天才勇者は、二度目です。

秋良

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1.二度目の勇者

2.始まり

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俺の名前は、新井 啓人。
高校三年の18歳。
成績は中の下。
ルックスは中の中。
運動は、別に得意でも不得意でもない。
何か優れた特技もない。
どこにでもいるような平凡な男子高校生だった。
しかし、この間までいた場所。

『異世界』だ。

誰に言っても信じてもらえない。
そりゃ、そうさ。
現実的じゃない。
俺も分かっている。
だからこそ、誰にも話すことはない。

平凡だった俺を少しの間だけ変えてくれた日々。

楽しかった思い出。
今でも新鮮に思い出すことが出来る。

そんな俺は異世界ですべてを終わらせ、現実世界へと戻ってきた。
これで、またしても平凡な日常が始まる。
そんな風に考えていた。

しかしだ。

これが終わりではなく、始まり。
そう知ったのは、現実世界へと戻ってから二週間ほど経ってから。
俺はまたしても異世界へと飛ばされることになる。
またしても、異世界転移に巻き込まれてしまったのだ。

目を覚ますと、異世界。

今回の異世界転移は、この前とは違う。
一目でそれは、理解した。
この場にいるのは、全部で六人。
そのうち、四人は俺と同等。
つまりは、勇者の複数召喚である。

この前は俺だけだった。
今回の転移では、それだけが違うことだろう。

俺らが召喚されたそこは、美しい協会。

俺がこの地から去り、どのくらいの時間が経っているのだろう。
現実世界とここは、圧倒的な時間差がある。
俺では、検討もつかない。

そもそも、俺がもう一度、この地に来ることは考えもしなかった。
勇者召喚とは、人の人格・成績・強さで決まるわけではない。
ランダムだ。
ある程度の知能は所持しているだろうが、完全な運。
つまりは、同じ人が勇者として同じ地に来ることはまずない。
前例もないだろう。

「勇者さま方。ようこそ、おいでくださいました」

勇者四人の他にいる二人の少年少女。
まず口を開いたのは、少女だった。
圧倒的な品位を伴い、この場であっても堂々としている。
相当な立場、実力を持っているに違いない。

それでも彼女は「ハァ、ハァ、ハァ」。
息を切らしている。
彼女が、勇者召喚を行ったと見て間違いない。
勇者召喚には、他にはないほどの魔力量を必要とする。

努力と実力があり、成功するものだ。

俺は二度目の勇者召喚。
慌てることはない。
しかし、俺以外はどうだ。
横目でチラッと見ると、予想通りの動揺を見せていた。

彼女の赤い瞳。
あれは、王家の証。

「ど、どういうことですか!? 勇者って」

そこでようやく、一人の少年が口を開いた。
俺と同じクラスの喋ったことのないクラスメイト。
クラス内でも中心として確立していた人物だった。

「申しわけありません。私からは何とも。国王に会ってみては、もらえませんか?」

彼女は不安そうな表情をしていた。

「みんな、いいかな?」

顔もよく、性格もいい。
そして、人の中心に立てる人物。

この場にいる全員が彼の意見に文句はなかった。

二度目の勇者召喚は、こんな感じで始まった。
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