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9.会議

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2人が落ち着くと坊っちゃまはまた服頭からを被ってしまっていた。

「坊っちゃまのそのようなお姿久しぶりに見れて感無量で…」

「私もです。部屋に来てみれば明るく清潔になって顔色も前よりずっと良くなりましたね」

2人とも嬉しそうに坊っちゃまを見て微笑んだ。

「そ、その世話係のおかげだ。そいつの言うことを聞いたら痒みも少し治まって楽になったんだ…」

坊っちゃまはちらっと私の方をみた。

「あなたが…」

グランドさんはじっと私を見てるとつかつかと近づいてきた。

怒られる?

父の事を思い出して体を固くするとガバッと抱き抱えられた。

「ありがとうございます。あなたは坊っちゃまの恩人です」

グランドさんは本当に嬉しそうに私に笑いかけた。

ここに来てから初めてグランドさんの笑顔を見た。

「私からも感謝申し上げます」

するとマリエルさんからもお礼を言われてしまった。

「い、いえ!私はお世話係として当たり前の事をしたまでです」

慌てて首をふった。

「いいえ、私達では坊っちゃまの傷ついた心を癒してはあげられなかった…あなた、マリルさんは私達の救世主です」

「そんな大袈裟な…」

「それほど私達の地獄は長かったのです」

グランドさんの言葉から辛かった思いが溢れ出るようだった。

「マリルさんの要望は全てのみましょう!坊っちゃまを治す術をお教えください」

グランドさんとマリエルさんに頭を下げられて私は戸惑うばかりだった。

とりあえず2人には落ち着いてもらい、坊っちゃまを含めてこれからの事を話し合うことになった。

「とりあえず私の事はマリルと呼び捨てでお願いします。だってグランドさんとマリエルさんは私の上司ですから」

「でもねー坊っちゃまよりも幼い子でしょ?私からしたら孫みたいなものだし…そうだ!マリルちゃんって呼んでいいかしら」

「ちゃん!?」

「ダメかしら?」

マリエルさんから悲しそうな顔を向けられ私は慌てて首を振って否定する。

「いえ!大丈夫です」

「私はやはりマリルさんと呼ばせてください。基本敬語が楽なので」

グランドさんは最初の印象とは代わり今は穏やかな優しいおじいさんのようだった。

坊っちゃまの事は孫のように思っていて何も出来ない自分をかなり追い込んでいたようで今の姿をみて肩の力が抜けたようだった。

「もうお好きに…では今後の事ですが坊っちゃまには言ってありますが極力部屋やシーツなど身につけるものは清潔に、それに通気性のいい物が理想です。汗は天敵なので」

「わかりました!早速坊っちゃまの服は全て変えましょう!」

マリエルさんは任せてと腕をまくった。

「食事はボムさんにお願いしてあります。脂分を含んだ食材や芋類などはあまり取らない方がいいと思います。全て悪いという訳ではないのですが…」

「わかりました。そこはボムさんとよく話し合いましょう」

グランドさんが頷く。

「それと坊っちゃまはもう少し健康的な生活をしましょう。部屋に篭ってばかりはよくないです。一日一回は散歩に行ったりストレッチしたり…」

「でも運動したら汗が…天敵なんだろ?」

「天敵ですが全くかかない訳にはいきません。それに汗をかいたら拭けばいいんです。私もお供しますから庭を一緒に歩きましょう」

私は坊っちゃまに、ニコッと笑いかけた。

「わ、わかった」

坊っちゃまは嫌そうだったけど仕方ないとばかりに頬を赤くしながら渋々了承してくれた。

「あらあら…」

私と坊っちゃまの会話マリエルさんがなぜか嬉しそうにニコニコとずっと笑っていた。
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