……時間がきたら、起こしますか?」
窺うように聞いてきたが、丁重にお断りした。しっかりスマホでアラームかけているから。
いつもは仰向けで寝ているのだが、寝顔を見られるのがすごく恥ずかしいので、椅子の背を正面に横向きの体勢で目をつぶる。
俺は今ひとりきり、誰もいないんだ。気にせずに、いつも通り寝れ……ワケの分からない暗示をかけて眠ってみたら、あっさりと落ちた。
何処からか、ふんわりと鼻をくすぐるイイ匂いがする。頭が温かい何かに、包まれているみたいだ。
おや、遠くで何かが揺れている。まだ眠っていたい――
「今川部長、起きて下さいぃ!」
耳元で、朝比奈さんの声がするような?
ギョッとして目を開けると、目の前には巨大なアレと朝比奈さんの顔があった。下から見るとスゴい迫力に恐れおののき、慌てて起き上がる。
何で朝比奈さんの膝枕で、のん気に寝てるんだ俺っ! あまりの気持ち良さに、起きれなかったじゃないか。
「椅子から頭を落としながら寝ていたので、無事に救出しました」
普段横向きで寝ないから、変な寝方になっていたらしい。
意味なく後頭部を触ってしまった。艶かしい感触が残ってるような、残ってないような。
そんな俺を不思議そうに見つめる視線に、またしてもドギマギしてしまった。
「私の膝、痛かったですか?」
「痛くないです。むしろ……」
寝心地が良かった。昨日は安眠妨害されたが、今日は快眠もいいトコだ――とは言えまい。すっごくスッキリ眠れたなんて、口が裂けても言えない。
「何でもないです。はいっ」
若いコの膝枕で幸せそうに寝た後に、あの衝撃的なアングルはおじさんでもヤバいです!
寝顔もきっと見られたんだろうな。いろんな意味で全てハズカシイ……。
慌てふためいて、逃げるようにその場を後にした。
「今川さんは彼女いるんですか? どんなコが好みですか? あと、おいくつなんですか?」
「捜してました。今川部長のこと……」
これらの発言を総合すると、簡単に答えは導き出される。どうしてこんなおじさんに、好意を抱けるのだろう?
はすっぱで超ワガママなイメージだった朝比奈さんが、昨日は何だか危なげで頼りないコに見えた。
考えながら弁当を食べるから、箸が思うように進まない。
十歳以上年下のコに迫られて、苦悩するおじさん……。嬉しいんだけど困る、世間体が辛い。
そんなことを考えこんでると静かに扉が開き、苦悩の原因がひょっこりと顔を出した。
「中に入って、ご一緒していいですか?」
ふんわりと微笑しながら聞いてくる。朝比奈さんの笑顔に釣られて、思わずほほ笑み返してしまった。
(断ろうと思ったのに。ああ……失敗)
「いいですよ」
そう、答えざるおえなくなる。
何やってんだ俺――なるべく彼女を、遠ざけなきゃならないのに。
後悔している俺の横に、微笑みながら並んで座る彼女。そして昨日の事件のお礼を述べるなんて、意外としっかりしたコだ。
しかし念には念をと日頃の行いが悪いのを、しっかり注意した。
「身を持って分かりました。反省します」
その素直な態度に何だかドキッとしてしまい、慌ててご飯を頬張る。
頬張りながら頷いたら、彼女も隣でお弁当を広げ始めた。
さっきまでまったく箸が進まなかったのに、この状況が落ち着かなくて、変な勢いだけでお昼を食べていた。
「あの……お弁当作ってくれる人が、誰かいるんですか?」
突如に投げられる質問。いるって言った方が、諦めてくれるのか?
なぁんて一瞬だけ悩んだが、ここは普通に答えてあげよう。
「前日のご飯のおかずを入れたりして、自分で作ってます」
「自炊……して、いらっしゃるんですか?」
ムダに独身生活長いからね、もう何でも出来るよ(苦笑)
「年とると脂っこいモノや濃い味付けが、受け付けなくなるんです。だからしょうがなく自炊してるワケ」
そう言うと朝比奈さんは、何故か瞳をキラキラさせて頷く。
なぜ、そこで瞳キラキラ?
「おじいちゃんも、同じことを言ってました。だから私がお弁当を作ってるんです」
ああ、会長と同じだから嬉しかったんだ。年寄りと共通点が同じな俺って、どんだけ老化してるんだろ……。
ちょっと切なくなりながら、彼女のお弁当を覗いてみる。唐揚げにポテトサラダ、型抜きされたにんじんが可愛らしい。
それと――
「私とおじいちゃんのは、中身違いますよ。おじいちゃんのはもっと、茶色い感じで地味なお弁当です……」
照れながら自分の弁当を隠す姿に何だかこっちまで照れてきたので、視線を自分の弁当に戻す。そして残っているご飯を、慌ててかきこんだ。
さてこれからお昼寝タイム――いつものように椅子を集めて、よっこらせっと横になる。
「あの……時間がきたら、起こしますか?」
窺うように聞いてきたが、丁重にお断りした。しっかりスマホでアラームかけているから。
いつもは仰向けで寝ているのだが、寝顔を見られるのがすごく恥ずかしいので、椅子の背を正面に横向きの体勢で目をつぶる。
俺は今ひとりきり、誰もいないんだ。気にせずに、いつも通り寝れ……ワケの分からない暗示をかけて眠ってみたら、あっさりと落ちた。
何処からか、ふんわりと鼻をくすぐるイイ匂いがする。頭が温かい何かに、包まれているみたいだ。
おや、遠くで何かが揺れている。まだ眠っていたい――
「今川部長、起きて下さいぃ!」
耳元で、朝比奈さんの声がするような?
ギョッとして目を開けると、目の前には巨大なアレと朝比奈さんの顔があった。下から見るとスゴい迫力に恐れおののき、慌てて起き上がる。
何で朝比奈さんの膝枕で、のん気に寝てるんだ俺っ! あまりの気持ち良さに、起きれなかったじゃないか。
「椅子から頭を落としながら寝ていたので、無事に救出しました」
普段横向きで寝ないから、変な寝方になっていたらしい。
意味なく後頭部を触ってしまった。艶かしい感触が残ってるような、残ってないような。
そんな俺を不思議そうに見つめる視線に、またしてもドギマギしてしまった。
「私の膝、痛かったですか?」
「痛くないです。むしろ……」
寝心地が良かった。昨日は安眠妨害されたが、今日は快眠もいいトコだ――とは言えまい。すっごくスッキリ眠れたなんて、口が裂けても言えない。
「何でもないです。はいっ」
若いコの膝枕で幸せそうに寝た後に、あの衝撃的なアングルはおじさんでもヤバいです!
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慌てふためいて、逃げるようにその場を後にした。
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