仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第149話 吾輩は職務放棄などしてないのである②

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 秋と言えば旬なモノが多い。
 次は八百屋へ行ってみるとしよう。

 最近あそこは偉そうに監視カメラを導入したそうな。
 しかしニャー吉ふう着ぐるみを着ている我輩に抜け目はないのだ!
 フッフッフ。

 旬と言えば細長い魚(サンマ)やイガイガ(栗)が真っ先に思い浮かぶだろう。
 そしてもう一つ、くっさいキノコ(松茸)などはその代名詞である。
 
 我輩どうもあの臭いが苦手。
 店先に並ぶだけで吐き気を催す。
 しかも我が国のやつだけではなく、他の国からも取り寄せよってからに!

 あっ!
 いったそばから軒先に並んでおるではないか!
 
 ここは我輩の腕の見せ所!
 仕事師の名において駆除してくれるわ!

 なになに?
 メープルが美味しいカエデが国旗の地域産だと?
 
 こいつはあまり臭くないな?
 しかも真っ白で見た目も他のヤツとは何かが違う。
 そんな訳でキサマは床ばらまきの刑だ。
 それ!

 下へ落ちるときに開いた笠がバラバラに。
 なんとも弱いキノコである。

 その隣で大陸産のヤツを発見。
 あの国は許可されていない薬品や肥料を多量に使うと聞く。
 時には毒も……

 となれば浄化が必要だな。
 我輩の消毒液で中和してやろう。

 {ジョロロロロ……}

 ふぅ。
 いい感じで本体が吸い込んだ様だ。
 しかしこのキノコより我輩のオシッコの方が臭うとは……。
 混ざって気分が悪いな。

 げ!
 こっちにもあるではないか!
 えーっと……ミサイル……マン……の国産?
 どこだろう?
 見た目は我が国のヤツと全く変わらないってことはエイジアのどこかか?

 ニセモノだな。
 こんな模造品を流通させるわけにはいかない。
 税関職務で鍛えた我輩の目をごまかせると思うなよ!
 
 注:税関職務=公園内に流れ着く新参猫の入園チェックをしただけ

 コイツはズタボロの刑だ。
 爪と牙で細切れにしてやる!
 
 そして一つ残らずズタズタに。
 ところが粉々になったせいで臭いが増す。
 
 う~む、なんとかせねばな。
 それなら対極の臭い将軍を置けば……
 よし、そうしよう!

 {プリリリ……}

 臭みはほどなく中和。
 ってか、我輩のしたウンチのほうが強烈かも。

 ふん!
 これに懲りて二度とフェイクを置くんじゃないぞ!

 あ!
 こいつは我が国産ではないか!
 くっさいくっさい笠の開いていないキノコ!
 しかもヒバゴンが育てただと?
 だから群を抜いて値段が高いのか!?

 ひーふうーみぃ……5諭吉だと!?
 フザケルナ!
 たかがキノコ数本でこの値段はなんだ!?
 ボッタくりにもほどがあるだろうに!?
 お前の使い道はこうだ!

 
 こうしてキノコののる緑の樹脂で出来た網の皿を咥えた我輩は速攻姿を消す。
 普段やり込められている美也殿への嫌がらせ用に自宅台所のテーブル上へ。
 別名臭い爆弾。
 
 しかし爆発するどころか、それを見た家族全員歓喜の大騒ぎ。
 その日三河家では〝神の贈り物〟として松茸料理三昧だったそうな。
 当然ニャゴローもその恩恵として松茸ご飯を……

 くっさいわっ!
 


 その後商店街の八百屋は暫くシャッターが閉まったままだったそうな。
 そこには『デッドオアアライブ・ドラ猫ウォンテッド』の張り紙が……。
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