放課後はダンジョンに行って憂さ晴らしのつもりがいつの間にか学園最強になってたことに気が付かなかった

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第二百七話 ギルド支部訪問 2

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ムッチの居る村はほとんど外部との接触はないそうだ。
ムッチがここに着いたとき、10年以上ぶりの外の者だと言われたそうな。
この村への道はここで終わりで、先はない。
なので、歩きだと優に2日は掛かるこの前の村からこの道に入る者はほとんどいない。
途中まで前の村の畑があるので、その畑に行く者達が幾分利用するだけ。

ムッチの居る村は誰も名を知らない。皆俺の村とかウチの村とか呼んでいる。
そもそも外と比較する機会が殆ど無いので、その呼び名さえめったに聞かない。
それほど隔絶された村だ。

ギルドが森の猛獣や魔獣の量を調査しなかったら、その森の近くのこの村を認識する者などいなかったろう。
ムッチは「調査し、必要が有ればギルド支所等設置してください。必要なければ調査だけお願いします」と言われてここに来た。
村長格の長老に話を聞くと、できれば滞在して村を守ってほしいとのこと。
だが、得た獲物は村のものとして分けて欲しいと。まぁそれはよい。貧村なので助け合いは必要だろう。
でも、あんたは外部の者なので何をするにしても一つ一つ村人の許可をとるとこ、など言われたら「んじゃ帰るわ、自分らでどうにかしなさいね」と言うしかなかった。

そこからこいつらダメな奴等だとわかり、魔法を見せつけた。
でも、それを見た村人たちは「こりゃ使えるわ、使い倒してやろう」という気がミエミエだったのでマジ帰ろうかな?と思ったが、ここでこんなゴミみたいのに引き下がるのもつまらないと思い、村に居た慢性病の者や骨折がへんなふうにくっついてそのまま足がおかしくなった者などを治癒魔法で治した。その際に、

「これは神に許された者のみ使える魔法だ。俺が見捨てると、自動的に神はこの村を見捨てる。俺は、おまえらの腐った根性は神に愛される資格にみたいないと、今現在思っている。おまえらがこのままでいるというのであれば、俺はこの村に居る気は全く無い。お前ら、良い人間になる気があるのかどうか?」
と問うたんですよ、とムッチ。

それがこの村に来て3-4日後のことだと言う。
で、今はこの村に来て10日ほど。様子を見ているという。
「まだまだこの村の者達には”良い人間”とはどういうのか全くわからない様子だが、少しずつ躾けていっている。」
とのこと。

「で、貴方方を神の子として長老と村人に紹介します。あとは適当にお願いします」ムッチ
「おう!まかされた!」
「おもしろそうだね?だめだったらダメでいいんでしょう?」
ドライなユータ。

「勿論!よくならないんだったらそれはそれで早く判るほうがいいし。わかって他の良い人の村を救いに行くほうが余程良い」ムッチ
うん、そりゃ当たり前だね!


長老の家。ここもあばら家みたいだが、村全体がもっとあばら家なのでマシな方。
ムッチが本気に成れば魔法でどうにかして上げあげられるだろう。だが、今のここの奴等だと頭に乗るのがみえているのでやらない。

「このお方たちは神の子だ。逆らった国々は滅亡しだ。神はこのゲスザンスとゴーミは神にふさわしくないと見ている。なので、今はゲスザンスの者達、ゴーミの者達は観察されている。もし生きるにふさわしくない、他の良い生き物たちに害悪だと判断されたら、お前たちは全員その時に一瞬で全員消える。楽だぞ?消えるだけだ。
お前たちにはそのほうがよいのではないか?もう苦労しないでいいんだ?どうだ?」
と、ムッチは少し煽り気味。

「・・・むぅ、、たしかに厳しい生活だが、生きる権利は
「無い。お前らに生きる権利を認めるのは神のみだ。お前らが主張していいものではない。おまえらがそれを主張するのはお前らが神より上だと思う奢りでしかない。それならば、消すのみだ。消えたいのか?」ドーラ

唖然として固まる長老。
「それ以上何も言わないほうがいい。神はお前らごときにかかずらわる気はない。不要と判断したらすぐ消し去るだけだよ?ほら、早く這いつくばって許しを請いなさい」ユータ
これですぐうごかなければだめだなー、と思うユータ。

だが、ぎりぎり奴等にも危機を感じ取る本能が僅かにもあったのだろう、
長老が平伏し、固まっている他の者達にも強く命令した。
「へへーー」(そこにいた村のもの全員)

ユータは全員を表に出し、村長の家の前の通りの中央に魔法で塔を作った。大きく高い塔。半径3mくらいで高さ10mほど、上の方3階分にだけ窓が四方に開いている。村の外からもよく見えるほど。
入り口は無い。窓のある5m以上の部分までは扉も窓も何もない。入れないようになっている。
その前に祈る場所を作った。

「ここで毎日祈れ。毎日、生きていることを神に感謝する祈りを捧げろ。祈りの多さで、そのうち上の窓に灯が灯ろう。その灯り方で、お前らの祈り具合がわかる。お前らがどれだけ良い人になったかわかる。いろいろなことが全てわかる。幾日経っても灯が灯ることさえなければ、その時は明日はないと理解しろ。」ユータ

善悪正邪を全く理解しないクズを、幾分でもまともにしたかったら、まず感謝という概念をわからせることだ。
屑なので、利があれば旨く騙しとろうとか思うので、利での感謝は見込めない。
なので、「生かして貰っていることへの感謝」が、最も妥当になる。

「この村を出て他の土地に行っても、そこで必ず祈れ。でないと、消えることになる。」ユータ
逃げられない、ということを理解させている。

ムッチは(なるほどねぇ)と感心した。
が、これはまだ素朴なこっちの世界のものだから通用する手なのだ。
だからダンマスは向こうでは簡単に消してきた。何をどうしても手に負えないとすぐにわかったから。そういう者達に使う時間など一瞬たりとも無いのだから。ムータンのように救わねばならない所があるのだ、一秒でもそっちに使うほうが良い。

心の底からの「なさけ」があるだけで、その社会は全く違うものになる。
たったそれだけのことがでないから消されかけれいるこの村。村という形のそこの人々の集合体。

ユータもドーラもムッチも、
これは一つの賭けというかテストケースだと思った。
消すしか無いかな?と思っていたゲスザンスとゴーミの者達が、害悪な生物からためになる生物にかわれるのかどうか?という。

(むっち、狩った獲物はここにお供えし、数時間後にムッチが下賜してあげる仕組みを作ってね。この塔の管理はムッチのみにして。頼むね!)ユータ
(承知しました)

ユータは通りに魔法を掛けて一瞬で石畳のきれいな通りにした。
そしてムッチの家をドラゴニアによくあるような3階たての、でももっと広い家にした。
一階をギルド風にして。これも一瞬でやった。パフォーマンスだ。

村人たちは目を丸くした。
塔のみならす、目の前で通りを、そしてムッチの家=ギルド支所を作ったのだ。

ドーラが浮かび上がった。ユータも一緒に浮かび上がる。
「忘れるな。おまえらを生かしてくれている神を崇めよ。毎日感謝せよ。ゆめゆめ忘れることなかれ」

そしてどんどん高く昇り、ドーラは翼幅2キロほどのドラゴンになって、高空に一声吠え、米粒ほどのユータを載せて優雅に飛び去った。

((ムッチ、たのむねー))ドーラ、ユータ
(ありがとうございました!!)ムッチ

ーー

演技に疲れたドーラとユータは、そこから一番近い大きめの街に転位。勿論ドーラはいつもの姿に戻っている。
で、ギルドを探し、いい宿無いか聞いた。
さすが大きい街。うちのギルドが早い時期から出てきているだけあって、マシな宿が多くなっているとのこと。
騙さないだけではなく、飯がそこそこ旨く、清潔な宿になっているという。
冒険者をやぎや牛以下に扱ってきたゲスザンスがこうもかわるものなのだ!

「善意からではないですよ?ここの奴等の腐り具合は全く変わってませんから。損得だけですよ。良い宿だとギルドから紹介されたり推奨されるんでそうしているだけです。泊まったとき、宿の連中が気にくわないと思ったら、何されるか・・そういう危険は全く変わっていません。でも、証拠など無くともその疑いが出ただけでウチはそこを危険認定しますけどねw」ギルド職員(元ドラゴニア・ゴンザール冒険者)
そうすることしか安全策はないのだから。


それでも清潔な宿はありがたい。
街にはギルド経営の銭湯も出来た。まともな冒険者達に転職してもらって経営してもらっているそうだ。
ゲスな奴は、一度でもなんかしたら出入り禁止にして魔法で物理的に銭湯に近寄れないようにしてるとの事。
他にもいろいろあり、やっと最近はここの奴等がギルドに悪さしたらまずい、と理解し始めたらしい、とのこと。
「消す?全部消しとく?」ユータが、番台に座っている銭湯のリーダーだと言う元冒険者に訊く
「んー、どこまで躾けられるか、やってみたい気もするんですよ。ダメな犬を拾ってきた、みたいな?」
「あー、なんとなくわかる。んじゃ少し様子見ね?。そうだね、1年経ってもダメなら、他に悪影響になるからね、消すよ?」
「はーい、適当なとこで諦めます!」銭湯のリーダー
諦め前提かい!!

きれいに保たれている風呂は気持ちよく、そして客を選別しているのでクズはおらず、のんびり入れた。
風呂から上がり、宿に戻って飯を食う。そこそこ美味い。
給仕に「昔からしたらすごく美味しくなったね」と言うと喜んでいた。
こっちの者でも褒められたらうれしいんだなー、と少し新鮮に思う。

エールを頼んでみた。ドラゴニアやゴンザールはもとより、北西王国のエールよりも今2つくらい下だが、これも以前に比べたら”飲める”ほどになっている。我慢して飲む、では無く、フツーに何気に飲めてしまうほどなのだ。
かなり良くなったと言える。

テーブルを片付けにきた給仕に、
「このまま良くなていけば、いずれ北西王国やラットビア並まで旨くなるんじゃないか?」と言う。
「そこまで?」とびっくりしていたが、いくよ?とユータも断言した。
素早く皿をまとめ厨房に戻って行き、中で誰かに報告してる様子。

おっさんが厨房から顔を出してこっちを見る。

ドーラは手を降って念話で
(ドラゴニアのドーラだ。聞いたことあるだろう?精進すればおまえの宿は良い宿になる。手を抜かずゲスザンス一を目指すが良い)
と言っておいた。
本気でやればそこまで行ける資質はある。あとは真面目になれるかどうか?なだけだ。
この言葉がそのきっかけに成れば良いと思うドーラだった。
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