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再会

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バイトの研修も終わりいよいよデリバリー、配達員として働くことになった。ピザを受け取り配達するお宅の住所と名前を確認し、お店に貼ってある地図で場所を確認。バイク事故の危険があるスマホを見ながらの配達は禁止されているから地図を頭の中にしっかりインプットする。


「コーポ神倉 101 染谷…大樹…さま…」


懐かしい名前を思わず二度見した。同姓同名だろうけど。だって大樹は東京出身で卒業後は親の会社に就職したはずだから。でも最初のお客様が前世の元恋人の名前って何か運命的なものを感じる。ちょっと感傷的になったけど…もしかすると自分の最期を考えると…事故に気をつけろという戒めかもしれない。

安全運転!親を泣かせちゃ駄目だな。


俺は十数分後無事にコーポの前に辿り着いた。バイクをコーポの前に停め部屋を捜す。

101号室、間違いないな、表札も間違いない。少し緊張しながらインターフォンを鳴らした。すると少し経って内鍵を開ける音が聞こえた。


「PPピザです!ご注文のお品をお届けに来ました」


元気に挨拶すると「…はい」とそっけない返事と共にドアが開いた。中から出てきたのは無精ヒゲに眼鏡、黒のジャージ素材の上下の背の高い男だった。俺はその場から動けなくなった。彼は、受け取ろうとしているのに一向にピザを渡さない俺にいぶかしげな顔をしてる。


大樹だ。


名前を知らなかったらきっと気づかずにピザを渡したらすぐに帰ってしまったかもしれない。それくらい別人になっていたけれど。同姓同名だったからどんな人だろうって気にしていたからわかったのかもしれないけど。大好きだった大樹がそこにいた。

でもなんで?なんで?

学生のときでさえオートロックの高級マンションに一人暮らししていたのに、古びた二階建ての単身者用のコーポに住んでるのはどうして。結婚はしていないの?仕事は?継ぐはずの会社は?


ピザを受け取り、代金を俺に渡すと大樹はすぐにドアをガチャンと閉めた。中から内鍵の音がする。予想もしなかった再会と大樹の変わりように頭が真っ白になった俺は暫くその場を離れることが出来なかった。
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