恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~♡

相沢蒼依

文字の大きさ
86 / 141
優しさに溺れる夜

しおりを挟む
***

『今夜は、寝かさないかもしれないぞ?』という俊哉さんのセリフが、お風呂に入ってからも頭の中でずっとこだましていた。

(寝かさないって、一晩かけてトランプするわけないし、テレビを見続けるなんてもっとないよね。俊哉さんのしている仕事の話なんて、さっきまでの会話でもなかったんだから、絶対にありえないわけで――)

 残された選択肢は一択しかない。まだ見ていない扉の閉ざされた寝室――そこでおこなわれるであろう行為に胸が弾みすぎて、長湯できそうになかった。

 会社の階段下でされたキスだけで、すごく感じてしまってどうにかなりそうだったのに、それよりも進んだことをされるのを考えるともう、なんていうか表現できないむず痒さというか、モヤモヤというかムラムラというか。

 とにかく落ち着けなかったこともあり、お風呂を早々に出る。のぼせるほどお湯に浸かっていないのに、あれこれ考えすぎてしまって、頭の中はすでにのぼせた状態だった。

「あれ、これはいったい?」

 あらかじめ下着と一緒に部屋着を持参していたのだけれど、用意していた服の上に、謎の物が置かれていた。

 体の水滴を拭い終えてから、手に取って謎の物を広げてみると。

「こっ、こここここ……これはっ!」

 思わず大声をあげそうになり、慌てて口を噤んだ。それを眺めるだけで、顔が赤くなるのがわかる。

 謎の物の付与を、俊哉さんに施されてしまった。『パジャマはいらないからな』の意味が、目に見えて理解できてしまう。俊哉さんがいるリビングとそれに、意味なく視線を送ってしまった。

(俊哉さんの彼シャツぅ~! これを私に着ろというの!? ちょっと待って、シャツの丈の長さはどれくらい……)

 恐るおそる体に合わせてみると、丈は私の太ももの真ん中くらいの長さがあった。ギリギリじゃなくて、本当になによりだけど。

「俊哉さんのシャツを羽織るだけで、なんか緊張しちゃうな。しかも着てるところを見られるのも、恥かしい感じがするし」

 ぶつぶつ独り言を言いながら、自分が着ているところを、洗面台の鏡でしっかり確認してみた。私の体形にはぶかぶかな俊哉さんのシャツ。当然萌え袖になっているし、あまり見せたくない両足も、いつも以上に露出した状態だった。

 濡れた髪をそのままに、諦めた気持ちを抱えて、俊哉さんのいるリビングに顔を出す。

「笑美、ちゃんとあたたまったのか?」

 ソファに座ってなにかを読んでいた俊哉さんが、にこやかに近づいて私をしげしげと眺める。その視線が体中にチクチク突き刺さった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...