197 / 253
第百九十二話 野菜
しおりを挟む宿を取ってから風呂屋に行く。風呂に行ってから宿を探すと湯冷めするので。いい宿が無ければ何軒も探すことになるから。ちなみに宿の料金を払う時に「お金がいい?肉がいい?」をまたやってみた。
ここでも「肉がいい」と言われた。街が良さそうだったので少し意外だった。
2ブロックほど先にあった銭湯はデカく新しかった。
じゃぼ、じゃぼっ、、ちゃぽん、「ひふぃーーー、あーー」ドーラ
「うん、いいねぇ、、」ユータ
少し熱め。
「やるなぁおまえら」
と、その湯に入っているおっさん。
「え?」
「この湯船はあっちより熱いんだ。」
ああ、なるほど、、触って向こうがぬるいんで何気にこっちを得たんだんだが。
「あっちはぬるいからねー」ユータ
「へぇ?、おまえらここらのモンじゃないな?」
「うん、ドラゴニアから」
「・・なら、そうか、。いや、銭湯はドラゴニアから来たらしいからな」
へぇ?
そうなんだ?
「もともとはなかったの?」ユータ
「ああ、俺らは水浴びだけだったぞ。というか、どこでもそうだろ?」
「そうなの?」ユータはドーラを見る
「・・・そうかも?」
ドラゴンだからね!知らなくても仕方ないね!
「・・・まぁ、なんだ、良いもんだよこの湯に浸かるってのは」
「だよねー」
「だろう?!」
おっさんはこの街の近くの百姓。主に野菜などを作っているそうな。昔は大変だったが、今はかなり楽になってるとのこと。
「毎日畑に行くのが楽しみになったのは、領主共が消えてからだ」
「盗まれると判っているものを作るのはきついよな」ドーラ
「ああ、・・・それでも、暮らしていくに十分な程度残ってればまだよかったんだが・・」
「ここも、そんなにひどかったのか?」ドーラ
「逃げようと何度考えたことか。」
「なんで逃げなかったの?」
「畑って、土ってな、簡単に作れるもんじゃないんだ」
合成肥料撒けばいいっていうなんちゃって農業じゃないホンモノの農業をやっているホンモノの百姓が年月掛けて作った畑。農家の多くの畑は、その畑に何世代もかけたものだ。
財産だ。
自分の畑の土を知っている。
が、
逃げた先で、またゼロから作れるだろうか?どれだけ時間がかかるだろうか?
(彼等には魔法が無いからな)ドーラ
魔法によって、悪いものを取り除くことがそこそこできる。なのでドラゴニアの田畑は初期の苦労はほぼ軽減されている。
それを人力のみでやっていたら・・・。
「そっか、よくなってよかったな!」
「ああ、おかげさまでな!」
(ドラゴニアのやったこと、知ってるんだな)ドーラ
(そうみたいだね、もう知れ渡っているのかな?)ユータ
ざばっつ!
湯船から立ち上がるおっさんは、鋼みたいにごっつい、ずんぐりむっくりのもろ百姓体型だった。顔、首、腕は真っ黒に日焼けしてこびりついているように。
(戦士みたいだね)ユータ
(おう、タンク体型だな。良いタンクになりそうな)ドーラ
こっちには機械が無い。全て人手と牛くらいでやらねばならない。
自然に馴染み、うまくそこで生きて、時には闘う、百姓の漢。そう見えたドーラとユータだった。
銭湯から出て、外の屋台で冷たい飲み物を買った。小型冷凍庫がある屋台らしく氷を3個くらいいれてくれた。
外は丁度気持ち良いくらいの夕方の風が少しある。
のんびり通りを見ながら宿の方にあるく2人。
食堂も繁盛している様子だ。
道端にむしろを敷いてる物売りもまだ居る。
だが、道端の家々の灯りで通りは明るい。
「街灯って無いんだね」ユータ
「ああ、もうそろそろできるんじゃないか?」ドーラ
?
「今までは灯りの魔石とか盗まれちゃうんで作らなかったんだろ?」
「なるほど」
悲惨な情況だったのだ今までは。灯火の魔石やランプなどが手に入れば、うちでの灯りの費用が助かる。
一銭でもどうにかしたい、というレベルだったのだろう。
宿の夕食はイノシシ。ユータの支払いした2頭のイノシシ。店主は1頭でも貰いすぎだと言ったが、お金より肉を優先した情況は、多分この街は見た目よりは少しまだ厳しいのかもしれないから、2頭あげた。
イノシシの厚焼き(ステーキ)、いの肉の入ったゴッタ煮スープ、ドレッシングを揉み込んである野菜サラダだ。
店主直々に持ってきた。
「いいのか?こんなに?」ドーラ
「いーの!いーの!あんなに貰ったんだから。この街は野菜がうまいから楽しんでってな」
「おう、ありがとう!」
「うん、いただきます!!」
確かに旨い。煮込まれた野菜も、まだ新鮮なサラダも、野菜はうまかった。
「これ、あのおっさん達の野菜だよな」
「うん、それっぽねぇ、、無骨でマッチョなホンモノが丹精込めて作った野菜、って感じだねー」
「そうだなぁ、そんな感じだなぁ・・。」
イノシシのステーキもうまかった。
もともとこっちの世界のイノシシは臭みが無く、肉もよくたたいて硬さを取れば美味しいのだ。
こっちの野生動物には寄生虫もいない。
腹いっぱいになったら速攻眠くなった、、
2人は部屋に戻ってそのままばたんきゅー!
0
あなたにおすすめの小説
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる