【完結】私を殺したあなたと、あなたを殺した私

ノエル

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8 リヴィア視点

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国葬が終わっても、胸の痛みは消えなかった。

小さな部屋の窓辺にある椅子に腰を下ろす。

膝の上にはミラが丸くなっている。

冷たい夜風がカーテンを揺らし、外の星空が見える。

あの広い空のどこにも、もうあなたはいない。

それでも、私はここで生きている。

後悔と痛みを胸に抱えながら。

私は……あの日、あなたの命を救った。
だけどそのせいで、自分の命を失った。

あなたが自ら署名した処刑執行書類も知ってる。
あなたは前世で、私を殺したのよ。

だから、私はもう……あなたを愛することはできなかった。

でも──今度は私が、あなたに同じことをしてしまったのね。
私は、前世のことであなたを責めた。
怒って、恨んで、許せないって思ってた。

なのに、あなたは、私を責めないまま死んでいった。
優しいままで。

……私は、あなたを責める資格なんてなかったんだ。
私だって、結局、同じことをしてしまったんだもの。

そんな自分の本性にも気づかずに、あなたを責めてしまった。
自分の傲慢さが、今はただ、悲しいの。


「あなたはもういない」

誰にも届かない独り言をつぶやく。

ミラの柔らかな寝息が、私の孤独を静かに包んでくれた。





それから私は、猫のミラとふたりきりで生きていった。
セイランのいない世界で、彼の温もりを思い出しながら。

毎晩、窓辺の椅子に座って夜空を見上げた。
あの人がよくしていたように。

季節が巡り、ミラは歳をとった。
私も年とっていった。

セイランにもらった小さな家で、セイランが残してくれたお金で、
日々を静かに送った。
誰にも知られず、誰にも求められず、ただ生きていた。

けれど、それでよかった。
それが、私に残された償いの人生だったから。

ミラが死んだ夜は、ひとりで声を殺して泣いた。
けれどあの子は、ずっと私のそばにいてくれた。
セイランが、私のそばに残してくれた唯一の家族だったから。

私はそれから何十年も生きた。
けれど、そのすべての夜が、あの人を喪った翌日のように感じられた。

最後の夜、私はまた窓辺の椅子に座っていた。
もう目も見えにくくなっていたけれど、夜空のどこかで、彼が私を見ている気がした。

「ねえ、セイラン……
ずっと、あなたのそばにいたかったの。
だけど、こうして遠くから見上げてる人生も、
悪くなかったよ」

夜風がそっと吹き抜けて、ろうそくの火が揺れた。

そして私は、椅子に身を預けたまま、静かに瞳を閉じた。

「……次は、最初からあなたを愛したいわ」



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