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リオンの刺繍編
楔と告白
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「ん、んっう、ぁあ」
リオンが声を上げるたび、ラキスディートが同じところを繰り返して刺激する。
もうやめてほしいのに、リオンはただラキスディートとつないだままのほう、右の手に力を籠めることすらできないでいた。
だってだめなのだ。
強すぎる感覚が、リオンをはるか高みへ押し上げたまま降ろしてくれない。
目の裏がちかちかして、頭の中がぐるぐるして、熱くて、なのにどうしようもなく満たされていて。
リオンはいつの間にか解放されていた左手で、腰のあたりにあるラキスディートの頭に手をやる。
ラキスディートの美しい白金の髪がぐしゃぐしゃにかき混ぜられて。リオンの指を彩る。
まるで上質な絹の手袋に包まれているような心地すらあって、くすぐったい気持ちでリオンははふ、と息をした。
「リオン、リオン」
あ、まただ。
ラキスディートが同じところを押すと、リオンの奥がきゅうとラキスディートの指を締め付けてしまう。
そこを押されるとリオンはてんでだめになってしまうのに、ラキスディートがうれしそうなものだから、リオンはただラキスディートの頭に手を添えることしかできない。
もう、だめとは言えなかった。
ラキスディートとくっついているのが幸せで、どうしようもなくて。
「ラキス……」
ラキスディートのことを、好きだなあ、と思って、リオンは青い目から涙を流した。
何にも遮られずに見るラキスディートの顔が好きで、額を伝う汗が好きで、荒い声が好きだった。
だから、ラキスディートがリオンの中から指を抜いた時、少しの寂しさを覚えてしまって、リオンは左の手でラキスディートを追いかけるように引き寄せ、ラキスディートの首元に縋りついていた。
「リオン?」
「終わらないで……」
そんな、リオンの懇願めいた哀願に、ラキスディートは一瞬驚いたような顔をした後、まるで花がほころぶに破顔した。
男のラキスディートに花のように、というのは間違っているだろうか。けれど、本当に幸せそうに笑っているから、花のように見えたのだ。まるで、桜みたいに。
「終わらないよ。それに、これからが本番だ」
「……え」
ラキスディートの背から翼が広がる。それが、リオンを外界から隠してしまうようにリオンを覆ってしまう。
背にはラキスディートの羽のベッド。そしてもう、リオンの視界には、ラキスディートしか見えなくなった。まさしくラキスディートに包まれている状況で、リオンはしかし、幸せで仕方なかった。
知らず微笑んでいたリオンに、ラキスディートがかがみこむように口づける。
「ん……」
今度は、振れるだけの優しいキス。
リオンがうっとりと目を細めると、ラキスディートがまぶしいものを見るような顔をした。
「リオンの目、きれいだ。……本当に。星屑の目だ」
「星屑……」
その言葉を、幼いころ聞いた気がする。それが誰なのかはふわふわしていて思い出せない。
リオンはそう言ってくれたのがラキスディートならいいのに、と思った。
「……ラキス、大好きよ」
ふいに、言葉にした心の声は、ラキスディートの動きを一瞬、止めた。
どこか泣きそうな顔で、それでも幸せでならないような顔をして、ラキスディートがリオンの右手を握る。
指を絡めて、離さないというように。
「リオン。君が、そう言って、そんな顔で、笑ってくれる日を、どれだけ夢に見たんだろう」
「ラキス?」
「本当に……君が愛しい。好きだ、リオン。大好きだ」
ラキスディートの手が、両手ともリオンのそれに絡む。リオンからあふれた密に濡れた手はそれでもラキスディートのもので。
だから、リオンに恐怖はなかった。知識なんてほとんどない。それでもリオンは、ラキスディートにあたえられるものが愛しくないと思うことがなかった。
下肢に、なにか熱いものが押し付けられている。それはひどく硬く、大きくて、リオンの秘められた場所には入りきらないと思える。
けれど、愛しかった。どうしようもなく愛しかった。それが、ラキスディートの子をはらむためのものであり、ラキスディートの一部であるとわかっていたから。
「きて、らきす」
ひどく甘えた、舌足らずな声がリオンの唇からこぼれ出る。
――瞬間、リオンの中心を、灼熱の楔が貫いた。
リオンが声を上げるたび、ラキスディートが同じところを繰り返して刺激する。
もうやめてほしいのに、リオンはただラキスディートとつないだままのほう、右の手に力を籠めることすらできないでいた。
だってだめなのだ。
強すぎる感覚が、リオンをはるか高みへ押し上げたまま降ろしてくれない。
目の裏がちかちかして、頭の中がぐるぐるして、熱くて、なのにどうしようもなく満たされていて。
リオンはいつの間にか解放されていた左手で、腰のあたりにあるラキスディートの頭に手をやる。
ラキスディートの美しい白金の髪がぐしゃぐしゃにかき混ぜられて。リオンの指を彩る。
まるで上質な絹の手袋に包まれているような心地すらあって、くすぐったい気持ちでリオンははふ、と息をした。
「リオン、リオン」
あ、まただ。
ラキスディートが同じところを押すと、リオンの奥がきゅうとラキスディートの指を締め付けてしまう。
そこを押されるとリオンはてんでだめになってしまうのに、ラキスディートがうれしそうなものだから、リオンはただラキスディートの頭に手を添えることしかできない。
もう、だめとは言えなかった。
ラキスディートとくっついているのが幸せで、どうしようもなくて。
「ラキス……」
ラキスディートのことを、好きだなあ、と思って、リオンは青い目から涙を流した。
何にも遮られずに見るラキスディートの顔が好きで、額を伝う汗が好きで、荒い声が好きだった。
だから、ラキスディートがリオンの中から指を抜いた時、少しの寂しさを覚えてしまって、リオンは左の手でラキスディートを追いかけるように引き寄せ、ラキスディートの首元に縋りついていた。
「リオン?」
「終わらないで……」
そんな、リオンの懇願めいた哀願に、ラキスディートは一瞬驚いたような顔をした後、まるで花がほころぶに破顔した。
男のラキスディートに花のように、というのは間違っているだろうか。けれど、本当に幸せそうに笑っているから、花のように見えたのだ。まるで、桜みたいに。
「終わらないよ。それに、これからが本番だ」
「……え」
ラキスディートの背から翼が広がる。それが、リオンを外界から隠してしまうようにリオンを覆ってしまう。
背にはラキスディートの羽のベッド。そしてもう、リオンの視界には、ラキスディートしか見えなくなった。まさしくラキスディートに包まれている状況で、リオンはしかし、幸せで仕方なかった。
知らず微笑んでいたリオンに、ラキスディートがかがみこむように口づける。
「ん……」
今度は、振れるだけの優しいキス。
リオンがうっとりと目を細めると、ラキスディートがまぶしいものを見るような顔をした。
「リオンの目、きれいだ。……本当に。星屑の目だ」
「星屑……」
その言葉を、幼いころ聞いた気がする。それが誰なのかはふわふわしていて思い出せない。
リオンはそう言ってくれたのがラキスディートならいいのに、と思った。
「……ラキス、大好きよ」
ふいに、言葉にした心の声は、ラキスディートの動きを一瞬、止めた。
どこか泣きそうな顔で、それでも幸せでならないような顔をして、ラキスディートがリオンの右手を握る。
指を絡めて、離さないというように。
「リオン。君が、そう言って、そんな顔で、笑ってくれる日を、どれだけ夢に見たんだろう」
「ラキス?」
「本当に……君が愛しい。好きだ、リオン。大好きだ」
ラキスディートの手が、両手ともリオンのそれに絡む。リオンからあふれた密に濡れた手はそれでもラキスディートのもので。
だから、リオンに恐怖はなかった。知識なんてほとんどない。それでもリオンは、ラキスディートにあたえられるものが愛しくないと思うことがなかった。
下肢に、なにか熱いものが押し付けられている。それはひどく硬く、大きくて、リオンの秘められた場所には入りきらないと思える。
けれど、愛しかった。どうしようもなく愛しかった。それが、ラキスディートの子をはらむためのものであり、ラキスディートの一部であるとわかっていたから。
「きて、らきす」
ひどく甘えた、舌足らずな声がリオンの唇からこぼれ出る。
――瞬間、リオンの中心を、灼熱の楔が貫いた。
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