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第14話 朝食
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朝、目覚まし時計の音で目を覚ました。可愛らしい薄い黄色のもので、海外製だ。誕生日に、母親に買ってもらった。
目覚まし時計を止めたあと、ベッドの上で、まだ眠気の残る体をぐっと伸ばし、軽くストレッチをする。
そういえば、木々羅はどうしているのだろうか。昨日の夜確認した限りでは、今日の朝食担当は木々羅のはずだから、もう起きて、用意しているかもしれない。
いつ食堂に降りるのがベストなんだろう、と着替えをしていると、控えめに部屋をノックする音が聞こえてきた。
「どうしたの?」
まず間違いなく木々羅か茶々林だろうから、誰かは確認せずに扉を開ける。
おはよう、と爽やかに笑う彼を見て、そういえば口聞かないだとかなんだとか言ってたよな、と思い出した。まぁ、もういいや。木々羅は変態だが、モラルのある変態だと判明したので。
「朝ご飯できたよって言いに来たのと、起こしに来たのと」
「ありがとう」
そして彼はかなり優しい。あたしのエキゾチックショートヘア的顔が好きなんだかなんだか分からないけど、とにかく優しい。
「今日の朝ご飯何?」
「フレンチトースト」
朝から豪華だ。オシャレな人は、朝ご飯からオシャレなのかもしれない。
だからと言って、これからオシャレな洋食を作るつもりもないけど。
あたしは生粋のおばあちゃんっ子であり、この国の文化を推奨し続ける。
食卓に着くと、そこには甘くていい匂いが充満していた。やっぱり木々羅、何でもできるんだな。
椅子に座って、置いてあったコーヒーを飲み、それからフォークでトマトをつつく。
向かい側に座り、そんなあたしを眺めていた木々羅は、そのベビーフェイスに正直引くくらい満面の笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「昨日も言ったけど、遠慮はいらないって」
いい加減、変態発言にも慣れた。
「いや、その、俺の作った料理が深澤さんの胃の中に入ってると思うと、最高だよねって話」
予想を超える変態っぷりを示した木々羅に、あたしは無表情で頷いた。
けれど、前ほど驚きもしない。
やはり、慣れとは恐ろしいものだ。
目覚まし時計を止めたあと、ベッドの上で、まだ眠気の残る体をぐっと伸ばし、軽くストレッチをする。
そういえば、木々羅はどうしているのだろうか。昨日の夜確認した限りでは、今日の朝食担当は木々羅のはずだから、もう起きて、用意しているかもしれない。
いつ食堂に降りるのがベストなんだろう、と着替えをしていると、控えめに部屋をノックする音が聞こえてきた。
「どうしたの?」
まず間違いなく木々羅か茶々林だろうから、誰かは確認せずに扉を開ける。
おはよう、と爽やかに笑う彼を見て、そういえば口聞かないだとかなんだとか言ってたよな、と思い出した。まぁ、もういいや。木々羅は変態だが、モラルのある変態だと判明したので。
「朝ご飯できたよって言いに来たのと、起こしに来たのと」
「ありがとう」
そして彼はかなり優しい。あたしのエキゾチックショートヘア的顔が好きなんだかなんだか分からないけど、とにかく優しい。
「今日の朝ご飯何?」
「フレンチトースト」
朝から豪華だ。オシャレな人は、朝ご飯からオシャレなのかもしれない。
だからと言って、これからオシャレな洋食を作るつもりもないけど。
あたしは生粋のおばあちゃんっ子であり、この国の文化を推奨し続ける。
食卓に着くと、そこには甘くていい匂いが充満していた。やっぱり木々羅、何でもできるんだな。
椅子に座って、置いてあったコーヒーを飲み、それからフォークでトマトをつつく。
向かい側に座り、そんなあたしを眺めていた木々羅は、そのベビーフェイスに正直引くくらい満面の笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「昨日も言ったけど、遠慮はいらないって」
いい加減、変態発言にも慣れた。
「いや、その、俺の作った料理が深澤さんの胃の中に入ってると思うと、最高だよねって話」
予想を超える変態っぷりを示した木々羅に、あたしは無表情で頷いた。
けれど、前ほど驚きもしない。
やはり、慣れとは恐ろしいものだ。
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