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優しさに溺れる夜
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「本格的にヤバいな、それは。綾瀬川の顔でその状態を想像するのは、恐ろしい絵面になること間違いなし!」
メガネをかけ直して、顔を上げた俊哉さんの口元が思いっきり引きつっていたけれど、それでもイケメンだと思わせるのはすごいなと思った。
「だから昨日も抵抗したかったのに、それをすると澄司さんが余計に喜ぶから……」
「それって抵抗できる相手じゃない、厄介すぎる。ある意味、俺のパンチが決まらなくてよかったと喜ぶべきか」
俊哉さんの顔に滲んだ冷笑に、私も同じように苦笑いを浮かべて、今後ありえそうな未来を口にする。
「でも斎藤ちゃんのパンチがドМの澄司さんに決まっちゃったから、もしかして――」
言葉を濁す私に、俊哉さんはメガネのフレームを格好良くあげながら、ぽつりと呟く。
「斎藤が綾瀬川に追いかけられたときは、俺たちで手助けしてやらないとな。いろいろ助けて貰ってるんだから、当然だけど」
「俊哉さん、ありがとうございます」
優しい俊哉さんにお礼を言うと、困惑の表情をあらわにされてしまった。
「笑美に礼を言われると困ってしまう。実際斎藤に助けられたおかげで、俺たちの恋愛が続けることができてるところもあるだろ?」
「確かにそうですね」
「斎藤が困ったら助けるのは当たり前だし、アイツは自分が強いと思っているから切り抜けられると考えて、俺らに相談しないことが予測できる。だからこそ斎藤と仲のいい笑美が、そこのところをチェックをしなければいけなんだぞ」
「あ……」
思わず、カレーを食べる手が止まった。
「斎藤は恋愛ごとについては百戦錬磨っぽいが、いかんせん相手はあの綾瀬川だ。振り切るにしても、困難なのは目に見えてる」
(――やっぱり俊哉さんはすごいな。私はそこまで頭がまわらなかった)
残していたカツに食らいつき、きちんと咀嚼してから俊哉さんに話しかける。
「斎藤ちゃんの殴打で、なにかがはじまる可能性があるにしても、私と斎藤ちゃんじゃタイプが180度違うので、澄司さんが暴走するかわかりませんけどね」
「まぁな。体型から性格まで、笑美たちは本当に間逆だ。カレーお代わりあるがどうする?」
俊哉さんに訊ねられても、お腹には入るようにスペースは既になかった。
「たくさんいただきましたので、ご馳走様します」
「そうか。だったら先に風呂に入って、ゆっくりするといい。その間に片付けておく」
「後片付けくらい、手伝わせてください。ないもしないのは、つらいものがあります!」
ここに来てから、ずっと俊哉さんに甘えっぱなしで、本当に申し訳なかった。
「笑美、俺がこういうことを言う理由、考えていないだろ?」
「なにかあるんですか?」
「今夜は、寝かさないかもしれないぞ?」
俊哉さんの艶っぽい声が、部屋の中で妙に響いた。
「寝かさないっ!?」
「ゆっくりできるのは、風呂に入ったところまで。そこからどうなるか笑美なりに考えながら、湯船にきちんと浸かって、しっかりあたたまってほしい」
そう言って私の両肩を掴み、バスルームへと誘った俊哉さんの顔は、どこか怖いものを醸していて、言葉を失うほどだった。
「ごゆっくり!」
満面の笑みを浮かべて私の頭を撫でるなり、颯爽とリビングに戻ってしまう。私は後片付けもしないままに、優雅にお風呂をいただくしかなかったのだった。
メガネをかけ直して、顔を上げた俊哉さんの口元が思いっきり引きつっていたけれど、それでもイケメンだと思わせるのはすごいなと思った。
「だから昨日も抵抗したかったのに、それをすると澄司さんが余計に喜ぶから……」
「それって抵抗できる相手じゃない、厄介すぎる。ある意味、俺のパンチが決まらなくてよかったと喜ぶべきか」
俊哉さんの顔に滲んだ冷笑に、私も同じように苦笑いを浮かべて、今後ありえそうな未来を口にする。
「でも斎藤ちゃんのパンチがドМの澄司さんに決まっちゃったから、もしかして――」
言葉を濁す私に、俊哉さんはメガネのフレームを格好良くあげながら、ぽつりと呟く。
「斎藤が綾瀬川に追いかけられたときは、俺たちで手助けしてやらないとな。いろいろ助けて貰ってるんだから、当然だけど」
「俊哉さん、ありがとうございます」
優しい俊哉さんにお礼を言うと、困惑の表情をあらわにされてしまった。
「笑美に礼を言われると困ってしまう。実際斎藤に助けられたおかげで、俺たちの恋愛が続けることができてるところもあるだろ?」
「確かにそうですね」
「斎藤が困ったら助けるのは当たり前だし、アイツは自分が強いと思っているから切り抜けられると考えて、俺らに相談しないことが予測できる。だからこそ斎藤と仲のいい笑美が、そこのところをチェックをしなければいけなんだぞ」
「あ……」
思わず、カレーを食べる手が止まった。
「斎藤は恋愛ごとについては百戦錬磨っぽいが、いかんせん相手はあの綾瀬川だ。振り切るにしても、困難なのは目に見えてる」
(――やっぱり俊哉さんはすごいな。私はそこまで頭がまわらなかった)
残していたカツに食らいつき、きちんと咀嚼してから俊哉さんに話しかける。
「斎藤ちゃんの殴打で、なにかがはじまる可能性があるにしても、私と斎藤ちゃんじゃタイプが180度違うので、澄司さんが暴走するかわかりませんけどね」
「まぁな。体型から性格まで、笑美たちは本当に間逆だ。カレーお代わりあるがどうする?」
俊哉さんに訊ねられても、お腹には入るようにスペースは既になかった。
「たくさんいただきましたので、ご馳走様します」
「そうか。だったら先に風呂に入って、ゆっくりするといい。その間に片付けておく」
「後片付けくらい、手伝わせてください。ないもしないのは、つらいものがあります!」
ここに来てから、ずっと俊哉さんに甘えっぱなしで、本当に申し訳なかった。
「笑美、俺がこういうことを言う理由、考えていないだろ?」
「なにかあるんですか?」
「今夜は、寝かさないかもしれないぞ?」
俊哉さんの艶っぽい声が、部屋の中で妙に響いた。
「寝かさないっ!?」
「ゆっくりできるのは、風呂に入ったところまで。そこからどうなるか笑美なりに考えながら、湯船にきちんと浸かって、しっかりあたたまってほしい」
そう言って私の両肩を掴み、バスルームへと誘った俊哉さんの顔は、どこか怖いものを醸していて、言葉を失うほどだった。
「ごゆっくり!」
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