暴食ジト目スライムに、女運無し平凡男が翻弄されながら第2の人生行ってみました!

緋沙下

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1羽ゴミ処理

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「いてててっ…」

落ちていく途中で意識を失ったらしく、意識が戻ると森林らしい場所。
ポツンと俺がいる辺りだけ開けていた。

「爺さん…。これ店じゃなくて屋台だろ。しかも引くタイプっていつの時代の物だよ!」

爺さんが用意してくれたのは、昔の移動式のラーメン屋そのものだった。
暖簾に焼き鳥って書いてあるだけで、パッと見ラーメン屋だろ!
しかも、横に屋台と同じサイズの羽を毟られた鳥がいた…。
爺さん、これはな鳥であって鶏じゃないだろ!!

――ぺったん――

「うわっ!なんだよッ」

尻もちをついている俺の左手に、ブニュっと何かが乗っかる感触。ほのかに冷たくゼリーよりも弾力があるそれ。

俺が気づいたのが嬉しいのか、ぽっよんぽっよん俺の前で飛んでいる。なんだよこれ…。スライムだよな。

弱肉強食の世界…。まさか俺を食べるつもりか!?すぐ側にあった木の枝を持ち身構える。ダメだ。腰が抜けて立てない。

「お、お、お前、俺を食う気か!?美味くないぞ!!」

――ジュウッツ――

生えている草を身体に取り込み消化させ俺に見せてくる。俺もそうやって消火して食うんだってレクチャーされてるのか!?
ちょっと待てよッ。俺はそんなのごめんだ!!

「ちょっと、ちょっと待て。それは…痛くないのか?俺…意識あるまま食べられるのか?」

初めての魔物見て、勝てると思う方が無理あるだろ。
俺ならいけるぜ!なんて思うのはよっぽど怖いもの知らずかバカだ。どうせ食べられるなら痛くないようにしたい。

なんせ俺は腰が抜けて動けないんだ。枝で戦えるほど甘くないだろう。
人間諦めが肝心だって、大人になってから学ぶことがたくさんあったな…。

どうせ一度は死んだ命だ。爺さん焼き鳥食わせてやれなくて悪かったな…。

それから時間が経っても、スライムが俺に何かしてくることはなかった。むしろ出てくる魔物をアメーバみたいに広がり捕食し溶かしていた。

逃げようとしたが、どっちに逃げて良いのかわからず座り込んだままだ。
どのみち逃げても他の魔物に食い殺されるなら、痛くない方が良い…。

「お前、俺をまさか守ってくれてるとか?ハハ…それはないか。俺は食後のデザートか?」

俺の言葉を無視しぽよんぽよんと屋台へ向かったスライムは、屋台の屋根の上に飛び乗ると俺を見てくる。

まさか…。まさか!?

スライムが食べた後は消化後骨一つ残ってない。ゴミが残っていない…。

「お前がゴミ処理なのか!?」

――ぽっよんぽっよん――

あってると言わんばかりに、屋台の上で跳ねるスライム。本当にこいつがゴミ処理なのか!?半信半疑だ…。

そこから動かない俺にスライムは近づいてくると、ぶわぁーーーーッと広がり俺の身体を飲み込んでいく。
やっぱり俺食われるんじゃないか!!

痛みもなくほどよく冷たいスライムに包まれてる感が、気持ち悪い…。

想像してみてくれ。
ローション大量に入れた風呂に入って気持ちが良いかと言われたら、誰だって気持ちよくないだろ?俺は今まさにそれを味わっている最中だ。

しかも、何かがジュワジュワと音を立てていて不気味だ。
これ俺溶かされてるのか!?
しかし不安はよそに、スライムが離れると体についていた泥や小枝などが綺麗に落ちていて、身体ごと洗濯された感じだった。

「これ俺を綺麗にしてくれたってこと?」

なんかよくわからんけど、食べられないのは確かなようだ。食べないってことを証明したかったのか?

えっと、まずは俺はどうしたら良いんだ。魔物はこのスライムが多分倒してくれるようだから、俺は爺さんが来る前に店の準備をしないといけないな。

もうこの際、なるがままよ!さっき死ぬ覚悟を一瞬でもしたんだ。ここで座り込んでても仕方がない。

「この鳥を捌かないと話しにならないけど、包丁とかあるのか。あぁ、これは食うなよ」

動き始めた俺に、ぽよんぽよん近づいてくるスライムに鳥を食べないよう伝える。言葉通じてんのかな?

屋台の中を見ると、思ったよりもしっかりした作りがしてある。大きな鍋を洗うのに困らない流し台。下の収納扉を開けると包丁一式と寸胴鍋なども置いてあった。その横には二口のガスコンロ。

対面販売側になっていて、客に見える場所に焼き台。
品物がわかりやすよう氷冷式ガラスショーケース。
立ち食いにはなってしまうが、客側にテーブルもついているため食うのには困らないな。

他にもまだ設備はあるが、焼き鳥焼く上で必要なものは揃ってるみたいだ。ちゃんとタレもあってホッとする。これがないとうちの焼き鳥の味は出ないからな。

でも、これ電気やガス・水道どうやって確保するんだ?
氷冷式ガラスショーケースは氷があれば冷えるが、その氷ってどこから入手するんだ?
爺さんわからないことがありすぎるぞ。

ただ不思議なことに、水道をひねれば水は出てくるし焼き台も火はつくようだ。
焼き鳥台はガス直火式で助かった。

親父は炭火で焼いていたが、煙はすごい。火の温度管理が難しい。燃える。後始末に掃除。
ズボラな俺には向いてない。

「さてと、鳥を捌きますか。わかんないことは、爺さんが来たら聞けばいいしな。来て何もできてないんじゃ、あの爺さんへそ曲げそうだからな」



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