50 / 50
2章
50
しおりを挟む
「お疲れ様ー!」
「カンパーイ!」
いつも以上に忙しい日が終わり私達は家族で居間に集まりお互いをねぎらっていた。
「本当におじいちゃんに助かったよーあの騒ぎの中今日は終わりです。なんて言いずらいもんね」
「まぁな、みんな少し殺気立っていたからな」
お父さんもあれは怖かったと笑っている。
「今日は火がいい感じでな、止めるのには惜しかったんだよ」
おじいちゃんはなんでも無いとチビチビとお茶を飲んでいるが、その横顔は嬉しそうに笑っていた。
ボイラー室に立つ人とは別の人に見えるほどおだやかた。
「でもお客さんが来ないの勘違いでよかったね」
私は膝にのるふくを撫でながらあのお客さんがいない日を思い出してしみじみと言う。
「ジムさん達もすごく謝ってくれてたしね、まぁ何事も無くてよかったわ」
「何事もって…私はすんごい被害にあったわよ!」
お母さんが私に秘密にしてたせいでと言いたいのをグッと堪えた。
「だってジムさんの話を聞くなりなんか向こうがちょっかい出した方が良さそうだったからね、私やお父さんならそんなお客さん来ても上手くあしらっちゃうでしょ?」
「うっ…」
そう言われると言い返せない。
確かにお母さん達が番台にいて、揉め事など見た事がなかった。
「マキもまだまだだな」
おじいちゃんにもそう言われてしまう。
「私はこれからなの、そのうちにどんな問題も綺麗さっぱり流せるようになるから」
「ふくまるの湯もまだここにいて一月ちょっとだ、これから一緒に成長していけばいい」
「そうね、マキもここもこれからよねーその前にマキは恋人の一人でも作って欲しいわ」
「それは先でいい」
お母さんの言葉にお父さんがムスッとしてしまう。
でも私もお父さんの言葉に賛成だ!
「そうよ、別に恋人なんていつでもすぐにできるわ」
「あら、そんな人がいるってこと?」
お母さんが笑顔で乗り出してきた。
「なに!?」
お父さんまで真剣な顔でこちらを向く。
「居ないよー、ここにきたばっかりなのに…」
「さっきはすぐにできるって言ったのにねー」
お母さんはなんだと座り直してお菓子を食べだした。
「今は銭湯のお仕事の方が楽しいの!」
「そうだ、別に急いで作らなくていい。まだマキは若いんだから」
「だよねー」
私はお母さんのお菓子を奪うと上に投げてパクッと口でキャッチした。
「はぁ…こんなお転婆な娘に彼氏なんて無理ね」
「そりゃお母さんの娘だからね」
「まぁ!お母さんがマキぐらいの時はそりゃモテモテだったのよ!現にお父さんだって…」
「おっほん、もうこの話はいいんじゃないか?ほらマキは明日ジムさん達とブルード伯爵の家に行くんだろ?もう寝た方がいいだろ」
お父さんにそう言われてこの話はここで終わりとなった。
「そうね、ライリーさんが迎えに来るって言ってたから早めに用意しておかないとね、あの人すごい早く来るからね」
「真面目なんだろ」
おじいちゃんがボソッと呟いた。
「真面目すぎない?あたま固そうだよねー」
私は笑いながらおやすみと挨拶をして自分の部屋に向かった。
「はぁ…あの調子だとライリーさんの気持ちに気がついてなさそうね」
「ライリーさんがなんだって?」
お父さんはお母さんの呟きが気になり聞き返すがお母さんは笑ってお皿を洗うと台所に言ってしまった。
「親父、なんなんだろうな?」
「ここで新しい家族が出来るって事だろ」
「え?…え!?」
「さてと、わしも明日も仕事だから休むとするかな」
おじいちゃんは慌てる息子をそのままに自分の部屋へと向かう。
次の日からお父さんの監視が厳しくなることをふくとまるに絡まれて幸せに眠るマキは知る由もなかった。
「カンパーイ!」
いつも以上に忙しい日が終わり私達は家族で居間に集まりお互いをねぎらっていた。
「本当におじいちゃんに助かったよーあの騒ぎの中今日は終わりです。なんて言いずらいもんね」
「まぁな、みんな少し殺気立っていたからな」
お父さんもあれは怖かったと笑っている。
「今日は火がいい感じでな、止めるのには惜しかったんだよ」
おじいちゃんはなんでも無いとチビチビとお茶を飲んでいるが、その横顔は嬉しそうに笑っていた。
ボイラー室に立つ人とは別の人に見えるほどおだやかた。
「でもお客さんが来ないの勘違いでよかったね」
私は膝にのるふくを撫でながらあのお客さんがいない日を思い出してしみじみと言う。
「ジムさん達もすごく謝ってくれてたしね、まぁ何事も無くてよかったわ」
「何事もって…私はすんごい被害にあったわよ!」
お母さんが私に秘密にしてたせいでと言いたいのをグッと堪えた。
「だってジムさんの話を聞くなりなんか向こうがちょっかい出した方が良さそうだったからね、私やお父さんならそんなお客さん来ても上手くあしらっちゃうでしょ?」
「うっ…」
そう言われると言い返せない。
確かにお母さん達が番台にいて、揉め事など見た事がなかった。
「マキもまだまだだな」
おじいちゃんにもそう言われてしまう。
「私はこれからなの、そのうちにどんな問題も綺麗さっぱり流せるようになるから」
「ふくまるの湯もまだここにいて一月ちょっとだ、これから一緒に成長していけばいい」
「そうね、マキもここもこれからよねーその前にマキは恋人の一人でも作って欲しいわ」
「それは先でいい」
お母さんの言葉にお父さんがムスッとしてしまう。
でも私もお父さんの言葉に賛成だ!
「そうよ、別に恋人なんていつでもすぐにできるわ」
「あら、そんな人がいるってこと?」
お母さんが笑顔で乗り出してきた。
「なに!?」
お父さんまで真剣な顔でこちらを向く。
「居ないよー、ここにきたばっかりなのに…」
「さっきはすぐにできるって言ったのにねー」
お母さんはなんだと座り直してお菓子を食べだした。
「今は銭湯のお仕事の方が楽しいの!」
「そうだ、別に急いで作らなくていい。まだマキは若いんだから」
「だよねー」
私はお母さんのお菓子を奪うと上に投げてパクッと口でキャッチした。
「はぁ…こんなお転婆な娘に彼氏なんて無理ね」
「そりゃお母さんの娘だからね」
「まぁ!お母さんがマキぐらいの時はそりゃモテモテだったのよ!現にお父さんだって…」
「おっほん、もうこの話はいいんじゃないか?ほらマキは明日ジムさん達とブルード伯爵の家に行くんだろ?もう寝た方がいいだろ」
お父さんにそう言われてこの話はここで終わりとなった。
「そうね、ライリーさんが迎えに来るって言ってたから早めに用意しておかないとね、あの人すごい早く来るからね」
「真面目なんだろ」
おじいちゃんがボソッと呟いた。
「真面目すぎない?あたま固そうだよねー」
私は笑いながらおやすみと挨拶をして自分の部屋に向かった。
「はぁ…あの調子だとライリーさんの気持ちに気がついてなさそうね」
「ライリーさんがなんだって?」
お父さんはお母さんの呟きが気になり聞き返すがお母さんは笑ってお皿を洗うと台所に言ってしまった。
「親父、なんなんだろうな?」
「ここで新しい家族が出来るって事だろ」
「え?…え!?」
「さてと、わしも明日も仕事だから休むとするかな」
おじいちゃんは慌てる息子をそのままに自分の部屋へと向かう。
次の日からお父さんの監視が厳しくなることをふくとまるに絡まれて幸せに眠るマキは知る由もなかった。
1
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(42件)
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結が残念です~。まだまだお話読みたかったです。第3部期待しています。
営業時間中だしね。
阿呆は消えたので、安心して入って貰いましょう(^ω^)