精霊の森に追放された私ですが、森の主【巨大モフモフ熊の精霊王】に気に入られました

腐ったバナナ

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4話

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 精霊王バルトの妃となったリサの生活は、劇的に変化した。

 公の場では、リサはバルトの隣に立つ精霊王妃としての威厳を求められた。彼女の微弱な魔力は、バルトの強大な力によって増幅され、精霊たちからも一目置かれる存在となっていた。

 しかし、二人の私室に戻ると、バルトはすぐに巨大で温かい熊の姿に戻ってしまう。

「リサ。撫でろ。君の匂いがないと、森の淀みが取れない」

 巨大な熊は、昼間の冷酷な王の面影を微塵も残さず、ただひたすらリサの膝に頭を押し付ける。リサはそのモフモフの体躯を撫でながら、支配と依存の絶妙なバランスに満たされた生活を楽しんでいた。

 リサの有能さはすぐに森で発揮された。

 彼女は王都の貴族が軽視していた薬草と土壌の知識に長けていた。さらに、バルトのそばにいることで、彼女の全属性精霊への親和性が完全に開花し始めていた。

「シルフィ。この土壌では、冷気属性の精霊が強く働きすぎているわ。火属性の精霊の活動を少し活発にすることで、薬草の薬効を上げられるわ」

 リサが指示を出すと、風の精霊シルフィは驚きながらも、その指示に従う。

「すごいよ、リサ!あなたが指示を出すと、精霊たちが嫌がらないどころか、嬉しそうに動く!僕ら精霊王の眷属でも、こんなことはできないのに!」

 リサの知恵と、精霊を道具ではなく仲間として扱う優しさが、森の環境を急速に改善させた。

 それまで冷え切っていた森の薬草栽培地は、リサの手によって一気に豊穣の地へと変貌し始めた。

 バルトは、リサの有能さに心底歓喜した。

「リサ。君は、単なる癒やしのストーブではない。君は俺の賢妃だ」

 バルトは人間の姿でリサを抱き上げ、強く抱きしめた。

「王都の愚か者どもは、君の真の価値を知らなかった。彼らが無能と笑った知識こそが、この森を、そして俺の国を豊かにする。俺は、君のその知恵と優しさに、ますます溺れていく」

 バルトの溺愛は、リサの有能さが証明されるにつれて、「依存」から「狂信的な独占欲」へと変化していった。

「君は、俺の全てを支配している。知識も、心も、この体も。だが、それがいい。君以外の誰かに支配されるくらいなら、いっそ君に骨の髄まで支配される方が、俺は幸福だ」

 バルトはそう囁くと、リサの首筋に顔を埋めた。

 一方、王都では、リサの追放後の報告が届かず、不穏な空気が漂っていた。

「おかしい。精霊の森に追放した者が、数日も経てば魔物に食われるか、極寒で死ぬのが定石だ。なぜリサの死が確認できないのだ?」

 リサの元婚約者、ルシウスは焦燥していた。彼らはリサの追放を事故死として処理し、公爵家との縁談を成立させ、リサの妹フィーナを妃に迎え入れる予定だった。

 フィーナは不安げにルシウスに問いかける。

「ルシウス様...お姉様、本当に死んだのよね?もし生きていたら...」

「黙れ!フィーナ。あの無能が生きているはずがない!精霊王に食われたか、凍死したかだ!」

 ルシウスは苛立ちからフィーナを怒鳴りつけた。

(リサ。あの無能な女が、俺の計画を邪魔するなど、絶対に許さない)

 しかし、ルシウスはまだ気づいていなかった。リサは生きており、彼が「餌」として追放した精霊王の隣で、「賢妃」として覚醒し、彼らの没落を静かに待っていることを。
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