暴食ジト目スライムに、女運無し平凡男が翻弄されながら第2の人生行ってみました!

緋沙下

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10羽悪意ある人間

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「なぁー。頼むよ。ちょっと綺麗にしてくれよ」

スライムに頭を下げる俺。これ知らない人が見たら、すごい光景に見えるんだろうな…。見せるつもりないけど。

「マジで頼むって。さっき上手そうな菓子あったろ?あれ買うからさ」

菓子という言葉が功を奏したのか、スライムが俺の服ごと綺麗にしてくれる。スライム様々だ。でも、なんか不機嫌そうなんだよね。まさかのヤキモチか!?それはないか。

風呂が全然意味をなさなかったため、スライムに綺麗にしてくれと部屋に戻るなり頼み込んだ。最初はガン無視されていたが、お願い聞いてもらえて助かったよ。

「それじゃ、俺そろそろ時間だから行くけどお前は待ってる?」

左手が上がる。ついてくるのね。まぁ、良いんだけどさ。彼女もお前のことが気になって声かけて来たんだし。むしろいてくれると話しが盛り上がるかもしれない。





やばい。早く来過ぎたか?でも10分前だから別に早くはないか。待ち合わせの場所に来ても、彼女は来ている気配はなかった。来なかったら俺凹むぞ…。

「ケン早かったのね。待たせたかしら」

「リズ!いや、俺も来たばかりだよ」

さっき会った時に名前は聞いていた。見た目も可愛ければ名前も可愛いんだから、こりゃ困った。リズが美味しいと言った店に入りテーブルに着いた。

「ケンは、お酒は飲める口なのかしら?」

「勿論さ。美味しく飲めるよ」

前の世界でも客商売。酒を頂く時もあった。仕事上飲めないより、飲める方が何かと便利だった。20歳過ぎて飲み始めた頃は飲んでつぶれて、よく親父に怒られてたけどな…。

「そう。なら良かったわ。ここのお酒はとても美味しいのよ!マスター、いつものお酒貰えるかしら?」

「いつものって、リズは常連なの?」

「ここのマスターとは古い付き合いなのよ」

マスターっていう男に目を向けると、俺よりも少し上ぐらいか?若い頃から店をしてるなら、親近感がわくな。客も入ってるし、美味い店なのは確かなんだろう。
リズが、ここの料理はこれがねと進めてくれるものを頼み、楽しさから酒もどんどん進む。

「ねぇ、このスライムの名前なんて言うの?」

「スライムの名前?普通名前つけるもんなのか?」

「え?皆つけてるわよ。名前を付けるのもテイマーの楽しみでしょ?」

そうなのか。名前かぁ。全然考えたことなかったな。スライムは気にする様子もなく、頼まれたものを食べていた。勿論店の人には許可取ってから食べさせている。
女性と酒飲むって客意外となかったからな。自分のペースも考えず進められるがままに酒を飲んでしまった。


――
――――
――――――

「大丈夫?お水貰う?」

「いらぁ…。らいりょうぶらよぉー(大丈夫だよ)」

「そろそろ閉店の時間だから、お会計しても良いかしら?」

「それにゃや、これしゃいふりゃからぁー(それなら、これ財布だから)」

俺が出した財布をリズは受け取ると、払ってくるわねと席を立った。そして俺はそのまま意識を手放した。


――店の裏口―――

「リズ、あいつはつぶれたのか?」

「いつも通りのお酒飲ませたからね。問題ないわ。それに、あいつ屋台持ってるみたいなのよ。売ればそれなりの金になるわ」

「お前も悪い奴だよな。弱そうな奴見つけては金ふんだくるんだから」

「なによ。あんただって、そのおかげで美味しい思いできてるんでしょ」

店の裏口で話すマスターとリズ。2人は弱そうな冒険者や疎そうな男を見つけては、リズが引っ掛け店に連れてくる。そして強い酒を飲ませてはつぶれさせ、金目の物を奪っていく。

後々酔いから冷めた男が俺の金はどうした!!と言い寄ってきても、怖い男達に絡まれて、盗まれてしまったの…。店の代金はそんな客を入れたこちらが悪いからと、店側が負担してくれたわと逃げるのが手だ。

危うくなれば身を隠し、ほとぼり冷めれば出てくる。街の人間には手を出さない。

街に初めて来たような男をターゲットにすれば、そんなに問題も起きないしね。涙流しながら話せば、怖い思いさせて悪かったなと言うんだもの。バカの男が多いのね。

「屋台はどこにあるんだ?」

「街の馬車を止めてある場所に置いてあると言っていたわ。預かり札も盗んできたから、問題ないわ」

「そうか。今ならちょうど係が交代の時間だ。顔を隠せば問題ないだろ。男は当分起きないだろうしな」

そうねとリズが話しながら男と店の外に出ていく。この後屋台を手に入れたら他の街で売ればいいと話しながら屋台がある場所へ向かおうとして、2人の足が止まる。

「あら、あの男のスライムじゃない」

「なんだ。いっちょ前に主人を守るナイトのつもりか?弱いスライムのくせしてナイト気取りかよ」

目の前にいるスライムを見て、2人が口々に好きなことを言い放つ。

ほら、早くどかしてよ。スライムごときに時間が勿体ないわというリズに、わかってるよと男がスライムにどけよ!殺されたいのかと近づく。

近づいた瞬間に、スライムが男を飲み込む。抵抗する暇もなく消化される男。

「ヒィィ…!!なんでスライムが人間を食べるのよ!?おかしいッ―――」

リズが言葉を発し終わる前にスライムがリズを捕食し消化する。残されたのは、屋台を預かる札と女が奪った財布だけが残されていた。

何事もなかったように、静かな夜が更けていく。
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