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第七十九話 ドラゴニアの子達と、日本の高校
しおりを挟む元いた国の名を、ユータは知らなかった。
ガンダ達も、知ってはいたが、思い出すことが出来なかった。
外国と関係なければ、自国名なんかほとんど使う機会はない。
で、あの国は国としてはもう滅んだので、今更知る必要もない。
それを誰も気にしていない。
まぁ、その王都から連れてきた孤児院の子たちは、魔法使いの子達と違って教育とかほぼ受けていない。
なので学校の最初から(1年)始めた。
魔法使いの子たちは中程に入った。
皆、最初は萎縮していたがそのうち慣れてきた。あの王都以外からも、毎月のように他の土地、孤児院から送られてくる子たちがいるのだ。
その子達を見ると、自分の来たばかりの頃を見ているようで、どうにか世話したくなる。
そうやって、前に居る子達は、新しく来た子達の面倒を見る。
勿論、聞かない子もいるし、斜に構えた子もいるし、でもそういうのは、やはり元そういう子だった子達がかまう。やがてその子もその中に入っていく。
「おちこぼらせない、んだな、、みんなで」と、ユータは思った。心配していたのだ。一人だけぽつんとなる子、それがその子の性格から、人と離れたがるというものから来たとしても。
でもずっと見ていてわかった。そんなの杞憂だと。
仕事をしようとしない子には、そこのベテランの子達が、その子がそそることを見つけ出す。いつの間にかその子も仕事をしているようになる。遊んでいるつもりが仕事になってる。
仕事は楽しい方がいいだろう?と、
以前、誰かが言っていたと思う。それなんだろうな、とユータは思った。
学校を見てても、皆楽しそうにやっている。できなくたってさほど問題なわけでもないのだ。
自分は何も出来ない、と思っている子でも、皆と一緒に居ると、いつの間にか何かができるようになってる。
ボクもそうだった。ユータは思い返す。最初に来たときどうだったか。皆と一緒に、言われるようにやっていたら、いつの間にかできるようになっていた。そのうち一人でもできるようになった。
お肉調達も、かなり前から一人でも何度も行っている。一人だと話す相手がいないからつまらないけど。
それも、その、話すことも、できるようになっていた。向こうじゃ苦手だったのに。
何が違うのか?と問われても、ユータは答えられないだろう。
でも、発展していないこっちのほうが、貧乏に見えるけど、皆幸せなんだ、と顔を見ればわかる。
なんかちょっとしたことで死ぬことも多い。そばに回復させることができる人がいないと、死んでしまう。猛獣や魔獣に比べると、ひとは簡単に死ぬ。そういう世界。
でも、ドラゴニアではなくたって、中間の街やゴンザールだって、皆生き生きとしている。
寡黙な冒険者でも、その姿は活き活きとしているのだ。
「死が、身近な方が、生を感じられるんだよ。無意識にそう生きる。」
いつの間にかユータの側にドーラが来ていた。
ユータは今日一日、一人で見て回っていた。
たまーに、ユータはこういうときがある。
ドーラは続ける
「ひもじさを身にしみて知っているから、美味しいご飯を食べるのが幸せなんだ。場合に寄っちゃ、うまくなくても腹いっぱいになれるだけでも幸せだと思える。」
「親がいなく、庇護してくれる大人もいなかった。だから自分が小さい子達を庇護してやりたくなる。小さい子達が少しでも喜ぶと、それが嬉しい。」
「奴隷や、拾われた犬猫みたいな生活していたから、自分で働いて生み出すのが楽しい。一人前だと思えるようになっていくのに喜びを感じる。」
「そして、自分は先に居る者なのだ、と理解している。自分がこの国を作っている一人であるんだ、とわかっている。だから、後から来る子たちにも、それを判るようになってもらいたい。自分達の家なんだ、国なんだ、って」
「ゆーた、お前も、そうだろう?」
ドーラに言われて、ユータはハッとなった。
今まで一生懸命やって来たのは、、、そうだ、、皆のいい顔を見たいと思っていたからだ、と。
その結果が、この国ができたこと、他国との友好、敵の殲滅、いい人たちと助け合うこと、勿論向こうからいろいろ持ってきたことも。
みんな、そのためだった。
「ここにいるのは、みんな一緒なんだよ」ドーラ。
「自分ができることをやる。それだけで、ここが存続できるんだ。だから、、、」ドーラ
「うん、、ボクも、できることをやる。」ユータ
まぁ、非情なことは俺がやるけどな、、と思うドーラ。
(私もいますからね。親をしっかり使いなさい。)と、ダンマスが念話でドーラに言ってきた。
(そのときは、お願いします)ドーラ
(まかせなさい!)ダンマス
その後、ドラゴニアとゴンザールに手を出すアホウな国などはなかった。
ーーーー
日本では、
ユータも高校三年生になり、進路をはっきりさせろと先生に急かされるようになった。
「国の経営に関わってます。とか言えねーよな、、信じる者なんかいないだろうしこっちには」ドーラ
今日は学校に来ている。その食堂で昼食を食べている。
ドーラとタカとユータで。
タカも結構まっちょになりつつあり、背も伸びてきていた。道場に通うという運動がよかったのだろう。
あと、運送屋にもバイトに行っているし。
ユータのバイトは、メインは工場だ。機械での金属加工。
量産品ではなく、手動の機械で確認しながら作っていく仕事。今時はそういうのはあまりないが、ユータの級友の父さんと爺さんはそれがとてもうまいので、仕事があるそうだ。
そして、そういう仕事をする者自体がいなくなってきている。
「大工だってそうだ、もうかんなをまともに使える者などいないって嘆いていたわ、、ツマラン時代になったもんだな」と、級友の爺さん。
「まぁ、魔法でなんでもかんでもやってたら、俺らも同じになってたな、、、」と少し反省するドーラ。
でも、ドーラは基本”魔法は物理で使う”だから、いいんだろうと思うユータ。
ユータもドーラも、日本に居る時に魔法を使うのに結構慣れてきた。
ひと目が無いことを確認するのは、常に弱くサーチを張っているので、必要な時に使える魔法を選んで使える。
ひとがいても魔法だとわからなければいいのだ。
ただ、子供はなんかしらないがサーチにひっかかりにくく何度か見られたことあるが、「夢を与えてるんだぜ!」とドーラの言い訳?で、Okとしている。
「・・・社会を見てみたい、世界を見てみたい、って、旅に出ます、って言えばいいんじゃないかな。帰ってきてから、進路を決めます。もしかしたら向こうでなんかの学校にいくかもしれません。って言えば。」ドーラ
「そうだね、、それにしようか、、事実に近いし、、」ユータ
よいしょ、と現れたダンマス。
びっくりして当たりを見渡してみると、人はいない。あれ?授業始まってる?
「ちゃんと確認して出てきますよ、、いくらなんでも、、」ダンマス
「あれですね、この世界でも、まだ結構王族いるんですね。興味あって見てきたけど、その中でホンモノは数人でしたね。で、彼らと友好を深めてるんですよ今。」
・・・・・・・・なにやってるんだろう?(ドーラ、ユータ)
「なので、そっちの国に行っているってことにしてもらえますよ?どうですか?」
「ダンマス、もしかしたら、バラしたの?全部?」ドーラ
「いやですね、一部だけですよ。魔法見せたり、とか、、」
・・・・・・・そーですか、、、
「それでは、それでお願いいたします」ユータ
「ユータがそーゆーんなら、まぁ、、いんじゃないかな」ドーラ
「それでは、先生にはムータン王国とポイ王国に行くと言ってください。向こうに知り合いがいると。」
「どこだかわかりませんが、わかりました」ユータ
・・・・・・「あとで地図でしらべといてね。」ダンマス
ダンマスの方が、なんかこっちの世界を知ってきているように思える件、、、
ーー
その数日後
で、学校では卒業を皆が自覚し始めた頃である。
「そろそろ、学校一を決めねばならぬではないかな?皆の者」
とか、級長がいい出した。
「ああ」とか「おお」とか、肯定的な反応しか無いのが痛々しいんだが、、(ドーラ)
えー、、どーしよー(ユータ)
(ユータは魔力も使わず、素のまんまやればいんだよ!魔力なんか使ったら人死でるぞ!)ドーラ
(えー、、ボクも出るの?)
(あほか!みなユータとやりたいがためにあんなこといい出してるのわかってないの?!!)ドーラ
(そんなことないでしょ?なんでボクとなんか、、)
(お前少しは自覚しないと皆が哀れ過ぎて俺泣いちゃうよ?)ドーラ
・・・・・・
まじですか?と思ったが、そんでも全くピンとこないユータだった。
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