疑う勇者 おめーらなんぞ信用できるか!

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下−111 冒険者のための宿だったのに

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「主様、なんか、一般向けの宿も作ってくださいって要望、結構来てるんですけど、、」
と、朝食を運んできてくれたメフィ。

「え?ここに?中途半端じゃないの?王都までだろ?」
「えー、そーなんですけど、、温泉がこっちのがいいって、、露天風呂ですかね?」
なんだろう?まぁ、、あっちのは客層が町の人たちだからのんびりしてないからかなぁ、、

こっちは数日のんびりできる環境になっている。
最近露店も増やし、魔導ビジョンも付けた。
昼間の客もちらほら見るようになった。なので露店も朝早くから開けるようになった様子。

「ふーん、なんか発展?してるんだねぇ、、」
「まぁ、諦めてください。」
「ま、騒がしくなったらもっと奥に引っ越すから」
・・・・・

で、仕方ないので食後に、宿の向かいの露店の並ぶ奥に旅客用の宿を作る。
基本全部一緒。前庭をでっかく作り、厩を作る。馬車と馬のため。

ちょいどいいや、前に牧場作りたいと思ってたんで、、
その裏手にでっかく牧場を作った。
ぜんぶ街道挟んで森と逆側。安全度は高いからね。

牧場もあったんで、たまに翔太達も手伝ってくれ、3日ほどでできあがった。

「ふぇー、、疲れたわ、、あとは頼むなメフィ、、」
3日目の夕食時、飯を運んできてくれたメフィに頼んだ。
「任されました。お疲れ様でした。」
気を利かせたのか熱燗2合徳利が付いていた。

ーー

数日後から、朝早くから結構騒がしい。
冒険者たちだと、ほぼ話をしないし、話をしても低い声で話すのが癖になっているので周囲は煩く感じない。

なので、向かいの宿に出入りする者達だろう。
露店の合間に出入りの道を作って奥の宿への出入りに使うが、一泊ではなく連泊していく者達も少なくない様子。なので、朝から外に出て露店や店屋をのぞいたりしてる様子。
茶屋で朝からいっぱい、ってのも見える。

宿の前に立ちそれを見ながら、
「温泉街かよ、、」イサム
「街ってほどじゃないけど、、立派な温泉銭湯ありますしね、、王都のよりこっちを気に入ってるんでしょう?」
翔太が来ていた。
「ああ、そうみたいだなぁ、、王都に居てくれればいいのに、、」
苦笑する翔太。

露天風呂もあり、そこから見える景色は自然一色。小山になってるんで遠景が楽しめる。
酒も飲め、そのためにぬるめになってる露天風呂。
まともな商人になりゃそのくらいすぐわかる。気が利いている、と。

「基本、冒険者のための村、なんだがなぁ、、」
「まぁ、、そうでしたね、、」
村にも街にも商人も必要だ。良い商人は人々の生活を助ける。

だが、冒険者や防衛隊の連中は命をかけて戦う毎日。
いや、そうでもない仕事もやらせちゃってるけど、、銭湯とか宿屋とか物売りとか畑とか牧場とかいろいろいろいろ、、、でも、基本、いざとなったら命がけ。

だからこそ、なんか、少しでも平和な時はより良い時間を過ごしてもらいたいなぁ、、とか思って、、、

そういうのも、翔太はわかってきていた。

イサムにくっついていろいろなことをやってきて、自分らが戦うこと以外にもできることを知り、冒険者以外の他の生活をしてもいいんだとわかり、でもそれでも冒険者をして、、、、、まぁ、、冒険者どころではない何かにされちゃったけど、、、
でも、そういうのを知ったから、気持ちに余裕を持って冒険者できていたし、日常を楽しめるようになった。

それまでとは、今思うと、雲泥の差、だ。特に将来に対する不安がなくなることはないけど、ほとんどへった。
体がうごかなくなれば、物売りと小さな百姓でどうにか成るなと思うし。
尤も、今では初心者冒険者達を鍛えるのが本命だ。生き残らせる、ために、鍛える。

たまに死体で担ぎ込まれ、イサムさんでも間に合わないこともある。でも、鍛えていなければもっと早く、もっと多くのそれがあっただろう。
だから、俺には教官は合っている。
と翔太は思っている。

だから
「冒険者のための」
というイサムの思いも、翔太にはそれなりによくわかる。


冒険者に、基本的には騒がしいのは居ない。
騒がしくしている奴は、不安さ、孤独(寂しさ)の裏返しだ。
経験を積み上げ、強くなっていけば、それもなくなる。寡黙になっていく。
でも話をするのは皆好きだ。生きているのを感じるしな。

寡黙は、常に彼らに、彼らの人生に付き添っている、一種のレクイエム。
経験を詰めば積むほど、失った仲間は増えていく。
それが彼らを寡黙にする。

だから楽しいのが好きなんだろう、だからイサム達に付いていくのが気持ちいいんだろう。
ここの宿に泊まる者達の多くは、知ってか知らずか、そういう者達だった。
翔太達にしても、そういう自分達を理解したのは、最近だ。

・・・・・
「ま、、うるさいな、と思い始めたら、今度はもっと奥に引っ越すわ」
「その時はつれてってください」
「おう」

死ぬ可能性の高い世界。一種のほんのわすかな差で生き残った、それが何度もあった者達。
その事を自覚している者達は、言葉は少ない。わかるから。


ーー


少年アタル。
今は旅の冒険者一行。
アタルは院長先生と話をし、北にあるという中央王国を目指して、そこに引っ越そうと持ちかけた。
話を聞くと悪い話ではない。実際、ここの子2人は魔法が使えるように成り、剣も使えるようになっていた。
そして、あの寄付をくれた冒険者、あの者の言葉は軽いものではなかった。
少なくともそれなりに人を見る目はあるのだ院長は。

あの寄付してもらったお金も、このままでは食いつぶすだけだ。
だったら、、と、。

この孤児院は小さい子が多い。7歳のアタルが年長者なのだから。
なのでロバを2頭買い、院にあった荷車を小さめの馬車に手直しした。
数日かけて干し肉を作り、多めの水を用意して、
彼らは旅立った。

基本野宿。川があったら体を洗い、洗濯をし、雨が降ったら木ノ下で雨宿りをし、あせらず、でもしっかりと進んでいった。

南部方面はなぜかイサムの活躍はなかった。
それは悪徳な国がなかったから。
そこそこ平和な、どんな面でもそこそこな小国が幾つかあるだけだった。

ただ、灌漑をするでもなく、あるがままの農耕など、限度はある。そして人口は増える。
貧乏が増える。
そんなごく普通の世界。

為政者が、ふさわしい能力がなければ、そういうのがごくあたりまえだった。

旅をしながら、アタルと2人の少年、3人で獣を狩って食料を得、食べられる植物を採取し食料を得て、溜まった皮や牙などを街に着いた時にギルドに売り、生活しながら旅を続けた。
そんな貧相な者達を襲う者はいなかった。
裕福な土地ではないが、そこまで貧相な土地でもなかったのだ。

特に最近は北からの商人も増え、この南も上(中央~北部)の方の景気の恩恵を受け始めているのだから。

「はやく着かないかな」
「うん、着いたら訓練してもらって、俺らもウハウハになるからな!」
「「おう!!」」
久治(クジ)、大吉の2人は、アタルの影響で、スタンビード祭りでウハウハになるんだと信じている。

今は獲物を解体し、干し肉を作っている最中だ。
角イノシシを3頭しとめた。順繰りに出てきてくれたのが幸いした。一遍に出てきていたら狩ることなでできず、逃げていただろう。

川があったところまで戻り、解体して肉を薄く細切りにし、糸で結んで木の枝に吊るす。
(南部なので)日当たりがある日なら最低1日。まる2日干せば充分だ。長期保存したいなら、それからもう2-3日、様子を見ながら干す。
1日だけ干したモノは、食べる時はなるべく火を通す。オイシイし寄生虫がいても死ぬ。

なので、今日明日はゆっくりできる。
3人は、も少し下の子、4歳の子達に少しだけ鍛錬を付けた。
3人は自分達で、今まで教わってきた鍛錬を毎朝繰り返す。
時間が有ればもっと行う。
特に魔法のは一月くらいで効果が見える場合もあるので楽しい。

一行10人ほど。
まだまだ先は長い。

しかし、皆知らなかったが、それでももう道程の1/3を越していた。
あの小さな村を出てから一月。
移動が日常に成り、持っていた少ない金を食いつぶさずに過ごせるようになり、この生活にもなれてきた一行。

先にはそれほど高くはないが、山脈もある。勿論越えるための峠の道は整っているが。

そして魔物の森に行き着く前には赤豚領やその、南の領がある。
へんな奴らに素質があるとかどわかされねばいいのだが、、
この先も、いろいろと危険はいっぱいだ。
気をつけろ!アタル達!!
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