ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

329.王子

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レミオロンはある部屋に入った。

「ピース」

そしてベッドに寝ている子供に優しく声をかける。

「その声は父上?」

寝ていたピースは起き上がろうと半身を起こした。

「いい、寝ているんだ」

レミオロンは近づいてピースの体を押さえて寝かせようとする。

「大丈夫だよ、今日は熱出てないからね!」

ピースがさらに起き上がろうすると、ベッドのはしの方に手を置いてしまいベッドから落ちそうになった。

「おっと、大丈夫か?」

レミオロンが落ちそうになるピースを間一髪の所で抱きとめた。

「ご、ごめんなさい」

ピースは迷惑をかけたとしょぼんと身を縮めてしまった。

「まだ目の調子がよくないんだ、無理するな」

レミオロンが優しくベッドにピースを寝かせた。

「はい父上、それで新しいお薬は出来たの?」

ピースは父親がいると思われる方を見ながら聞いた。

「ああ、新しい薬師さんも部隊兵の皆も頑張ってくれている。お前も直ぐによくなるよ」

「うん、でも僕は他の子が治ってからでいいよ。だって僕は父上の跡を継いでこの国王になるんだから、みんなを優先してこそだよね!」

ピースが笑って言うとレミオロンは悲しそうにピースの頭に優しく手を乗せた。

「そうだな」

そう声をかけるのが精一杯だった。

部屋を出ると、王妃が部屋の外で待っていた.。会話を聞いていたのか目を潤ませてレミオロンに抱きつく。

「なぜ、なぜあの子がこんな目に」

レミオロンは涙を流す王妃を抱きしめた。、

「城下の子供の親も皆同じ気持ちだ。ピースだけを優先させられない、あの子もそれをよくわかっている」

「そうですね、あの子が頑張っているのに私が泣いていては駄目ですよね」

王妃はレミオロンから離れると無理やり笑った。

「あの子の目は今見えないがきっと君の悲しみを感じ取られるから気をつけて」

「はい」

王妃はふーっと息を吐き呼吸を整えると部屋へと入っていった。

レミオロンが部屋の前で佇んでいるとピースの様子を見に来たクラーク先生が話しかけてきた。

「王子の様子はどうですか?」

レミオロンは諦めたように首を振る。

「やはり目がほぼ見えていないようだ、熱もまだ完全に引いてはいないようだった」

「食欲も無いと聞きました」

「ああ」

レミオロンが頷く。

「やはり急がないと」

クラーク先生が心配そうに王子の部屋をみる。

「いや、ピースは他の子の治療を優先して欲しいと言っている」

「なぜです!  ピース様は時期王になるお方です。何よりも優先させなければ!」

「本人の願いだ、私もそれに応えてあげたいと思っている」

「レミオロン様」

「心配をかけてすまないな、エヴァさんや国民には伝えないように。要らぬ誤解を招いてしまうかもしれないからな」

「ピース様にもしもの事があったらどうするのですか?」

クラーク先生がレミオロンを見る。

「他の親達も同じ気持ちだ、王子だからと言って優先していては民たちの信頼もなくなる。他の子と同じように平等にしようと思っている。今はエヴァさんを信じて待とう。彼女は国の為に頑張ってくれているからね」

「わかりました。医者なのに何も出来ず、本当に申し訳ありません」

クラーク先生が悔しそうに頭を下げる。

「ありがとう、ピースの事を思ってくれて」

レミオロンはクラークの肩に手を乗せると礼を言った。

クラーク先生は部屋をチラッと見ると医務室へと戻っていった。




ベッドで寝ているミヅキにコハクとムーが寄り添っていた。

【みんな…捨てられたりした子だって…私も同じかな…ベイカーさんに拾われる前にも…やっぱり捨てられたのかな?】

コハクが励ますようにミヅキに擦り寄ると…

【みんな…捨てられたのに元気だったね、しかも病気なのに…】

【クゥーン…】

【そうだね、いつまでもクヨクヨしてたって私らしくないね…】

ミヅキはガバッと起き上がると!

「うわっ!びっくりした!」

いきなり起き上がったミヅキに部屋のみんなが驚くと…

「ここでお世話になるんだもん!何か私に出来ることがしたいな!」

「ど、どうしたの?急に?」

アイシャが動揺していると

「みんな…同じなのにいつまでもクヨクヨしてる自分が嫌になったの…こんなんじゃみんなに呆れられちゃうかなって…」

「みんな?」

「うん!私の大切な人達ね」

「そう…」

「大切な人なんて…ここのみんなだけだなぁ…」

エイミーが寂しそうに答えると

「ご、ごめんね…」

ミヅキが慌てて謝ってしまう。

「ミヅキも…あんまり期待しない方がいいよ…」

みんなも哀れみの目を向ける…

「大切にされてたら…ここには来ないからね…でも私はここに来れてよかったって思ってるけどね!マリアさんもラウロ先生も優しいし…まぁ怒ると少し怖いけどね」

アイシャが笑って答えると…

「同じだよ…私も一度捨てられて…拾ってくれた人達がいるの…とっても大事に大切に優しくしてもらったの…みんなと同じだよ…」

ミヅキが笑うと

「そっか…じゃあミヅキはその人達とはぐれたのかな?」

「うん…そうだと思う…ううん!きっとそうだよ!みんながそんな事する訳ないもん!ね!コハク?」

【キャン!】

コハクが同意するように鳴くと

「コハクもそうだって!」

「じゃ 早く病気を治してミヅキがここにいる事知らせないとね」

アイシャが言うと…

「そっか…私がここにいるって知らせないとか…」

ミヅキがうーん…と考えると…ニヤッと笑った…。

ゾクッ…

コハクとムーはなんだか嫌な予感がした…。



「そうそう!よく捏ねてね!アーク腰が入ってないよ!力入れて!」

ミヅキが檄を飛ばすと…

「お前は指示出してるだけだからいいよな!」

疲れた手を振りながらミヅキを睨むと…

「だって、私は足が動かないからね、口を動かすしかないじゃん!」

「なんだよ…誰だ…ミヅキは大人しくて可愛いねなんて言ったやつは…」

ボソッと呟くと…

「それ言ったのアークでしょ!」

エリックが突っ込む

「でもこれ面白いよ!」

ミーナは元気よく生地を捏ねくりまわしていた。

「それで?これで何が出来るの?」

「パンだよ」

「「「「「パン!」」」」」

みんなの手が止まる…

「なんだよ~ただのパンか…」

みんなのテンションが一気に下がると

「パンは…あんまり好きじゃ無いなぁ…固くてパサパサして...」

ミーナもしょぼんとしながらも捏ねる手は止めなかった。

「ふふ…こんな固いパンじゃなくてふわふわのパンが出来るって言ったらどうする?」

「ふわふわ?」

「嘘だー!」

「騙されたと思って頑張って!」

ミヅキは笑うとみんなにエールを送った。仕方なさそうに五人は再びパン生地を捏ねだした…

「で、出来た…」

みんなが疲れた…と腰を下ろすと…

「お疲れ様…少し休憩しようね!パン生地の上に固く絞った布を被せておいてね」

生地を休ませてる間に竈の用意をお願いすると…

「火は危ないから大人に頼もうね料理作る人とかはいるんだよね?」

ミヅキが聞くと

「一応オーガスさんが作ってくれてる…あんまり上手くないけど…」

エリックが言いにくそうに言うと…

「そっか、じゃこれからきっと料理上手になるよ」

ミヅキは不安そうなみんなに笑いかけた。
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